JIROの独断的日記
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2003年07月23日(水) |
未知の分野の知識を得る方法 |
故・司馬遼太郎さんのエッセイを読んでいて非常に印象に残った話がある。司馬さんは、小説を書き始める場合、たとえば「竜馬が行く」なら坂本竜馬に少しでも関わる本を全部売ってくれ、といつも懇意にしている古書店に頼むのだそうだ。無論、ものすごい量になるわけで、ひとつの小説を書くための資料に数千万円もかかったという。それらをすべて読破するというのである。こうしたことは誰にでもできることではないが、司馬さんは他にも大変参考になることを書いている。
自分にとって全く未知の分野に就いての知識を得なければならないときには、まず、その分野に関して子ども向けに書かれた入門書を何冊も読むのがよい、と司馬さんは云うのである。こういう本は大抵その道の一流の学者が、噛んで含めるようにして易しい文章で書いているので、大変参考になる。「菜の花の沖」を書くときには船舶や航海に関する知識が必要だったので、その分野の子供用の本を読んだという。
あの教養人、天下の碩学(せきがく=学問の広く深い人)が、そのような地道なことをしていたのか、と感動した。
ひとつのテーマに関して何千万円もの資金を資料のために投じることは、さすがにわれわれ一般人には難しいが、後の方法ならば、誰でもできることだ。
インターネットにも子供用のサイトは沢山ある。火星大接近のことを調べようと思って、有名な天文サイト日本惑星協会を見たら、「こども宇宙教室」というコーナーがある。これがなかなか、良く出来ていて、内容は決して幼稚ではなく、しかし、説明は可能な限り平易かつ簡潔に書かれている。
ブラックホールとは何か。銀河とはなにか。太陽系について。天文学用語集。大人でも十分、というか、普通の大人はこのレベルからアプローチすべきではないかと思えるほどである。日本惑星協会のサイトには最近、段々大きく見えるようになってきた火星の画像も載っているので、いままで、関心が無かった人でも一度見てみると面白いかもしれない。
2002年07月23日(火) 実名報道
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