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JIROの独断的日記
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2005年07月02日(土) 音楽配信サービスにおけるクラシック音楽。お奨め:モーツァルト交響曲第39番第3楽章

◆音楽配信全盛になってきましたが、

 

 当然のことながら、市場規模としては、クラシックは、最も小さい。

 つまり、商売としては、儲けになりにくい。すなわち軽視されやすい。

 これは大衆社会の宿命であることぐらいは承知しています。

 しかしながら、主だった音楽配信サービスのサイトの中を探ると、「おや?」というほどの「名盤」(レコード時代からの表現ですね)があるのです。

 問題は、ホームページを見ただけでは、それが全く分からないことです。

 各社とも、全体の楽曲数におけるクラシックの比率がいくら低いとはいえ、曲がりなりにも商品として提供している以上、もう少しサイトの作り方を工夫するべきです。


◆マイクロソフトの場合。

 

 マイクロソフトはMSNミュージックというサイトから音楽ファイルをDLするわけです。

 これは、ブラウザ経由だけでなくて、Windows Media Playerからもアクセスできます(少なくともWMP10ではそうなっている)。

 ところが、この画面、というか、ページの作り方が、ひどいと思います。使えません。

 普通の、CD屋を想像してご覧なさい。どんな店だって、少なくとも「ジャンル分け」ぐらいしてあるものです。

 ところが、このサイト、画面左端の「各種一覧」には、50音検索しか、無い。

 これは、不親切です。クラシックの場合、50音あるいは、アルファベット順と言っても、作曲者名から探す場合と演奏者名で探す場合がある。

 そのどちらが使えるのか、ということも、ここを見ただけでは、分からない。

 もしも、入手したい商品が決まっている場合には、この方式でもよいのかもしれませんが、どなたも経験があるでしょう。

 ショッピングというのは、特別なあてもなく店に入り、いろいろ商品を見ているうちに、欲しくなって何となく買ってみるということも多いわけで、それがあまり激しいと衝動買いとか言われるわけですね。

 当たり前のことなのですが、この点がインターネットショッピングの致命的な面ですね。

 商品を手に取ることが出来ない。というのは、頼りないものです。

 本だって、題名や著者ばかりではない。実際に手にとって、本の装丁が気に入って買うことさえ、あるのですから。



 それはさておき、どうしようかと思ったのですが、クラシックでバッハの作品がない、ということはほとんど考えられないので、検索欄に”Bach "と入力したら、“Bach ”のキーワード検索結果:5件みつかりました と出てくる。
 ここに出てくる、アルゲリッチという人は、世界で何本指かに入る天才ピアニストなのです(ちなみにこの人は、大分の別府が気に入ってしまって、毎年別府では「アルゲリッチ音楽祭」という催しが開かれている。こればかりは、大分県のひとが誠に羨ましい)。

 では、アルゲリッチの演奏は何を配信しているのかな、と思い、アルゲリッチで検索し直してみます。

 すると、アルゲリッチ(マルタ)の演奏で、ダウンロード購入出来る楽曲ファイルリストが現れます。

 しかし、これは、ひどい。

 一番左が、「楽曲」なのだが、これじゃ分からないでしょう。

「収録アルバム」という項目を見ることにより、ようやく、「プロコフィエフとバルトークという2人の作曲家のピアノ協奏曲」であることが分かる。

 しかし、もう一度一番左の「楽曲一覧」を見てください。


  • Piano Concerto No.1 In D Flat Op.10 Allegro Brioso

  • Piano Concerto No.1 In D Flat Op.10 Allegro Assai

  • Piano Concerto No.1 In D Flat Op.10 Allegro Scherzando





  • Piano Concerto No.3 Sz.119 Allegretto

  • Piano Concerto No.3 Sz.119 Allegro Religioso

  • Piano Concerto No.3 Sz.119 Allegro Vivace





  • Piano Concerto No.3 In C, OP.26 Andante-Allegro

  • Piano Concerto No.3 In C, OP.26 Tema(Andante) and Variations

  • Piano Concerto No.3 In C, OP.26 Allegro Ma Non Troppo





なんですか?これは。あまりにも不親切だ。

まず、日本語にしていないことが、よろしくない。

百歩譲って、原語のままでリストにするとしてもこれじゃ、「誰の作品かが分からない」

。バルトークか、プロコフィエフのどちらかだということしかわからないのです。

要するに、最初の3トラックを日本語にすると、


  • ピアノ協奏曲第1番 ニ調(短調か、長調かも分からぬ。MinorかMajorをつけなければ)、作品10 アレグロ・ブリオーソ(快活に、生き生きと)

  • ピアノ協奏曲第1番 ニ調、作品10、アレグロ・アッサイ(非常に早く)

  • ピアノ協奏曲第1番 ニ調、作品10、アレグロ・スケルツァンド(生き生きと楽しく)


ということです。いい加減です。不親切です。

 クラシックは、まず、「誰の作品か」を最初に明示するのが「イロハのイ」です。

 何故なら、「交響曲」だって、「協奏曲」だって、無名なのまで含めれば、何百人、何千人という人が書いているからです。

 このアルバムはですね。

 1トラック目から3トラック目までが、「プロコフィエフ作曲、ピアノ協奏曲第1番」、

 4トラック目から6トラック目が「バルトーク作曲、ピアノ協奏曲第3番」

 そして、7トラック目から9トラック目が、「プロコフィエフ作曲、ピアノ協奏曲第3番」

 なのです。それぐらいのことを、日本語で表示する手間を惜しんではいけません。

 特に、2曲目と3曲目。このサイトでは「Piano Concerto No.3」でしょう。

 紛らわしい。その前に、BartokとProkoviefと入れるだけで良いのに。

 日本語で言えば、両方とも、「ピアノ協奏曲第3番」としか書いてないわけですよ。

 うんと詳しい人は、バルトークの作品番号はセーレーシ(Szollosy)という人が付けたもので、Sz.と略されるから、4トラック目から6トラック目は「バルトーク作曲、ピアノ協奏曲第3番」で、したがって、最後の3トラックは、プロコフィエフの協奏曲だろう、と見当を付けることが出来ます。

