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2004年04月18日(日) |
「ロシア大統領顧問、京都議定書批准に反対=WWF」地球温暖化が進行すると、ロシアが消える。【追加】サマワで銃撃戦 |
◆記事:ロシア大統領顧問、京都議定書批准に反対=WWF
[オスロ 12日 ロイター] プーチン・ロシア大統領のブレーンの一人、イラリオノフ大統領顧問は、ロシア政府に対し、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出を制限する京都議定書への不参加を求めている。
環境保護団体の世界自然保護基金(WWF)が12日、明らかにした。
1997年に採択された京都議定書は、米国が2001年に自国の経済に対する悪影響への懸念と途上国の除外を不公平とする立場から、ブッシュ大統領が不支持の方針を表明し、発効の成否はロシアが握っている。
ロシアは5月20日の最終決定に向け、今後数週間内に議定書を批准するか否かについて政府内で検討する予定だが、イラリオノフ大統領顧問は、順守のための経済コストの大きさを理由に挙げ、議定書から離脱するよう政府に働きかけているという。
WWFの気候変動担当者は、ロイター通信に対し「イラリオノフ氏はロシアに京都議定書批准を拒否するよう要望している」と明かしたうえで、「だが、彼の論拠の多くは間違っている」と述べた。
◆コメント:温暖化が進むと、ロシア自身、本当に困るよ?
プーチンさんも、とんでもない側近を選んでしまいましたねえ。
地球温暖化の進行が如何に深刻であるかに関しては、たびたび取り上げた。最近では、3月8日にやや詳しく書いたので、ご参照いただけると有難い。
で、温暖化をもたらす原因は地球が太陽から受け取るのと同等の熱量を宇宙へ放出できれば、問題は無いのだが、地球の大気圏に存在するいくつかの気体が、熱の放出を妨げているとうことである。その最たるものがCO2である。
何故、CO2が増えるかというと、発電のために石油や石炭などの化石燃料を燃やすことが一番大きい要因なのである。 産業革命以降、徐々にCO2は増えていたのだが、ついに、地球全体の環境に影響を及ぼすほどのレベルに達してしまった。
国別に云うと、アメリカが世界全体のCO2の約4分の1を排出している。にも関わらず、上の記事にあるように、アメリカは「京都議定書」という、各国で目標を定めてCO2を減らしましょう、という条約に入らないと言い出したのである。
事の真相は、当時、全米一の火力発電を運営していたエンロンという会社からブッシュ政権が巨額の政治献金を受け取っていたためである。ところが、エンロンは不正経理問題が発覚して倒産してしまったので、今度は原発会社から献金を受け取るために、「原発増設計画」などと言い出した。全く開いた口がふさがらない。一つの政権が「地球環境」という大きな規模の構想を持たず、カネ勘定だけを考えている間にますます、地球温暖化は進む。
ロシアは、アメリカ(25%)、中国(13%)に次ぐ、世界で3番目に多くのCO2を排出している(因みに日本は5番目で、5%だが、世界第2位の経済大国であり、工業生産規模の大きさにも関わらず、そのCC2排出量は驚くほど少ない。極力、省エネを進め、原子力発電を取り入れているからである)。そして、ロシアが無関心だと困る、と述べるのには、もっと深刻な理由がある。
◆永久凍土が溶けたら、ロシアの国土がなくなる
ロシアは北極に近い緯度に位置するため、国土の多くが「永久凍土」という、水分を多く含んだ土が何万年も凍結したままの独特の地質でできている。シベリアの永久凍土の面積は、実に日本の25倍もあるのだ。
地球温暖化が進行すれば、この永久凍土が溶け出し、国土はドロドロのぬかるみとなり、多くの国民が、難民となるだろう。要するにロシア自体がなくなってしまうのだ。プーチンはそのあたりが、全然分かっていないようだ。
また、シベリアの森林は世界全体の森林の20%もの広さがある。森林は言うまでもなく、CO2を吸収してくれる。近年、シベリアでは森林火災が相次ぎ、一旦発生すると、容易なことでは消火できず、森林の面積が減る。これが、温暖化に拍車をかける。
さらに、永久凍土が融けはじめれば、この森林の樹木も失われてゆく。悪循環である。林業はロシアの貴重な産業だから、森林が失われることは、経済的にも大打撃となる。
まだ、問題がある。永久凍土には、凍土が形成された約3万年前に、この地域で発生した大量のメタンガスが表層部に封じ込められていることが、分かっている。永久凍土が融解を続ければ、やがて、このメタンガスが地上に噴出することになる。そして、メタンガス自体が温室効果ガスなのである。その温室効果は、現在世界が最も注目しているCO2の58倍もあるという。
つまり、温暖化が進行すれば、ロシアは国土の多くを失い、難民が発生する。森林を失えば、林業収入も失う。また、世界にとっても、永久凍土が溶けて、森林がなくなれば、温暖化の進行が加速する。メタンガスが噴出して、それに拍車をかける、と、云う具合で、良いことは何も無いのである。
京都議定書が批准されれば、環境問題が即座に解決するわけではないが、とにかく、米国やロシア、中国、といった大国かつCO2を大量に排出している国家の指導者たちが、全然、地球環境に重大な関心を寄せていないことが、最大の問題である。3月8日の拙文をお読み頂ければ分かるけれども、地球温暖化が食い止められないと、人類が滅亡するのだ。
◆記事2:サマワで銃撃戦 イラク人1人が負傷
【ブリュッセル18日共同】オランダ通信(ANP)が18日伝えたところによると、陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで17日夕、オランダ部隊とイラク人グループとの間で銃の撃ち合いとなり、イラク人1人が負傷した。
負傷したイラク人は、オランダ軍宿営地の医療施設で手当を受けている。
オランダ国防省報道官は18日、銃撃戦の事実を確認したが、銃撃戦に至った理由など詳細は明らかにしなかった。場所は、オランダ軍や自衛隊宿営地から離れた場所という。(共同通信)[4月18日19時56分更新]
◆コメント:それでも、サマワは「非戦闘地域」ですか。
一回銃撃戦があっただけ、ではない。4月7日、8日には自衛隊宿営地の至近距離に迫撃砲によると見られる砲撃があった。おりしも、日本人3人が人質に捕られるという、事件が発生したため、陸上自衛隊は8日間活動を休止した。漸く、人道復興支援活動を開始したら、今日は銃撃戦だ。サマワで銃撃戦があったのである。私は、いつ武力攻撃があるか分からないような場所は、非戦闘地域と認定することができないと考える。
従って、自衛隊がこの地にとどまって、人道復興支援活動を行うのは、イラク復興支援特別措置法に違反していると云わざるを得ない。
◆イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年八月一日法律第百三十七号)
第二条 政府は、この法律に基づく人道復興支援活動又は安全確保支援活動(以下「対応措置」という。)を適切かつ迅速に実施することにより、前条に規定する国際社会の取組に我が国として主体的かつ積極的に寄与し、もってイラクの国家の再建を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に努めるものとする。
2 対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。
3 対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。
一 外国の領域(当該対応措置が行われることについて当該外国の同意がある場合に限る。ただし、イラクにあっては、国際連合安全保障理事会決議第千四百八十三号その他の政令で定める国際連合の総会又は安全保障理事会の決議に従ってイラクにおいて施政を行う機関の同意によることができる。)
二 公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。第八条第五項及び第十四条第一項において同じ。)及びその上空
2003年04月18日(金) 「<米国防長官>イラク側の協力なしに大量破壊兵器発見は不可能」・・・開いた口が塞がらない、とはこのことだ。