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JIROの独断的日記
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2005年04月23日(土)  「(中国の)平和的な発展」だって?(ワシントンポスト社説)

 昨日、アジアアフリカ会議で、小泉首相が謝罪したのに、中国は「言葉だけでは不十分だ」と述べ、予想したこととはいえ、要するに何度謝っても、イチャモンを付けてくる。

 日本が戦時中に殺戮を行ったのが、事実であったとしても、何度も述べているように、古今東西、戦争に参加した全ての国は、多かれ少なかれ、国家公認で他国人を殺害しているのであり、その非倫理性は、戦勝国であろうが、敗戦国であろうが、完全に同一である。

 そう考えて腹立たしい思いでいたら、またもやワシントンポスト紙の社説が(日本人にとっては)小気味良い調子で、中国を批判しているので、御紹介したい。

 なお、念のため申し添えるが、アメリカのジャーナリストが述べていることは正しいけれども、私は、今週、ワシントンポストが日本を擁護してくれたからといって、従来の自分の思想を変更する訳ではない。

 つまり、安易な憲法改正(9条改正)や、日本に集団的自衛権の行使を認めることには、今でも反対である。

 なお、今回の記事の引用元は、

 A 'Peaceful Rise'?

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A10699-2005Apr22.html

である。


◆「平和的発展と(中国は)云っていなかったか?」(4月22日付、ワシントン・ポスト紙社説)

 

 かつて中国が、「平和的な発展」を通じて世界大国としての地位を目指す、と約束したとき、フー・チンタオ(胡錦濤)主席の口から出たその言葉は、頼もしく聞こえたものだ。

 だが、ここ数年間の中国の実態を見るにつけ、「平和的発展」はますます空しく響くようになりつつある。胡錦濤氏が云うところの「平和的」な政策のもとで、中国本土政府は香港の民主主義を乱暴に抑圧し、イランやスーダンのような無法者と手を組もうとしており、国防予算は毎年2ケタ台で増加している。

 また、台湾が中国の要求(JIRO注:中国は、台湾は中国に併合されるべきだと考えている)に従わないときには、宣戦布告することを認める法案を採決した。 そして、現在は、大衆の感情的なナショナリズムを、日本を脅迫する野蛮な手段として用いている。

 これらは全て、国際社会の安定をもたらすこととは正反対の行為である。胡錦濤氏の政策は周辺地域を対立する二極に分裂させ、アメリカや世界の他の国々にそのどちらかの側に立つか選択を迫る、という危険な状態をもたらしているのだ。

 世界中の誰一人としてこのような状態を望んでいないが、もしも、選択を迫られることになったとしても、決断は、容易に下されるだろう。

 日本の民主主義政権は、台湾も同様だが、近隣諸国に対して何ら脅威をもたらしていないし、特に日本は、近年とみにアジアと世界の安全保障に貢献している。

 日本の右翼は今でも1930年代から40年代にかけての対外侵略を軽視しようとするが、日本政府は何度も繰り返し近隣諸国に対して、60〜70年も昔の罪に関して謝罪している。

 昨日(4月22日 金曜日)、小泉純一郎内閣総理大臣は、中国政府との緊張を和らげ、フー・チンタオ(胡錦濤)主席との会談への道を拓くために、今一度、謝罪を繰り返したほどである。



 中国側は、この日本の宥和的な申し出に対して、しぶしぶ応じてやる、というジェスチャーを示しているけれども、1972年の日中国交正常化以来最悪と云われている現在の日中関係をもたらした殆ど全ての責任は中国にある。

 日本の歴史教科書問題に関して、過剰な反発を示し、デモに参加した中国市民が、北京、上海などにある日本の在外公館や北京の日本料理店を襲撃することを黙認したどころか、むしろ扇動したのは、胡錦濤政権なのである。

 中国の一般大衆が反日感情を持っていることは確かだが、胡錦濤政権は、その民衆の破壊的なエネルギーを、あおり立て、自分たちの政治目的に利用する、という非常に危険、かつ無責任な決断を下したことになる。



 彼らの政治的目的のひとつは、日本の、国連安保理の常任理事会への加入という、至極もっともな要求を阻止することであり、今ひとつは、ナショナリズムを高揚させることによって、既に長すぎる中国共産党による一党支配体制を維持することである。

 だが、中国政府は、反日デモが突如その矛先を自分たちに向ける可能性を恐れて、ようやく、騒動を鎮圧しようとする努力を開始した。

 中国政府の公式声明は、「無許可の」対日抗議行動は止めよ、と告げている。



 いずれにせよ、中国の指導者たちが、今回の経験から、乱暴で粗野な「香港、台湾、日本叩き」によって彼らの支配力を強化しようとしても無駄であること、ましてや「平和的発展」からは最も縁遠い方法である、ということを学んだかどうか、甚だ、怪しい。

 現在の中国政府の態度は、むしろ、他のアジア諸国と、最終的にはアメリカとの団結力を高め、中国の好戦的な態度を抑止しようとする動きを起こさせる原因になりかねない。

 それは、アメリカ合衆国にとっても、中国にとっても、他のアジア諸国にとっても、国際的な安全保障にとっても望ましいことではない。

 この最悪の事態を防ぐことが出来るか否かは、胡錦濤主席が、今回の一連の政治的判断の誤りを認識できるかどうか、にかかっている。


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