マキュキュのからくり日記
マキュキュ


 【童話】てっちゃんのいいつけぐち 


 こんにちわ〜〜。今日もさわやかに晴れわたっていて、すがすがしい松本で〜す。
 今、大家さんが飼ってるマルチーズの『ポコ』ちゃんと、我が家の黒猫の『ミュウー』が、窓越しににらめっこをしています。(笑)
 お互いに興味はあるんだけど、不気味で怖い! って感じかな?
 何れは仲良しになる兆しも無きにしも非ず。

サテ・・・今日の出し物は、初期のころに書いた童話(?)と呼べるかどうか解らないんだけど、「てっちゃんのいいつけぐち」を、掲載いたします。
 感想、お待ちしています。




           『てっちゃんのいいつけぐち』


「てっちゃん、お・は・よ・う。もう、7時だよ〜」
と、お母さんの声がする。
「う・・・ん・・・ムニャムニャ・・・、{[(-_-)]}zzzzZZZZ」

 ―それから10分がすぎました―

「てつろう、おきろってばー、学校おくれてもしらないから!」
そろそろおきないと、お母さんが『オニ』になる・・・・・・。
だけどまだ・・・ね・・・む・・・い・・・・・・。
 
 いつもさいしょは『てっちゃん』なんだ。
そして、そのうちに『てつろう』になる。
それがすぎて『てつ!』になるころが、やばい。

 お母さんのごきげんバロメーター

『てつろう』から『てつ』にか変わるあいだが、いうことのききどきだ・・・、と、ボクは思っている。
だから、そろそろやばそうだ・・・・・・。 
ユメごこちで、そう思ったとたん、
「こらっ! てつ! いいかげんにおきないと、くすぐりころすぞぉ!」
と、お母さんが、ものすごい顔で、おそってきた。

 ぼくは、たまらなくなって、とびおきる。
「ネボスケてつ! 子供っていうものは、もっと早おきのはずだけどねぇ―」
と、ものすごいいきおいで、納豆をかきまぜながら、ボクをにらみつけるんだ。

(けさの納豆は、ものすごく、ネバリそう・・・・・・)

「よくいうよ―。ダレのせいで、ボクががネボスケになったかわかる?」
と、ボクがにらみかえすと、お母さんは、あわてて新聞を見るフリをした。
(なんでフリかって?)
だって、逆さまだから・・・・・・。
 
 お母さんとの朝は、いつも、だいたいこんなふうにはじまります。

 ボクは、お母さんと二人ぐらし。   
お父さんは、ボクがまだ、赤ちゃんのうちに、病気で死んでしまったそうです。
うちのアルバムには、赤ん坊のボクといっしょに写っている、お父さんの写真が数枚あります。
その中に、ボクのオムツをかえながら、ボクにオシッコをとばされて、しかめっつらをしているお父さんの写真が一枚あるのですが、その、しかめっつらが、ボクとそっくりだと、お母さんはよくいいます。

(ボクのほうが、だんぜんハンサムなのに・・・・・・)

 ボクは、お母さんと、けんかをすると、いつも、天国のお父さんに、ナイショでいいつけ口をします。
だから、こんかいの事も、ぜったいに、いいつけてやるんだ。 
だって、ボクの、ネボウのげんいんは、こういうことなんだもん―


 3日前の金曜日のよる、ごはんをたべおわって、新聞を見ていたお母さんが、
「今日、ものすごくこわい映画をやるんだけど、ひとりで見るの怖いから、てっちゃんも、いっしょに見てくれる?」
と、いうんです。・・・・・・7才のボクにですよ?
もしも、ことわったら、『ヨワムシ』っていわれそうだし、つぎの日の土曜日は、学校がおやすみだったから、少しだけ、おそくまでおきていてもいい日なので、いっしょに見てあげることにしたの。

やっぱり、ものすごーく、怖かったけど、お母さんがボクよりも、もっとこわがっていたんで、ボクは、わざとへいきな顔をして見てたんだ。
そこまでは、いいんです。そこまでは・・・・・・。

