マキュキュのからくり日記
マキュキュ


 【エッセイ】  マキュキュの想い出箱(中学生編)中編


中3になった私と、高校に進学した(S)は、夏休みを期に【ダリ】の大常連になっていた。

双方の母達も、そんな不良振りに感づいてはいたらいが、話の解る親と言うか・・・、放任主義と言うか・・・、私達が決定的な悪さはしないだろう・・・と言う確信(?)が有ったのか・・・、私と(S)の母は、私達に内緒で【ダリ】に出向いていたらしく、『今は止めても無駄なようなので放って置くけれど、くれぐれも娘達が馬鹿なことだけはしないように、私達の変わりにちゃんと厳しく叱り付けてね!?』と、マスターと仲良くなって、ちゃっかりマスターに私達の見張り役を頼んでいたらしい。
さすが私達の親だけの事は有る。
天晴れ!母ドモ。(爆)

当時の【ダリ】の集合メンバーは約11人。

一番年上で、私達のママ的存在だった詩人のマリコさん。黒いロングドレスがお気に入り。何時も気だるそうな微笑を浮かべ、チンザノを片手にカウンターの隅で詩を書いていた。

若い占い師のタクボは、調子の良いナンパ師。私からはお金を取るくせに、ちょっと可愛い女の子にはタダで見てあげている所が気に食わなかった。

ミュージシャンでボーカリストのケントは、ミックジャガーに狂っていた。歌い方までそっくりで、ケントのシャウトはかなりセクシーで、私もファンの一人だった。

ビートルズに狂い、何時も幻想的なイラストを描いていたサムライは、チョット気難しくて、同じメンバーの酋長と、良く宗教の話で遣り合っていた。

マリファナと頭痛薬で始終ラリっていたインド狂いの酋長は、年は若いが何処から見てもじいさんポイ。ガリガリの身体に長い髭を生やした容姿は、酋長と言うよりも、年老いたキリストみたいだった。

可愛くてみんなのマスコット的存在だった孤児のリミは男好きな女の子。
最年少の私を捕まえては、男の口説き方を伝授してくれる。
でも、私はその手に掛けてはオクテだった。
私が処女だと告げると、ものめずらしそうに私を見ていた。

踊りが最高に上手なチョボは、所構わず踊り出す。確かにチョボのステップは見事だけど、ユアーズで踊るのだけはやめて欲しい。

マスターの娘さんで、大学生の麗美は、とても真面目な学生さん。でも何故か私達のグループに興味深々でいつのまにかグループの一員になっていた。

私達のパパ的存在だったマサは、私達子供には全然興味が無いようで、私達の顔を見れば説教ばっかりしている。「子供は早く帰って寝なさい」だとか、「人攫いに会うぞ〜」等と言いながら渋い顔をしてマスター相手にポーカーなどをしているだけ。でも、笑った顔が何とも暖かくて、本当は優しい人なんだと思う。

そして一番最年少の私と(S)。
(S)は飛び切りの美人で、お色気もあるので、皆に人気が有った。
リミと(S)は男ドモの人気を二分してたと思う。

そして私は、何故か皆から『チビスケ』と呼ばれていた。
犬じゃ有るまいし・・・・・・ったくぅ・・・・・・。


皆、気のいい仲間達で、家族以上に優しく、信頼出来、誰もが皆温かだった。

そんな奇妙なメンバー達が、【ダリ】に集まっては、毎晩のように色々な事を熱く語り合ったり、六本木のディスコ(ゴーゴー喫茶とも言うが・・・【汗】)などに繰り出したり、仲間の安アパートに押し掛けては、男女の関係には発展し得ないファミリィー的な意識の中で、雑魚寝したりしていたのだ。


ある日、何時ものように【ダリ】で盛り上がっていた私達は、閉店後も話し足りなくてマリコさんのアパートに遊びに行ったのだ。
私はマリコさんに憧れていたので、誘いを受けた時は、初めて一員として認められたみたいで、物凄く嬉しかった。

確か、その時のメンバーは、ケントとタクボと私と(S)の5人だった。
マリコさんのアパートは【ダリ】から歩いて十五分程の場所にある、古いコーポ式のアパートだった。それでも、マリコさんが仲間内では一番リッチでお洒落に暮らしている人だった。
部屋に入ると先ず最初に目に飛び込んで来たものは、押入れの襖全体に描き変えられた見事な宇宙の絵だった。(仲間のサムライが描いた物だという)
とても神秘的で美しく、部屋の電気を消すと、宇宙だけが浮き出て見える。
私は一瞬でマリコさんの部屋の虜になった。
「此処を出る時、さぞかし大家さんが度肝を抜く事でしょうね〜」マリコさんは可笑しそうに笑っていたっけ・・・。
アンティークな家具が置かれ、サイケデリックなイラストや絵画などに囲まれたその部屋は、とても不思議な魅力があって、私はただただあんぐりと口を空けて、見惚れていた。

そして暫くの間、ピンクフロイドをバックに、マリコさんの詩について、皆でワイワイ雑談していた時だった。
突然ドアを叩き破るようなけたたましいノックの音がしたのだ。

『け、警察か!?』
ケントの声に未成年の私達は蒼ざめた。
でも、それは警察ではないと直ぐに解った。それは、もっと恐ろしい物・・・・・・。
「又あいつ等だわ!」マリコさんは吐き捨てるようにそう言うと、「この子達を早く押入れに隠して!」とケントたちに叫んだのだ。

「いいね? 死んでも声を出しちゃダメだよ!」皆で私達を宇宙の中に押し込めると、「心配しなくて大丈夫! 此処は聖域だから!」と、そっとウインクをしたのだった。

(今日で終われそうも無かったので、又明日、この続きを書きますね)



2003年04月13日(日)

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