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2004年02月23日(月) |
「安部被告心身喪失で審理終結…薬害エイズ」原告の無念さを思うと気の毒 |
◆記事:安部被告心身喪失で審理終結…薬害エイズ
薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われ、1審で無罪判決を受けた元帝京大副学長、安部英被告(87)の控訴審で、東京高裁(河辺義正裁判長)は23、安部被告が心身喪失状態にあるとして公判手続きの停止を決定した。
回復による公判再開の可能性は低く、審理は事実上終結した。
医師・官僚・製薬会社による3者の複合過失が問われた薬害エイズ事件は、医師の判決が決着を見ない展開となった。
安部被告は、帝京大病院の医師にエイズウイルス(HIV)が混入した非加熱製剤の投与を続けさせ、平成3年に血友病患者を死亡させたとして起訴された。
◆コメント:薬害エイズ概略
血液製剤というのは、人間の血液を原料にして作られた薬ですね。今は安全な血液製剤が出回っているそうですが、1980年代にはアメリカでも、非加熱製剤が使われていたのです。ところが、1982年1月には初の血友病エイズ患者が死亡したのです。この年の7月16日にはアメリカのCDC(American Centers for Disease Control and Prevention 米国疾病対策及び予防センター)が血液製剤とエイズとの関連を示唆し、同日のワシントンポスト紙は、「現在有力な(エイズの原因に関する)仮説はウィルス説であり、それは、血液などの体液を通じて伝播する。血友病患者の場合、それは血液製剤であろう」と報じているのですね。この記事のことは日本でも報じられたのです。
この時点で、厚生省が、非加熱製剤の輸入を禁止すれば、薬害エイズなどという悲劇の拡大は阻止できた筈。しかし、何もしなかった。また、ミドリ十字という会社は、1979年にアメリカのアルファ社を買収して、安い血液製剤を大量に輸入して、非加熱製剤のシェアの5割を占めるに至ったのです。82年に、アメリカでエイズが広がり、アルファ社からミドリ十字に対して、非加熱製剤の危険性が伝えられていたのに、何もしなかった。ミドリ十字は厚生省役人の天下り先だったので、厚生省は、なんと、血友病患者よりもミドリ十字の事情を重視したのです。魔の商人と魔の役人が結託したわけです。
1983年になると、マスコミが血液製剤の危険性に関する報道をはじめ、患者団体も騒ぎ出したのです。それで、表向き、あくまで体裁を整える目的で、厚生省エイズ研究班というのが出来ました。それを率いていたのが安部英被告です。
安部英被告は血友病の専門家で、相当早い時期から輸入非加熱血液製剤とエイズとの関連性を認識していた医師であるといわれているのです。認識していながら、もっと安全な血液製剤の使用を拒み、非加熱製剤を使うことを推奨し続けたのです。
しかし、第一審で裁判所は、判決理由の大半を当時(1985年)のウイルス学的知見の検討に割き、結果として当時は世界の誰もHIVというエイズの原因ウイルスとエイズ発症の関係性を明確に論じていなかったという結論を導き、安部被告に危険性の認識はあったものの、その程度は極めて低いもの(本人は、当時の認識では、非加熱製剤を投与して、最終的にエイズを発症するのは10%程度と供述)であったと認定しました。そして、このように低い危険認識のもとで、有効な代替治療法がなかった当時では(実際には、クリオ製剤という製剤の存在と加熱処理した血液製剤が治験中であり1985年7月に認可されている)HIV感染という結果を回避するのは不可能であったとして、安部医師の当該医療行為に過失はなかったと認定しました。
これは、ひどい判決だと思いましたねえ。
いくらなんでも全然罪が無い、無罪ってことはないでしょう。当然、原告は控訴したわけですが、安部被告人がボケちゃって、もう、裁判にならないから審理おしまい、というわけです。やりきれない話です。これ、非加熱血液製剤のせいでエイズに感染した血友病の患者さんはたまらんでしょう。安部英のことを殺したいぐらい憎いに違いない。一審判決は、やはり、間違っていると思います。安部医師は悪魔だと思いますね。
それにしても、この問題は橋本内閣の時に厚生大臣を務めた菅直人氏が厚生省の役人にAIDS関連厚生省資料の提出を命じて全てを明らかにしなかったら、いまだに不明の点があったでしょう。この功績は大きいと思います。
2003年02月23日(日) 新保守主義者「ネオコン」がアメリカを牛耳り、世界を牛耳ろうとしている。今日、勉強した事。