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2005年04月30日(土) |
「閉鎖滑走路に着陸許可」何だか、日本人、たるんでいません? |
◆記事1:閉鎖滑走路に着陸許可=「忘れて」管制ミス−事故調が調査・羽田空港
29日午後9時39分ごろ、補修工事のため閉鎖中だった羽田空港のA滑走路に、帯広発の日本航空1158便エアバスA300型機(乗員乗客51人)が着陸した。管制官が工事日程を忘れていたのが原因で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は事故に準ずる重大事案「重大インシデント」として調査を始めた。
工事開始前のため、滑走路上に関係車両などはなく、けが人はなかった。同省は日航側に謝罪するとともに、担当した管制官18人を業務から外し、再教育を行うことを決めた。 (時事通信) - 4月30日14時0分更新
◆記事2:閉鎖滑走路への着陸誤指示 管制官ら全員が失念
羽田空港で29日夜、工事のため閉鎖されたA滑走路に日航機が着陸したトラブルで、国土交通省は30日、管制官ら管制グループ18人全員が滑走路閉鎖を失念し誤った指示を出したのが原因と判断、同省航空・鉄道事故調査委員会は重大事故につながる恐れがあったとみて、調査官3人を羽田空港に派遣し調査を始めた。
国交省は航空法違反で処分する方針。また降下中の別の日航機が、着陸をやり直していたことも分かった。
事故調委は管制交信記録を分析するなどして、詳しい状況を調査。指示を出した管制官(35)は事情聴取に「漠然とは閉鎖があることは頭の隅にあったが、昨日がその日との認識はなかった」と話しているという。 (共同通信) - 4月30日16時41分更新
◆記事3:JR西、またオーバーラン 6日連続、見習い運転士が
30日午後5時ごろ、大阪府高槻市富田町1丁目のJR東海道線摂津富田駅で、西明石発京都行きの普通電車が停止位置を約4メートル行き過ぎた。JR西日本では、尼崎脱線事故を起こした快速電車のオーバーラン以降、6日連続の発生。
JR西日本によると、見習い中の運転士(22)がブレーキのタイミングを誤ったという。指導のための運転士(26)が同乗していた。電車に遅れはなかった。 (共同通信) - 4月30日20時48分更新
◆コメント1:飛行機と鉄道が全てではないが・・・・。
どうも、日本人の仕事へのモラルが下がっているような気がする。
正確に言えば、モラルが低い人の全体に占める割合が、じわりじわりと上がっているような印象を受ける。
私の場合、それを感じ始めたのは、三菱自動車が「明らかに構造上の欠陥があり、これを放置すれば事故を引き起こす可能性がある。」との報告が技術者からなされていたのに、「リコールするとカネがかかる」という驚くべき理由で、経営陣がこれを無視した、という昨年の出来事を知ってからである。
世界に冠たる、高い技術に裏付けられた、高品質を誇るべき日本の製造業-戦後日本経済発展の立役者-が、「人の命に関わる欠陥を抱えた商品を、放置した」という事実は、悪夢のようであった。
これは、単に一人の経営者の人格の問題というよりも、日本人の精神のあり方の変化を象徴しているように思われた。
◆コメント2:管制官18人全員が「忘れていた」で済むか!
同じ、公共交通機関に関することではあるが、先日の尼崎の事故に関しては、まだ、原因は究明されていないので、コメントするべきではないと考える。
しかし、今日の管制ミスはひどいぞ。
閉鎖滑走路に着陸許可を出した。18人の管制官の誰もがそのミスに気がつかなかった。
閉鎖滑走路は、工事のために閉鎖されていた。
今回、事故が起きなかったのは、たまたま幸運に恵まれたからである。
◆コメント3:大惨事になった可能性は十分にある。
もしも、この滑走路が工事の為に路面がボコボコだったら、飛行機は着陸後、脚を壊して胴体をこすり、火を噴いたかも知れぬ。
今日は天候が良く、パイロットも、管制官の着陸許可を得た上に、自らの目視確認で、滑走路上に障害物を認めなかったからこそ、ランディングを決断したのだろうが、天気の悪いときには、視界200メートルとか、最悪100メートルで着陸する場合もある。
その場合は、パイロットは、管制官を信じて着陸するのである。「この滑走路の前方には何もありませんよ」と管制官がいちいち告げるわけではないが、「着陸許可が出る」とは、管制官が滑走路の安全をパイロットに保証している、ということであるから、その言葉を信じてランディングを決行するのである。
もしも、今日の閉鎖滑走路付近の天候が悪く視界不良で、しかも、当該滑走路上に、工事用機械(ブルドーザーなど)が存在していたら、どうなったであろう。
