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■ (日記) 哀しいまでの絆
昨日、義母の見舞いに行ってきたフゥーリィーが、痛そうに顔をゆがめながらアタシに言った。
「おふくろは、たとえ一時だとしても、絶対に親父と離れ離れになるのは嫌だってさ・・・。たとえ私一人ででも木曽で親父の面倒を見るんだって言い張ってるんだ・・・・・・」と・・・。 「ジジは私が傍に居なきゃ、ダメなんだ! アタシじゃなきゃ絶対にダメなんだよ」と、フゥーリィーに泣きながら訴えたそうだ。
それを聞いた私は、二人の哀れさと一種の強い感動で思わず嗚咽した。 お義母さんの気持ちが解るだけにどうしようもなく辛い・・・・・。
奥田舎の木曽で、たった二人だけで庇い合い、いたわり合い、時には微笑ましい喧嘩をしながら、仲むつまじく暮らしてきた老夫婦・・・・・・。 一緒にお風呂に入り、一緒の布団で休み、いつもかつも一緒だった二人。 お義母さんの行くところには何処にでも着いて行ったというお義父さん。 お義母さんに頼り切り、甘え切っていたお義父さん。 そして、それを苦笑しながらも、大きな心で受け入れていたお義母さん。 お義父さんの世話はさぞや大変だったろうに、いつも皆を心配させまいと明るく気丈に振舞い続けていたお義母さん。
きっと二人とも、片時も離れたくは無いのだろう・・・・・・。 本当に真から二人は愛し合っているのだ。 誰にも計り知れない、当人だけにしか解らぬ、深くて強い絆が、二人の間には沢山沢山あるのだろう・・・・・・。
二人だけで居るのが無茶な事でも、子供らの総反対に遭ったとしても、それが叶わぬ事だと頭では理解できてはいても、お義母さんは、木曽の実家で、自分ひとりの力でお義父さんの面倒を見続け、最後まで添い遂げたいのだろう・・・・・・。 子供達が二人を同時に受け入れられないなら、たとえ自分一人ででも面倒を見切る覚悟で居るのだろう・・・・・・。
そこまでの二人の強い愛情に、アタシは一種の羨望を感じたと同時に、此処まで病に追い詰められた老夫婦を、尚更二人だけには出来ないと言う危機感を感じた。
何とか二人を引き離さずに済む方法は無いものだろうか・・・・・・。 極力そういう方向で話が進む事を願うばかりだ。
それと同時に、アタシ達夫婦の、頼りない現状と、愛情の甘さと、様々な事に付いての覚悟の足りなさ、考えの甘さを、痛いほど思い知らされた気持ちだ。
果たしてアタシは、義母のようにフゥーリィーを愛し通せるだろうか・・・・・・。 ナニが起きても添い遂げられるだけの覚悟を、アタシは持って居るのだろうか・・・・・・。
木曽の両親を見ていると、昔読んだ哀しい童話が胸をよぎる。
貧しいけれど、大変仲むつまじい老夫婦が、クリスマスプレゼントをしたくても、もうお金も無いし売るものも無い。 そこで、妻は最後に残された大切な髪を切り、その髪を売って、夫の懐中時計のチェーン(?)を買い、夫も又、最後に残された懐中時計を売り、妻の髪飾りを買うのだ。 結局は使われる事の無い髪飾りと、チェーンが残された・・・。と言う、余りにも優しくて哀しい物語・・・・・・。 きっと、この物語のような愛情を木曽の両親は持っているのだろう・・・・・・。
とにかく私は先ず、自分の頭上のハエを何とかしなきゃ・・・・・・。 一刻も早く仕事をしなきゃ・・・・・。 しばらく仕事探しに専念しようと思う。
2004年11月24日(水)
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