マキュキュのからくり日記
マキュキュ


 ミュウー 《第三章》 さよならヨッチ (1)


 ミュウー 《第三章》

さよならヨッチ




(1) 
 

―僕達が伯父さんの家に越してから、あっという間に3ヶ月がすぎた。

新年を新しい家で向かえ、最終学期が始り、僕はもうすぐ、卒業と言う事で、バス通学が認(みと)められた。

そのおかげで、転校せずにすみ、今でもヨッチと同じ小学校に通えている。

 あれから、お父さんは魚市場をやめ、レストラン一筋(ひとすじ)で、がんばっている。

お父さんは店をはんじょうさせるため、あれやこれやと、お母さんと一緒になって、毎日料理の研究にはげんでいる。

今まで魚市場に勤めていた関係で、食材が安く仕入れられるので、しんせんな魚貝類(ぎょかいるい)を、たくさん取り入れたメニュー作りがひょうばんになり、レストランは、いつもこみあっていた。

あいかわらず、二人とも、いそがしがってはいるけれど、いつでも二人のそばにいられるので、前みたいなさみしさは、もう、なかった。

 一方(いっぽう)、ミュウーも、すっかり新しい家になれたようすで、二階と、レストランとを、わがもの顔で、行ったり来たりしている。

 最近、ミュウーは、どんどん芸を覚え、犬のように、お手や、オカワリも、するようになった。

 そんなミュウーは、お客達にも、人気者で、文也伯父さんが言ってた通り、なかなかの、『招き猫』ぶりを、発揮(はっき)している。

 でも、ミュウーは、栄養(えいよう)たっぷりのエサのおかげで、すっかりデブ猫になり、おとくい客からは、『ミュウー』ではなく、『ブー』などと呼ばれて、からかわれたりしている―



 そんな、ある土曜日の日、学校から帰ると、お母さんの様子が、少し変だった。

 料理を作っていると、胸がむかむかして、気分が悪いという。それに、少し熱もあるみたいだ。

 このところ、寒い日が続いたので、カゼでもひいたのではないかと、お母さんは笑っていたけれど、お父さんが心配して、すぐにお母さんを病院に連れて行った。

 僕は不安な気持で、ミュウーと一緒に、二人の帰りを待っていた。

「ミュウー、お母さんが病気にならないように、おまえも祈ってるんだぞ」

 僕の心配に関わらず、ミュウーは、シッポをゆらしながら、のんきに眠っている。



◊   ◊   ◊   ◊   ◊



 夕方、二人が病院からもどって来ると、僕はこわごわ、聞いてみた。

「お医者さん、何だって?」

「うん・・・、それがだな・・・・・・、それは、それは大変な病気だったんだ・・・・・・」

 と、お父さんが、とてもしんこくな顔をした。

 お母さんは、

「あなたっ!」

 と、お父さんを、目でしかった。

 僕は大ショックだった。

「ウソ・・・・・、何の病気だって?」

 すると、お父さんも、お母さんも、クスッと笑い出した。

「ねぇ、いったい何だったんだよぉ! お母さんの病気!」

 僕はイライラして、ついに大声を張り上げた。

 お母さんはニッコリ笑うと、僕を抱きしめて言った。

「病気じゃなかったの。テッチ・・・、お母さんに、赤ちゃんが出来たんですって・・・・・・」

「・・・・・・!」

 僕はおどろいて、目をしばたいた。

「ウッソォ? ほんとう? ほんとうに? すっごいニュースだ! もう! お父さんったら、おどかさないでよ・・・・・・。僕、マジに心配したんだから・・・・・・」

 僕は、何度も、しつこくかくにんすると、さっそくヨッチに電話をかけて、そのうれしいニュースを知らせた。

「テッチ・・・、よかったね。もう一人っ子じゃなくなるんだね・・・・・・」

 電話の向うでヨッチが答える。でも、なぜか、ヨッチの声には元気がなかった。

「な・・・、なにかあったの?」

 僕がそう聞くと、電話の向うでヨッチがシクシクと、泣き出した。

「どうしたの? ねえヨッチ、何があったの?」

「実は、僕にも、ニュースがあるの・・・・・・。ねぇ、テッチ、今から会える?」

「うん、今日は土曜日だから、泊りに来ると良いよ」

 僕は受話器を置くと、考えこんだ。

(一体、ヨッチに何があったんだろう・・・・・・)

               ― 次回に続く―


追伸 

(ノ_・。)/゜*【祝】*・゜\(・_・、)(>0<)ワーン






2002年06月09日(日)

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