DiaryINDEX|past|will
2005年02月19日(土) |
小泉内閣の経済政策は、完全に失敗しているにも関わらず、大新聞、野党は追及が甘い。 |
◆説明:小泉内閣は、大手銀行の不良債権さえ減らせば、デフレ不況は克服できる、と云っていたのです。
小泉首相は2002年9月30日に小泉改造内閣を発足させました。
このときの最大の話題は、柳沢金融大臣を更迭して、新たに新たに民間の竹中平蔵氏を経済財政担当大臣・金融大臣兼務にしたことです。
これによって、本格的に不良債権処理をやるぞ、と言う姿勢を示したのです。
実際に竹中大臣は、「金融再生プロジェクトチーム」を発足させました。このチームのメンバーは日銀出身で、強行派で知られる木村剛氏らで構成されていました。彼らの考え方ははっきりしていました。つまり、
「日本が不況から脱することが出来ないのは、銀行が多額の不良債権を抱えていて、これが足かせとなり、新規の融資(貸し出し)ができないせいだ。だから企業も必要な資金を借りることができず、設備投資を行えない。
このため、企業収益が低迷→従業員の給料を減らす→国民は消費を減らす(モノを買わない)→よけいにモノ・サービスの値段が下がる。→企業収益がますます悪化する。 という「デフレスパイラル」に陥っている。これを断ち切るには、銀行の不良債権を強制的に減らすしかない」
という考え方でした。
実際に、竹中さんはテレビのインタビューで過剰債務を抱える不振企業について
「駄目な企業が退場するのは資本主義の普通のルール。本当に必要な企業にお金が回るようにすべきだ」
と述べ、大手銀行の不良債権処理を加速させるなかで不振企業の整理、再編を促す意向を表明しました。
◆竹中大臣は不良債権処理を銀行に強制しました。
銀行界からは目標が厳しすぎる、など、猛反発があり、与党の内部からですら、同様の意見がありました。しかし、竹中さんは金融プロジェクトチームが策定した内容を実行に移しました。
◆結果はどうでしょう?大失敗です。数字に表れています。
竹中さんが金融相に任命されてから、今日で、873日が経過しました。
さて、景気は回復したでしょうか?していません。
銀行の不良債権残高は確実に減っています。しかし、貸し出しが増えない。ちょっと統計を見てみましょう。
◆記事1:銀行不良債権23・8兆円…ピーク時より半減(読売新聞)- 1月21日22時39分更新
金融庁は21日、全国127銀行の2004年9月末の不良債権残高(金融再生法ベース)が計23兆7910億円となり、同年3月末に比べて2兆8030億円減少したと発表した。各行が不良債権処理を進めたためで、ピークだった2002年3月末の約43兆2070億円からほぼ半減した。
竹中さん(に入れ知恵した木村さん)の命令通り、銀行は不良債権を減らしました。さあ、景気が回復しているはずです!それには、まず、銀行の貸し出しが増えなければいけないのでしたね?
では、再び数字を見ましょう。
◆記事2:2004年の銀行貸出残高、4.0%減・8年連続マイナス(2005年1月12日 日経)
日銀が12日発表した貸出・資金吸収動向によると、都市銀行や地方銀行など民間銀行の貸出残高は2004年平均で389兆331億円となり、03年比4.0%減だった。
8年連続のマイナスとなったが、03年の減少率に比べ0.9ポイント縮小した。日銀では、「企業の有利子負債圧縮の動きが続いてはいるものの、銀行の住宅ローン強化などが奏功してきている」(考査局)という。
日経はどうして、政府の言い訳の代弁をするのか良く分かりませんが、客観的事実は、不良債権は半減したが、銀行貸し出しは減り続けているということです。
実際の経済はどういう状態でしょう?モノ・サービスの価格が下がり続けるデフレが止まっていればいいのですが。
◆記事3:2004年の全国消費者物価0.1%下落 (2005年1月28日 日経)
総務省が1月28日朝発表した2004年の全国の消費者物価指数(2000年=100)は、生鮮食品を除く総合が97.9と前年比0.1%下落し、前年の水準を5年連続で下回った。
このうち04年12月は前年同月比0.2%下落の98.0となり、3カ月連続の下落となった。
同時に発表した2005年1月の東京都区部の消費者物価指数(中旬の速報値)は、生鮮食品を除く総合が96.4と、前年同月比0.5%下落し、前年同月の水準を5年4カ月連続で下回った。
誠に残念ながら、デフレは今も続いているのです。
