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2006年03月14日(火) |
「当該工場は対日認定施設 香港の牛肉輸入停止で」←日本政府の監査も杜撰だったということではないの? |
◆記事1:米牛肉、香港でも骨混入…日本が査察の工場から出荷
【北京=吉田健一】香港政府は13日までに、米食肉大手スイフト・ビーフ社(本社コロラド州)の食肉処理工場から輸入した牛肉に、BSE(牛海綿状脳症)感染防止のため輸入を禁じている骨が混入していたとして、
同社からの牛肉の輸入を当面停止すると発表した。
同工場は、日本が米国産牛肉の輸入再開を決定した昨年12月に、農水省と厚生労働省が特定危険部位の除去など対日輸出条件が守られているかどうか査察した11施設に含まれており、農水省などは「適切に行われている」との判断を公表していた。
今回、米国の管理体制のずさんさが明らかになったが、日本の査察も不十分との批判が出るのは必至だ。
香港の食物環境衛生署によると、香港国際空港の食物検疫担当官が10日夜、同社からの製品に骨が交じっているのを見つけた。
香港は、米国でBSE感染牛が見つかった2003年12月以降、米国産牛肉の輸入を全面的に停止していたが、昨年12月、生後30か月以下の牛で、脳など特定危険部位を除去した骨なし肉に限って輸入を再開していた。
米国産牛肉の問題について、農水省の石原次官は13日、記者会見で「(骨の混入が)特例なのか、構造的なのかが一番の焦点で、事実を調べて考えていく必要がある」と述べ、米国に問いただしていく姿勢を示した。
(2006年3月14日1時40分 読売新聞)
◆記事2:「当該工場は対日認定施設 香港の牛肉輸入停止で」
農水省は13日、米国から香港に輸出した牛肉に禁止されている骨が混入していた問題について、米国の当該食肉処理工場が対日輸出向けの認定施設でもあり、昨年末の日本政府による査察時に、この施設が対日輸出条件の順守で「問題なし」とされていたことを明らかにした。
石原葵事務次官は同日の記者会見で「残念」と述べた上で「米大使館などを通じて事実関係を含めて調査中」とした。
問題の施設は、米食肉加工大手スイフト・ビーフ社のグリーリー工場(コロラド州)。
米国産牛肉の輸入再開をめぐっては、同省と厚生労働省が昨年12月、米国内の認定施設に対して特定危険部位の除去など牛海綿状脳症(BSE)対策を調査。
この工場は日本政府が査察した11施設の中の一つだった。米国の食肉管理体制のずさんさが新たに浮き彫りになったことで、米国産牛肉の輸入再開をめぐる今後の日米交渉にも影響を及ぼしそうだ。
(共同通信) - 3月13日18時11分更新
◆コメント:日本政府の「認定」もあてにならない、ということではないのか。
読売新聞と共同通信社の記事を並べたが、いずれも記述が不十分である。
アメリカからの牛肉輸入を再開しようとしている国は、日本だけでは無いが、いずれの国も、BSEの原因である、異常タンパク質プリオンがたまりやすい「特定危険部位」の除去を条件としている。
しかし、「特定危険部位の定義」は各国に任されているのである。
読売新聞によれば、香港の輸入再開の条件は「脳などの特定危険部位と骨」を除去することになっており、今回は「骨」(何処の部分の骨かが分からない)付き肉が混じっていた、というわけである。
日本は、「舌、頬肉を除く頭部、扁桃、脊髄、脊柱、回腸遠位部」が特定危険部位である。
「脊髄・脊柱」以外の「骨」は特に除去すべき部分として指定されていない。
その意味で、読売新聞の見出しの中の「香港でも骨混入」はミス・リーディング(誤解を招く)だ。
「香港には、香港が禁止している『骨』が混入している肉が輸出されていた」と書くべきである。
それはともかく、問題の本質は何かというと、香港向けの製品に関しては「骨」を取り除いてから輸出しなければならないのに、この業者と、米国の食品衛生当局はそれを忘れたか、見逃していた。
つまり、管理の「杜撰さ」である。
◆日本政府の「認定」は体裁を整えるため、だけではないのか?
だが、問題はそれだけではない。この業者は日本政府が査察して、謂わば「可」の認定を与えたと言うことである。
読売も共同もそのことについて深く言及していないが、私に云わせれば、「本当にきちんと監査しているのか?」という懸念を指摘するべきである。
その業者の「いい加減さ」を見抜けなかった訳であるから。
閣議決定で、米国産牛肉の輸入再開前に現地査察すべきところしていなかったことがばれて、中川農水相が一旦は辞めると言っていたのに、すぐに撤回してやはり辞めないことになった。
あのあたりのゴタゴタも好い加減だった。その後慌てて査察したのも、「とにかく、現地まで行って監査してきました」という形式を整える為だけが目的だったのではないか。
実際はどの程度厳密に監査しているのか、怪しい。
◆認定外業者の製品が送られてきたとき、判別できるのか。
さらに、仮に日本政府の監査が厳密なものだったとしても、実際に日本へ送られてくる牛肉の全てが本当に日本政府が認定した工場で加工したものなのかどうか分からない、という問題がある。
他の業者が加工した牛肉を、日本政府が認定した業者の製品であるように偽装されたとしても、見破ることが出来るのであろうか。甚だ、心許ない。
だから、私は、米国産牛肉は永久全面禁輸すべきだと、主張するのである。
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