パイロットはその訓練過程において、「タッチ・アンド・ゴー」といって、一旦、着地した後、直ちにフラップを戻してエンジン出力を最大に引き揚げて、再び離陸上昇する、という操作を会得している。
しかし、空母に着艦する軽い戦闘機ならまだしも、巨大な旅客機が着地後、たとえば、前方数百メートル上の障害物を発見して、直ちに、タッチ・アンド・ゴーの体勢に入っても、間に合うかどうか分からない。間に合わなければ、ぶつかるだけだ。
要するに、今日は、たまたま、事故は起きなかったが、運が悪ければ、時速200kmぐらいで突っ走る旅客機が、ブルドーザーに激突し、爆発炎上、全員死亡の大惨事になっていた可能性も十分にあったのだ。その意味では、身の毛もよだつほど、恐ろしいミスである。
なにを大げさな、と言う人は危機管理=リスク・コントロールが何かを理解していない人である。
リスク・コントロールは最悪の事態を想定するべきだからである。
◆コメント4:先日掲載したが、3月以降の航空関係の「事故には至らなかったミス」をもう一度掲げる。
本日、モモリーネ様の日記で取り上げてくださったが、私の4月26日の日記で取り上げた、航空関係で最近多発している、「ミス」「小事故」を掲げる。
- 新千歳空港で1月、管制官の許可が出る前に日航機が離陸滑走を始め、管制官の指示で停止し離陸をやり直すトラブルがあったことが3月1日、分かった。日航はこのトラブルを国土交通省に約1カ月報告せず、同省は日航に厳重注意した。
- 3月2日午後7時ごろ、青森空港で、札幌行きの日航2808便MD81(乗客乗員46人)が誘導路を走行中、除雪した雪だまりに右翼先端をぶつけライトを破損した。乗客らにけがはなかったが、同機は欠航した。
- 3月3日 羽田空港で3月3日に、女満別から到着した日航1184便エアバスA300(乗客乗員150人)が、管制官から指示された誘導路を通り過ぎるトラブルがあったことが4日、分かった。 日航は「管制指示違反に当たる可能性がある」として国土交通省に報告したが、同省は「報告義務が生じる状況ではなかった」としている。
- 3月11日 韓国・ソウル近郊の仁川空港で3月11日、日航機が管制官の意図に反して滑走路に入り、この滑走路に向け降下中だった韓国機を管制官が回避させていたことが12日、分かった。日航が同日、国土交通省に報告した。
- 3月16日 羽田発札幌行きの日航機が16日、緊急時に作動する脱出用スライドのスイッチの切り替えをせずに運航していたことが17日、分かった。客室乗務員の確認ミスとみられ、日航は国土交通省に報告した。
- 3月22日午前9時すぎ、広島発羽田行き日航1600便エアバス300−600(乗客乗員136人)の機長から「操縦室内で煙のにおいがする」と羽田の管制塔に連絡があった。 同機は午前9時半、羽田空港に緊急着陸したが、機体に異常はなく、けが人もいなかった。日航などがにおいの原因などを調べている。 羽田空港には緊急着陸に備え、消防車が待機した。
- 3月22日 福島空港でJAL機尻もち 滑走路灯破損
- 3月22日午後8時40分ごろ、オーストラリアのブリスベーン発成田行き日航762便のジャンボ機が、成田空港に到着後の機体点検でエンジン付近のパネルの一部が脱落していることが分かった。
- 3月27日午前8時すぎ、ジャカルタから成田空港に到着した日航726便ボーイング777の左翼からゴム製部品が脱落しているのを整備士が発見した。空港は2本の滑走路のうち1本を午前8時16分から7分間閉鎖して調べたが、部品は見つからなかった。発着便に影響はなかった。
- 3月30日午前1時15分ごろ羽田空港で、けん引車で誘導路を移動中の日航ジャンボ機の左翼が、空港外周のフェンス監視用カメラの支柱に接触し損傷した。ジャンボ機には誰も乗っておらず、けん引車の作業員2人にもけがはなかった。
- 4月5日 日航機の部品の一部が欠損 全日空機も部品脱落
- 4月7日 高松空港に7日夜到着した羽田発の日航1411便エアバスA300で、エンジン付属部品のボルト1本が脱落しているのを整備士が発見した。羽田、高松両空港で8日朝、滑走路を点検したが見つからなかった。
- 4月12日 日航は12日、社内規定で資格を満たしていない副操縦士が、計3便で離着陸をしたことを明らかにした。 日航によると、6カ月以上の経験がない副操縦士は、教官資格がない機長と乗務した場合、離着陸時に操縦することが禁じられている。この副操縦士は発令後5カ月余りで資格外だった。
- 4月14日 成田空港に14日午後、到着したホノルル発の日航73便ジャンボ機の翼にある部品の一部が欠けていたことが、到着後の機体点検で分かった。
