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2005年06月03日(金) |
小泉内閣の郵政民営化プランには、緊急性、必然性が認められない。 |
◆民営化のデメリット
小泉内閣の方針通りに郵政公社を民営化すると、次のような弊害が生ずるであろう。
過疎地や、住宅地でも採算に合わない立地の郵便局が閉鎖され、お年寄りなどでも歩いていける、身近な郵便の窓口が失われる。
実際にドイツでは、民営化の後、それまでは約3万もあった郵便局が1万2千に減ってしまった。 その上、郵便以外の郵便貯金、簡易保険の窓口が無くなってしまう。
また、小泉内閣は、民営化のメリットのひとつとして、民営化された郵便会社や郵便銀行からの税収が入ることを挙げているが、そう簡単ではない。
現状、既に、佐川急便、ヤマト運輸、日通などがしのぎを削って利益を上げて、税金を納めているのに、実質的に国が過半数の株を保有する「国営民間郵便会社」が新規参入したら、競争が激化して、佐川、ヤマト、日通、郵便がこぞって、値下げとサービス競争で顧客を獲得しようとする。
結果的に、利益は下がる、コストは上がる、ということになり、今まで、3社で多いときには100億もの税金を納めていたのが、全員赤字に転落して、税収減になる可能性が高い。
どうして、わざわざ黒字で頑張っている会社を赤字にしなければならないのか。
◆日本政府に郵政民営化を要求しているアメリカの郵便は国営である。
アメリカ国内を流通する郵便は、実に世界全体の郵便の四割を占めると言われている。
このアメリカでも、郵政民営化の議論が持ち上がったことがある。比較的最近の話だ。
2003年7月31日に米国大統領宛に提出された報告書には、
「民営化は郵便サービス及び民間市場を混乱させる恐れ、また単一の民間企業がユニバーサルサービスを提供するのは、まず不可能。むしろ、米国郵便庁を公的な機関として維持し、業務内容の再検討、組織の見直しにより効率性と将来への適応性を向上させることが望ましい」
と、極めて明確に書かれており、結局民営化は見送られた。
そのアメリカが日本に郵政民営化を迫っていることが小泉首相が郵政民営化にムキになっている一つの理由だが、アメリカも無責任だ。ひどい話である。
◆他の外国も失敗している。
ドイツは先に書いたとおり、民営化したら、郵便局の数が激減してしまったので、民間会社の筈なのに、政府が株の大部分を持って、あれこれと後から、補完的なサービスを提供させているが、それぐらいなら、はじめから民営化などしなければよかったのだ、と言われている。
ニュージーランドは他国に先がけて、郵政事業を民営化したら、何と、外資に買収されてしまった。
たとえて言うなら、日本の郵便局を民間会社にしたら、リーマンブラザーズに買われてしまったようなものである。
郵便は、自国民の便宜を図るためにある制度なのに、外資に買収などされたら、徹底的にリストラ、不採算部門・地域切り捨てということになり、公共の福祉が損なわれる。
ニュージーランドは仕方がないので、もう一度、国営の郵便事業を構築したのだ。
これでは、まるで、喜劇である。
◆世論調査によれば、「郵政民営化」は、日本人が政府にやって欲しいこと17項目のうち、14番目でしかない。
5月29日に、もう少し詳しく書いたが、読売新聞が5月に行った世論調査によると、小泉内閣に実行して欲しいことの筆頭は「景気対策」(62%)、「年金など社会保障制度改革」56%、「北朝鮮問題」35%で、「郵政民営化」は10%。
◆記事:自殺者7年連続で3万人突破
昨年1年間の全国の自殺者は3万2325人で、過去最悪だった一昨年より6・1%(2102人)減ったことが2日、警察庁のまとめでわかった。統計を取り始めた1978年以降、4番目に多く、7年連続で3万人を超えた。
このうち全体の4割以上を占める30〜50歳代男性(1万3402人)の動機で最も多かったのは、借金苦や生活苦など。景気に明るさが見える一方、所得の二極化が進み、経済的に追い詰められる働き盛りの男性の姿が浮き彫りになった。
男女別では男性が2万3272人(一昨年比6・8%減)、女性が9053人(同4・3%減)。男性では60歳以上が7015人と最も多く、50歳代の6128人、40歳代の4074人、30歳代の3200人が続いた。
遺書があった1万443人の動機を見ると、病苦などの「健康問題」が4087人と最多で、負債や生活苦などの「経済・生活問題」が3436人、「家庭問題」が1009人などとなっている。ただ、30歳代、40歳代、50歳代の男性だけに限ると、最も多かった動機は、いずれも「経済・生活問題」で、それぞれ382人、702人、1235人に上った。(読売新聞) - 6月2日12時54分更新
◆コメント:やはり、優先順位をまちがえているのではないでしょうか?
先進国で、自殺者が7年連続で、3万人を超えている国など、ない。
インターネットを通じて知り合った者同士の自殺が「急増」なんて書いてあるが、55人でしょう。全体は3万人ですから、本質的な問題ではない。
その他の動機を見る限り、景気が全てではないにしても、収入が安定若しくは漸増し、将来の年金にも不安が無いという経済的に安定した状態が具現すれば、自殺者数が減ることは、ほぼ、間違いがないと思われるが、政府はこの件に関しては、驚くほど冷たい。
いいですか。
殺人事件や傷害致死で亡くなる人は、1200人ぐらい。
交通事故死も9000人程度。
自殺が3万人超。 明らかに異常だ。
郵便局を民営化して、突如景気が上向くとは、考えられぬ。
小泉内閣は、やるべき事の順番を間違えているように、思われる。
2004年06月03日(木) 子供にネットや携帯は不要である。(殺人事件とは別の話)
2003年06月03日(火) 医療観察法案を強行採決 委員会可決、今国会成立へ