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2004年07月23日(金) |
「自殺者、過去最多3万4千人」 「どういう事情かわからないが・・」小泉首相 ちゃんと資料を読んで下さいよ。 |
◆記事1:自殺者、過去最多3万4千人=経済苦激増、初の8千人超−03年警察庁まとめ
昨年1年間の全国の自殺者は3万4427人で、前年より2284人(7.1%)増え、統計を始めた1978年以降最多になったことが22日、警察庁のまとめで分かった。働き盛りの40、50代の男性を中心に「経済・生活問題」が動機の自殺が激増、初めて8000人を超えた。
人口10万人当たりの自殺者は27.0人で、前年比1.8人増加。自殺者のうち、成人男性が2万4329人で全体の7割を占めた。
自殺の原因・動機は、病苦などの「健康問題」が1万5416人と最多で、「経済・生活問題」が8897人、「家庭問題」2928人、「勤務問題」1878人だった。
経済・生活問題の激増が目立ち、前年比957人(12.1%)の増。6年連続で過去最悪を更新し、最少だった90年(1272人)の7倍に膨れ上がった。うち、40代の男性が1853人、50代の男性が3031人で、合わせて半数以上を占めた。 (時事通信) [7月23日6時4分更新]
◆記事2:経済の改善努力は必要=自殺者増で首相
[東京 23日 ロイター] 小泉首相は、昨年1年間の自殺者の数が3万4427人となり、統計開始以来最多を記録したことについて、「事情はいろいろあり、経済だけではない」としながらも、経済の改善努力は必要だ、との考えを示した。
小泉首相は、自殺者数が増加していることについて聞かれ、「どういう事情かわからないが、あまり悲観的に思わないで、がんばっていただきたい。理由はなかなかわからない。厳しい状況だと思うが、できるだけ少なくなるような対応が必要だ。これだという特効薬がないので困っている」と述べた。
また、経済・生活問題を原因とする自殺が目立つが、今後構造改革をどのように進めるのかと聞かれ、「事情はいろいろあり、経済だけではないと思う。しかし、経済状況を改善する努力は続けていきたい」と答えた。
◆記事3:(3月26日)自殺でも保険金支払い義務/最高裁が初判断 1年経過後
契約から1年間は自殺による保険金を支払わない特約がある場合、1年経過した後の保険金目的の自殺について、保険会社に支払い義務があるか否かが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷(甲斐中辰夫裁判長)は2004年3月25日、「自殺の動機、目的が保険金取得だったとしても、保険会社は免責されない」との初判断を示した。その上で、東京都内にある防水工事会社の保険金支払い請求を棄却した2審判決を破棄、審理を東京高裁に差し戻した。
◆コメント:1日に100人自殺している世の中なのですね。
暗いニュースだけど、誰も取り上げたくないだろうから敢えて取り上げる。
自殺者が3万人というのは、昨年の交通事故死が1万人を遙かに下回ったのであるから、やはり異常である。自殺者は根性がないのだ。現実から逃避した卑怯者だ、とののしる人は、きっと今でも大勢いるだろう。しかし、うつ病研究で有名なシカゴの精神科医クレイネスは、
「今まで死にたいと思ったことのない人は、教養のない人である。つまり、折にふれて死を考えることは誰にでもあることで、別に異常ではないのである。人生に希望が大きければ大きいほど、不安や絶望は大きい。もともと、人生に希望がなく、「どうなっても良い」と考えている人には、不安や絶望もない。」
と述べている。教養のないは多分(uneducated)の訳だろう。これは、十分に納得のいく見解である。
だが、実際に自殺を実行に移すとなると、やはり、相当精神的に病的な状態、病的に抑うつ的な状態にあると考えられ、自殺者の8割はうつ病が関係しているのではないかともいわれる。
うつ病は脳内神経伝達物質のバランスが崩れることによって惹起される疾病であり、インスリンが足りなくて発症する糖尿病と、病気という点では同一である。一方は脳という臓器で、他方は膵臓という臓器で起きるのが違うだけだ。
しかし、精神論・根性論の好きな日本人には、このような簡単なことも理解したがらない人が多いので、うつ病にかかった人が、精神科の受診が遅れて、希死念慮が昂じて、ついには自殺を実行するという経過があることは、まちがいない(勿論、それが全てであるとは、云わないが)。要するに啓蒙が足りないのが一つの要因である。
小泉首相は、「冬のソナタ」のチェ・ジウさんに会うときや、3月30日に、漫画家の藤子不二雄Aさんや里中満智子さんらでつくる「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」が小泉首相を訪ね、コミック本など出版物にも音楽CDなどと同様に著作権料を徴収できる「貸与権」を認める著作権法改正案の今国会での成立を求め、陳情書を提出したところ、小泉首相は「知的財産の一環として非常に大事だ」と答え、理解を示すなど、成功している人には親切だ。
ところが、以前、自殺遺児の代表が同じように首相官邸を訪ねたときのニュース映像を、私ははっきり、覚えているのだが、小泉首相は、ものすごく冷たい表情だった。「知るか」と云わんばかりだった。この人は、基本的に人の不幸は何とも思わない人なのである。弱者を助けるのが政治の大きな役割ではないのだろうか?
今日のコメントでも(記事2を読んで下さい)、自殺者について、「どういう事情かわからないが」と平気で述べているが、記事1を読めば一目瞭然で、昨日、警察庁は自殺者の動機別の数まで出しているのだ。ちょっと目を通せば、分かることだ。それを平気で「分からない」という。この人の軽率さが顕著に現れている。
問題は全く異なるが、「イラクの非戦闘地域がどこなのか、私に分かるわけがない」というのと、共通の姿勢である。分からないのは、分かろうとしないからで、何故分かろうとしないかというと、興味がないからである。どういう動機で自殺者が増えているのか、イラクのどこで自衛隊員が死のうが、知ったことではないというのが、恐らく、この人の本音である。
記事3は載せようかどうしようか迷ったが、最高裁が今年の3月に、「自殺でも保険金は支払われなければならないという判決を下した。これで、多分、今年はもっと自殺者が増えるだろう。
全ての自殺が、経済的な理由、マクロ経済に関係するものではないだろうし、全てが小泉首相の責任だとは、勿論云わないけれども、自殺者が増加しているというのは、経済政策と全く無関係でないことも確かである。不良債権を減らした結果、つぶれた会社も多い。路頭に迷った人も多いのだからね。もう少し真剣に考えてくれてもいいのではないかな。
「改革」を口癖にする小泉純一郎内閣総理大臣だが、人を死に追い込むような「改革」は、正しいわけがない、と少なくとも、私は考えている。
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