- 4月17日 17日午後6時ごろ、成田発香港行き日航735便DC10(乗客乗員約200人)が離陸のため誘導路を移動中、操縦装置などを動かす油圧系統の一つが異常を示した。 同機は駐機場に引き返し、点検のため滑走路が約8分間閉鎖された。乗客は代替機に乗り換えて、約3時間遅れで出発した。
- 4月22日 全日空便が無許可滑走 機長、管制指示を「失念」 小松空港
◆コメント5:「管制ミス」とは、どれぐらい危ないことか。
こういう事件があったのを覚えていませんか?2001年の出来事です。
◆日本経済新聞2001.2.3【14版1面】━
1月31日、静岡県焼津市付近の上空で日航機同士が異常接近(ニアミス)し、羽田発那覇行き907便ジャンボ機の乗員乗客計42人が重軽傷を負った事故で、国土交通省は2日、「管制官が接近を回避するため航空機を降下させる際、便名を呼び間違えて指示した」との調査結果を発表、管制ミスが事故の原因となったことを明らかにした。
同省航空局は同日、管制を担当した東京航空交通管制部(埼玉県所沢市)の管制官2人に対し、事情聴取を実施。
その結果、当該空域の管制資格を取得するための訓練中だった管制官(26)が、航空機の接近を回避するため、着陸予定の釜山発成田行き958便(DC10型機)を降下させるつもりで、誤って907便を呼び、降下指示を出していたことが分かった。
907便は指示通り、降下を開始。管制官は言い間違いに気づかず、混乱したまま指示を続け、両機は約1分半後にニアミスした。
当時、管制卓には教官役の管制官(32)が付き添っていたが、この管制官も管制ミスに気づかなかった。
この後、しばらくして、指導を受けていた管制官(の卵)も指導を行っていた管制官も、自らのミスの大きさにより、PTSDだか、パニック障害になったと記憶している。
だからといって許されるわけではないが、本人達が如何に重大なミスだったかを一番良く理解していたのであろう。とにかく、航空管制官の責任は重いのだ。
長くなるので、多くは触れないが、その責任の大きさの割に、航空管制官の給料は驚くほど安い。責任だけ負わせて給料は安い。
一方で、地方公務員なんてのは、一日中市役所の出張所で新聞を読んでいるだけ、のようなオヤジがいつまでも辞めず、辞めるとなると結構な額の退職金を手にする。この国は、税金の配分がおかしいのだ。
◆コメント6:しかし、それにしても、たるんでいる。
尼崎の列車事故の数日後には、こんな事故もあった。
◆<磐越事故>高速バスが横転 3人死亡、3人重傷 猪苗代町
28日午前6時ごろ、福島県猪苗代町の磐越道上り線の磐梯河東IC―猪苗代磐梯高原IC間で、大阪発仙台行きの高速バスが横転し、3人が車外に放出され全身を強く打つなどして死亡、3人が重傷で近くの病院に搬送された。また、他の14人は軽傷だという。上り線は同20分から同区間で通行止めになっている。(毎日新聞) - 4月28日8時57分更新
これは、運転士がよそ見をしていたのが、事故の原因であることが判明した。
「プロの運転士が」「高速道路で」「よそ見」?
素人の私ですら、よそ見をして運転をしたことなど、ないぞ。
そして、冒頭に引用した記事3「JR西日本オーバーラン6日連続」。
運転していたのは見習いだが指導官がそばについていて、ブレーキングが遅れるのか。
いっそ、電車も自動車教習所の教習車のように、教官用の副ブレーキを設置してはどうか。
◆コメント7:原因はいろいろ考えられるだろうが・・・。
非常に月並みな、だれでも思いつくことと云えば、今の日本は、もはや、高度成長期のような経済成長は期待できず、昔のように「長く務めていれば、自然に給料が上がってゆく」という世の中ではなくなっていることだ。一言で言えば、「働きがいがない。」
真面目に働いていても、給料を減らされたりする。
努力しても報いが無いという世の中では、モラルが下がる可能性は高い。
しかし、それでは、給料を上げれば、「オーバーラン」や「航空機の整備不良」や「航空管制官のミス」が根絶するとは保証できない。
私のように頭の悪い人間に云えることは、ただひとつ。
無闇に「向上」しようとしなくて良い。
誰もが「自分の普通の仕事を」「ちゃんとやる」ことだ。
私は、かつて、外国為替の仕事に携わり、その間に、既に生涯賃金分以上の収益を会社にもたらした。
海外赴任中に親が死んだ。親の死に目に会えなかったが仕事をした。
その後、「うつ病」になったことにより、給料は半分以下、
ボーナスは3分の1以下になった。
今は、別の部署にいる。
しかし、仕事で手を抜いたことは、ない。
2004年04月30日(金) 「<サマワ>陸自宿営地付近でまた爆発音 隊員一時退避」サマワは非戦闘地域ですか?
2003年04月30日(水) そろそろ五月病になりかけている人がいるはずだ。