 そのばんの、夜中の十二時ごろ、ぼくは、お母さんのよぶこえで、目をさましたんだ。

てっちゃん、おきてよ・・・・・・」

ボクを『てっちゃん』とよぶときは、すごくごきげんのいい時か、おねがいごとがある時と、きまっているので、ボクはちょっと、いやなよかんがしました。

「てっちゃん、おきてってばぁー」

あんまり、しつこいので、
「なによー、こんなよなかに・・・・・・」
 と、ボクは、目をこすりながら、めいわくそうにいいました。
「オシッコしなきゃ、もれちゃうよ・・・・・・」
 お母さんは、そういって、わらいます。

「ボク、したくないよ・・・・・・」
そういって、またねようとすると、
「ち、ちがうの・・・・・・お母さんなのよ・・、一人じゃこわくて行けないの・・・・・・、おねがいだから、ついてきてくれない?」
と、ニカッとわらって、ウインクをするのです。

(うそでしょう・・・・・・? その顔のほうが、よっぽどこわいや・・・・・・)

「だからあんな映画、見なきゃいいのにぃー」
 ボクは、ぶつくさいいながらも、しかたなく、ついて行ってあげました。
 お母さんは、なんどもなんども、
「ぜったいに、そこでまっててね? 動いちゃいやよ?」
 と、いいながら、トイレに入って行きました。

「てっちゃん、いるぅー?」
「・・・・・・いる!」
「てっちゃん?」
「・・・・・・なんだよー、いるってばぁー」

(ア〜さむい、はやく出てきてよ〜・・・・・・)

「てっちゃん、なにか、歌ってて?」

「・・・・・・かんべんしてよ・・・・・・もう!」
なんで、よなかに、ボクがトイレの前で、歌を歌わなきゃならないんだよ。
ぜったいにいやだといったけど、お母さんが、あんまりうるさいから、ボクはもう、やけくそで、
さかい〜、やすい〜、しごときっちり」と、くりかえしながら、なきたい気持ちになりました。

やっとお母さんが、出てきたので、先に行こうとすると、
ぎゃ〜〜〜っ!!行かないでよ〜〜!!
と、わめきながら、ボクのパジャマをおもいきり、ひっぱるんだ。
そして、寝室にもどったとたん、「ああ〜、こわかったぁ〜。てっちゃん! 愛してるよ」
と、ボクのホッペにキスをしたかとおもったら、すぐにいびきをかいてるし・・・。

しんじられないよ・・・・・・、まったく・・・・・・。

 あれからボクは、まいばん、十二時ごろになると、目がさめちゃうクセがついちゃったんじゃない・・・・・・。
それがボクの、ネボウのげんいんなんだよ? お父さん。
 こんな、せわのやけるお母さんだけど、一つだけ、スッゴイじまんがあるんだ。 
お母さんのつくる料理は、世界一おいしいんだ。
だって、お母さんは、よく、
「お父さんとふたりで、レストランをけいえいするのが、私の、わかいころからのゆめだったのよ」っていってるもん。

今朝は、納豆だけどさぁ―


「コラ! てつ! なにボケーッとしてんの! 早く食べてくれないと、お母さんまで、ちこくしちゃうじゃないよ〜」

(やばっ!)

 レストランのゆめは、いまだにかなえられていないけど、お母さんは今、ボクの町の給食センターで働いているんだ。
 だから、ボクの学校の給食も、少しお母さんの味がする。

サテト・・・・・・、今日の夕ごはんは、おもいきり、おいしいものを、おねだりするぞぉ〜。
エット・・・、なんにしようかなぁ〜。
まずは、だいすきな、オムライスの上に、ハンバーグと、エビフライをのせてもらって、あとは・・・・・・、マカロニサラダと、お母さんのとくいな、オニオングラタンスープも、いいなぁ・・・・・・。
デザートには、イチゴミルクがいいかな? それともプリンにしようかな?
やっぱり、両方がいいや!

このくらいの、いうことは聞いてもらわなくちゃ!
ボクを、オネボウにしたバツに・・・・・・。   
ねっ? お父さん!       
                        (おわり)

          
                 BY  マキュキュ

 
 


2002年04月20日(土)

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