しかしねえ。

 客にそんなパズルを解くようなマネをさせてはいけませんよ。

 客はカネを払うのですからね。出来る限り、分かりやすくしないと。

 以前も書いたけれど、ネット経由の客商売って、従来の接客業などと違い、お客と直接接することがないので、客商売の怖さが分かっていない。

 たるんでいるんですよ。本当の接客業をやったことがある人間から見ると。

 直接、お客さんと対峙する接客業は真剣勝負です。

 ちょっと口の利き方を間違えても、大変なトラブルになることがある。

 客が怒鳴り出すこともある。下手をすればぶん殴られる。

 そういう覚悟が、IT商売ができるまでは、接客業には常に必要だったのです。

 ネット商売って、クレームだってメールで来る。怖くないでしょう?緊張感が無いんですよ。


◆1楽章ずつ買える、というメリットも(多分、偶然ですが)あります。

 

 文句ばかり言っていても仕方がない。

 折角、名曲が沢山あるので、一つ御紹介しましょう。

 前述したとおり、まだ売り方に不満は歩けれども、ざっと見たところ、インターネット音楽配信において、意外でしたが、クラシックのカタログはかなり良いものがあります。

 MSNだけではなくて、SONYのMoraなども同じことが言えます。 だからこそ、もっとインデックスをしっかり作って欲しいのです。

 気がついたけど、インターネットでの配信で、これまでは決して出来ないことが出来るようになりました。

 以前なら、CD1枚単位でしか買えなかったけれど、ファイルダウンロードだと、何と、1楽章単位で買える。

 これは、ポップスというか、クラシック以外の音楽は、ほとんど総て、1トラック=1曲だからでしょう。それをそのままクラシックにも適用したのですね。

 皮肉な書き方をしますが、音楽配信産業に、クラシックに詳しい人が少ない(だろうとおもいます)ことが逆に幸いした。

 詳しい人がいたら、交響曲は必ず、全部の楽章を1セットにして売ろうとしたでしょう。

 今は、1楽章ずつ買える。240円で。これなら、こちらも気楽にお奨めできます。

 一つ、昔の大家(「たいか」ですよ。「おおや」じゃありませんよ)の非常に立派な演奏を紹介、推薦します。


◆モーツァルト交響曲第39番第3楽章(オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団)

 

 MSNミュージックからダウンロードできます。

 ここクレンペラー(オットー) のアルバムが並んでいます。

 その中で、The Klemperer Legacy: Symphonies Nos.39 & 41/Eine Kleine Nachtmusikという1枚がある。

 その中から(欲しければ全部ダウンロードしていただいて構いませんが)、Sym No.39 in E flat, K543: III. Menuetto (Allegretto) & Trioをクリックすると、試聴が始まると思います。

 その時点では、勿論課金されないですから、ご安心下さい。

 しかしねえ。240円ですからね。ドトールコーヒーのMサイズより10円高く、ビッグマックより10円安い、という程度なのですから、買っちゃってもいいのではないかな。



 モーツァルトは35年の生涯で41曲の交響曲を書いていますが、最後の3曲が特に天才の最後にふさわしい大傑作なのです。

 そのうち、41番「ジュピター」のフィナーレ(第4楽章)とか聴いていただきたいのですが、今日のは、誰にでも親しみやすいのを。

 39番の第3楽章。当時のシンフォニーの書き方の定石通り、メヌエットです。3拍子です。最初はとても堂々としています。

 この最初のところ、中心は勿論ヴァイオリンなのですが、管楽器が「1,2,3.」と規則正しいリズムを刻み続けて伴奏を付けています。

 その響きを良く聴いてください。トランペットの音が分かるでしょうか?トランペット奏者が、吹いているんです。ここ。

 トランペットは、いつも、でかい音を出して目立てばよいと言うものではありません。

 こういうところでは、木管楽器にとけ込んで、しかし、響きに厚みを加えなければなりません。


◆何とも美しいクラリネットの旋律
 

 3楽章の中間、トリオと呼ばれる部分、とても美しく、可愛いメロディーをクラリネット奏者が演奏します。

 1番奏者がメロディーを吹いて、2番奏者は下で、分散和音を吹いて伴奏を付けます。




 これ以上少なくできないぐらい単純な音の組み合わせで、これだけ美しいものを創りあげてしまうのがモーツァルトの天才です。

 まあ、好みですけれども、私はそう思う。
 私は、初めてこの曲を聴いたのが、クレンペラーだったのです。こういうのを「天上の調べ」というのだろう、と、子供心に思いました。

 その考えは、今も変わりません。

 モーツァルトは、クラリネットという楽器をこよなく愛しました。

 死ぬ年に、「クラリネット五重奏曲」と「クラリネット協奏曲」という超大傑作を2曲も書いている。

 それについては、いずれ、また。


2004年07月02日(金) 「合理的な思索を蔑視して偏狭な狂信に動いた人々が、日本民族を現在の悲境に導き入れた。」(和辻哲郎著「鎖国 日本の悲劇」序文)
2003年07月02日(水) 株が急騰したといって騒ぐバカ。 ファンダメンタルズはなにも変わっていない。

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