念のため、日本国内の経済活動の変化を示す、GDP(国内総生産)を見てみましょう。今週水曜日に発表があったばかりです。
◆記事4:10-12月期のGDP、実質で年率0.5%マイナス成長 (2月16日 日経)
内閣府が16日発表した昨年10―12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を調整した実質で前期比0.1%減、年率換算で0.5%減となった。
マイナス成長は昨年4―6月期以来、3.四半期(9カ月)連続。設備投資は堅調だったものの、個人消費の減速が響いた。
ただ景気の実感により近いとされる名目GDPは前期比0.02%増、年率0.1%増と3四半期ぶりのプラス成長。
名目成長率が実質を上回り、デフレ後退を映す内容となった。
GDPは四半期(3ヶ月)ごとに発表されます。
過去2四半期を含めて振り返ってみます。2004年の数字です。
◆4-6月期
実質GDP 前期比 +0.4%
名目GDP 前期比 -0.3%
◆7-9月期
実質GDP 前期比 +0.1%
名目GDP 前期比 ±0.0%
◆10-12月期
実質GDP 前期比 -0.1%
名目GDP 前期比 +0.02%
◆景気が回復しているとは云えない。
こういう景気指標は、株式や為替の相場と同様、ある時点だけを見ても、判断できません。
トレンド(傾向)を見なければ、経済の実態がどのように変化しているか分からないのです。
2月16日の日経新聞は、
「景気の実感により近いとされる名目GDPは前期比0.02%増、年率0.1%増と3四半期ぶりのプラス成長。名目成長率が実質を上回り、デフレ後退を映す内容となった。」
と書いています。まるで政府の広報機関のようですね。
そのまえ、ずっとゼロ成長か、マイナスが続いていて、今回、名目GDPがほんの少しだけ(0.02%)プラスになったことだけで「デフレ後退を映す内容」である、と書くのはあまりにも楽観的すぎます。
プラスになったのは、9ヶ月ぶり。そしてまだ、ただの1回しか見ていないではないですか。
第一、不況の原因であるデフレ。つまり、モノ・サービスの価格は、記事3ではっきりとかかれているとおり、通年でみても5年連続で下落しているのです。
消費者物価指数がプラスに転じて、さらに、それが少なくとも3ヶ月、本当は6ヶ月連続しなければ、デフレが収束したとは言えません。
◆不良債権だけ減らして、仕事を済ませたフリをして、責任を取らない内閣。
小泉首相は竹中平蔵氏を金融相に抜擢し、竹中氏は木村氏らを集めて政策を立案しました。
彼らの論理を今一度繰り返すと、
不良債権が減れば、銀行貸し出しが増え、デフレは収束して、不況から脱することができる
というものでした。しかし結果はどうでしょう。
銀行は不良債権を必死に減らしたが、景気はいっこうに回復していない
のが客観的事実です。
つまり、小泉内閣の経済政策は失敗だったのです。
これほど、わかりやすい失敗も珍しい。
何故、こうなったかについては、昨年8月24日に不良債権は不況の原因ではない。結果なのだ。で書いたので、お読みいただければ幸いです。
◆どうして、誰も、この大失敗の責任を追及しないのだ?
不良債権処理の立役者、竹中平蔵氏はその後、郵政民営化担当大臣というわけのわからん肩書きになり、もう自分には関係がない、という顔をしています。
竹中平蔵が抜擢した木村君は日本振興銀行というところに移って、もはや、経済政策には関係ありませんというつもりなのでしょう。
竹中・木村の政策が失敗だったその責任は、当然、小泉純一郎内閣総理大臣に帰するのです。
ところが、我が国の内閣総理大臣は今の景気なんか、全く眼中にない。 やたらと郵便局がお好きなようです。
景気が全然回復しないまま、巨額の不良債権を抱えた、簡保・郵貯を民間金融機関にしようとしている。何も分かっていない。
日本経済新聞、朝日、毎日、読売、産経。どの新聞も、小泉首相の景気対策の失敗について責任を追及しないし、通常国会中であるのに、野党の追求も甘い。
ブンヤ(新聞屋=新聞記者)さんたち。国会議員のセンセーがた。
真面目に仕事をしてください。
2004年02月19日(木) 「<劣化ウラン弾>イラク戦争で米軍使用、オランダが認める」これでも、自衛隊を派遣しろ、というのは、どういう論理?
2003年02月19日(水) 北朝鮮がミサイルを発射した場合の政府対応って、すごいよ。1発目が着弾するまでは、見ているのだそうだ。