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2003年01月29日(水) ■ |
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理由(宮部みゆき)読了 |
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病欠2日目。胃腸の痛みは治まった模様。だるくて熱が少し。英語を読む気力がわかないので(でも本は読みたい)、引き続き和書に逃避中。やっぱり、こういうときはどっぷりはまれるミステリよね〜。つか、寝てなさい私。(^^;
●理由(宮部みゆき) <内容> 東京都荒川区の超高層マンションで起きた凄惨な殺人事件。殺されたのは「誰」で「誰」が殺人者だったのか。そもそも事件はなぜ起こったのか。事件の前には何があり、後には何が残ったのか。ノンフィクションの手法を使って心の闇を抉る宮部みゆきの最高傑作がついに文庫化。
面白かった。読む前はノンフィクションの手法って何?と思ったけど、読んでみれば何のことはない、ただ事件が起きるのが現在進行形じゃないというだけ。出てくる人たちの証言が過去形で語られていたり、冷静に事実だけを並べていて、出てくる順番も完璧に整理されている。確かに記録映画かドキュメンタリーを見ているみたいだけど、気に入らないキャラや、感情が入りすぎて分かり難い語りにイライラするよりは、よっぽど読みやすくて分かりやすかった。 読みながら、パット・マガーの『四人の女』に似てるな、と思った。殺された時の状況や犯人はスッキリしていて、その周りをグルグル回りながら殺されたのは誰で、どういう人たちなのかを書いたミステリ。『四人の女』は、最初に女の死体をひとつ投げ出しておいて、そこから時間をさかのぼって被害者が四人の女のうち誰かを描いて、最後に全ての事実がわかったところで終わるんだけど。『理由』はミステリとしての形がそれとそっくりだと思った。『四人の女』は後味が悪くて嫌だったけど、『理由』はどの人からも等間隔に距離を置いているので読みやすかった。 難を言えば、もう少し犯人のことを描きこんで欲しかったな。被害者や周りの人たちの「理由」はよく分かったけど、犯人の「理由」だけは結局分からないで、キレた、エイリアン、で済ませるのは納得がいかない。犯人にインタビューできないのは仕方がないかもしれないけど、事件当時の状況や犯人の精神状態が最後まで分からないままだったのが残念。
ちなみに、私はパット・マガーの本では『七人のおば』が一番好き。これは絶対お薦め、繰り返し読んでしまうミステリなんてこれしかない、っていうくらい大好き。ミステリ好きよりも、『若草物語』な人が気に入る本だと思う。
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