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2004年07月08日(木) ■ |
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Hatching Magic(Ann Downer)読了 |
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●読了:Hatching Magic(Ann Downer) ≫Excerpt アメリカ、マサチューセッツ州ボストンを舞台に、敵対する2組の魔法使いたちと、ひとりの少女がドラゴン(Wyvern)を追い求める話。 物語は13世紀の英国の城、王直属の魔法使いGideonに飼われている飛龍(Wyvern)のWyccaが、卵を生む場所を探して城の中を歩き回っている場面から始まる。この部屋は暑すぎるし、あちらは隙間風が入る、ここはカビ臭いし、あそこはトイレに近すぎてダメだ・・・。誰にも見つからない、ご主人様のGideonにも見つからないよい場所はないものか? 困ったWyccaは庭にぽっかりと空いた穴を見つけ、巣作りの場所を求めて飛び込む。Wyccaが飛び込んだのは「時を越える抜け穴(A Rabbit Hole through Time/bolt-hole)」で・・・。 一方、現代。ボストンに住む少女テオドラ・オグルソープ(愛称ドードー Dodo)は、生物学者の父アンディが自分を残してラオスのジャングルへ研究旅行へ行ってしまうのに怒り狂っていた。どうして私も連れていってくれないの! 親友たちも旅行中だし、私ひとりで長くて退屈なボストンの夏を孤独に過ごすなんてつまらない・・・。
テオドラはゲーム"Wizards & Wyverns"が好きで、カードをすべて集めて地元のファンクラブの特別会員になるのが夢だった。ナニーのミッコ(Mikko)と公園へ出かけたテオドラは、道端で"Wizards & Wyverns"のものに似たカードを拾う。古くて美しいそのカードは、ミッコによれば何百年も前のタロットカードで、本当なら博物館にあるべきものだ、と言うのだが・・・。なぜそんなものがボストン市街地の道端に? 「時を越える抜け穴」を通ってボストンへやってきた飛龍(Wyvern)のWyccaは、無事に卵を孵すことができるのか? そしてWyccaの行方を追って、13世紀の英国からやってきたGideonとその敵の魔法使いは、21世紀のボストンで何を思うのだろうか。
なかなか面白かった。異世界ファンタジーだと思い込んでいたので、最初から最後まで現代が舞台で、ファンタジー風の魔法らしい魔法が出てこなかったのに拍子抜けしたけど、それはまぁ私の勝手だし。 何百年も前の人が現代にやってきたら、きっと色々なものが魔法のように見えるだろう・・・というよくある発想。それに、急性チョコレート中毒にかかったワイバーン(翼を持つ二本足のドラゴン。飛龍)が生んだ子供は、生まれつきのチョコ中毒だった・・・というメインストーリーに、魔法使いたち、テオドラとその周辺の人々の思惑が絡まって話が進む。 ファンタジーというには構成が弱くて、ちょっと散文的すぎる気がするけど、私はボストンの名所があちこち出てくるのが楽しかったので満足。ハーバードにボストン美術館、セイラム、パブリックガーデンのスワンボート、川でのボートレース。作者が日本びいきなのか、それともボストンが舞台だからか、ナニーの"Mikko"という名前を始め、日本庭園だの寿司だの着物だの、日本関係のものが沢山出てきたのも読んでいて楽しかった。まぁ、ファンタジーとしては物足りないけど、気楽に読む児童書としては良いんじゃないかな。
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