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2005年01月12日(水) |
「金融再生プログラム」は失敗ではないかとおもうが、記者会見で誰も追求しない。 |
◆記事1:大手銀 三井住友・みずほ、不良債権比率を半減 半年前倒し達成−−9月中間決算
大手銀行のトップを切って、みずほフィナンシャルグループ(FG)と三井住友FGが22日、04年9月中間決算を発表した。
連結最終利益はみずほが前年同期比8・4%減の2339億円、三井住友が同62・8%減の533億円。
東京都による外形標準課税の返還があり、利益がかさ上げされた前年同期の反動で、減益となったが、不良債権処理がヤマを越え黒字は確保した。
9月末時点の不良債権比率(貸出金に占める不良債権残高の割合)は、みずほが3・1%、三井住友が4・4%となり、両グループとも、3年間で同比率を半減させる政府の金融再生プログラムを半年前倒しで達成した。
両グループともに07年3月末までに剰余金を積み上げて返済原資を確保する方針を表明、早期の公的資金完済に意欲を示した。毎日新聞 2004年11月23日
◆記事2:2004年の銀行貸出残高、4.0%減・8年連続マイナス
日銀が12日発表した貸出・資金吸収動向によると、都市銀行や地方銀行など民間銀行の貸出残高は2004年平均で389兆331億円となり、03年比4.0%減だった。
8年連続のマイナスとなったが、03年の減少率に比べ0.9ポイント縮小した。
日銀では、「企業の有利子負債圧縮の動きが続いてはいるものの、銀行の住宅ローン強化などが奏功してきている」(考査局)という。
民間銀行のうち、都市銀行などの貸出残高は6.4%減と減少率は1.3ポイント縮小。第二地方銀行も2.2%減となり、1.9ポイント縮小した。一方、地方銀行は03年は0.4%伸びたものの、04年は0.3%減だった。(Nikkei Net)
◆記事3:12月の都区部消費者物価、前年比0.4%下落――11月の全国も0.2%下落
総務省が28日発表した2004年平均の東京都区部の消費者物価指数(2000年=100、速報値)は前年に比べ総合で0.1%、物価の基調を映す生鮮食品を除くベースでは0.2%のそれぞれ低下となった。
ともに1999年から6年連続の下落で、緩やかなデフレの傾向が続いた。
天候不順でコメや野菜、米国産牛肉の輸入禁止で牛丼が大幅に値上がりしたものの、パソコンをはじめとする耐久消費財や自動車保険などの値下がりが目立った。
◆コメント:銀行の不良債権さえ減らせば、景気は回復すると首相、金融相は云っていた。
金融再生プログラムは2002年に竹中金融相のタスクフォース(木村剛などから成る特別チーム)が策定した政策である。
要するに、「不況が続いている原因は、銀行が多額の不良債権を抱えているためだ。」という考え方である。
不良債権が足かせとなって、銀行は新規の貸出が出来ず、企業が必要とする資金を借りることができない。それが、経済活動が拡大せず、デフレが止まらない原因なのだ、というのが、小泉・竹中の経済政策の大前提であった。
そして、銀行の不良債権を減らすために、金融庁は、1年に何度も4大メガバンクに検査に入り、不良債権と見られるものは早く処分することを強制した。
おかげで、頑張ってコストを切りつめて、立ち直りかけていた何千という企業が潰された。
◆不良債権は減ったが貸出は減り続けている。
さて、記事1にあるとおり、平成16年度の中間決算で、主要行は竹中金融相の要求を実現した。
貸出金全体に占める不良債権の割合、つまり不良債権比率は、平成14年度3月期には8%以上だったのが、今では、4%である。
竹中理論によれば、銀行の貸し出しが増えて、デフレは止まらなくてはおかしいのである。ところが現実はどうか?
記事2にはっきり書かれているとおり、今もなお、銀行の貸出残高は減少し続けている。
そして、記事3を読むと、物価が下落し続ける現象、つまりデフレーションは依然続いていることが明らかである。
◆どうしてこのようなことになったか。
詳しくは、昨年、8月24日と8月29日に書いたので、ご参照頂けると有難いのだが、一言でいえば、銀行の不良債権は、不況の原因ではなくて、結果であるのに、これを取り違えたことが、致命的な判断ミスだったのである。
◆経済政策の失敗の責任をマスコミは何故問わないのか?
毎週、火曜日と金曜日には閣議(内閣、大臣たちの会議)が首相官邸で開かれる。その後、各大臣は、定例の記者会見を開く。
その質疑応答は各省庁のホームページに掲載される。
金融庁であれば、記者会見概要へ行けばインデックスがあるから、マスコミと大臣の質疑応答を全て読むことができる。 私は仕事上、金融相、金融庁長官、日銀総裁会見などは全部読むので、分かるのだが、この「金融再生プログラム」の明らかな失敗を、記者会見の席上で問い質す記者がいない。
新聞報道に関しては、全てに目を通している暇はないが、今はネットで全国紙のみならず、地方紙の記事・社説を読むことができるので、なるべくチェックしているのだが、やはり、経済政策に対する追求が全くと云ってよいほど、見られない。
昨日も書いたように、人間は直ぐ忘れる。しかし、マスコミは商売なのだから、忘れたり、忘れたふりをしてはいけないのである。どうしてこれほど遠慮するのか。政府に睨まれるのが怖いのならば、ジャーナリストなんか辞めた方がよい。
兎に角、私は、竹中前金融相と小泉純一郎内閣総理大臣の説明(弁明)を聞きたい。明らかな失敗をしたら、認めなければいけない。
直ぐに何でも忘れて、なんとなく「まあ、もう、いいじゃないか」で済ませるのが日本人の悪癖である。
2004年01月12日(月) 大量破壊兵器は無かった。何故、米国はフセインを拘束できるのか?何故、小泉首相は米国を支持し続けることができるのか?
2003年01月12日(日) ウィーンフィルのホルンとリヒテルのピアノ どちらも、日本製です。