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読んでね。
『影のオンブリア』
(パトリシア・A・マキリップ)


冒頭の抜粋(英語)
レビューリンク

2003年01月06日(月)
ぼんくら(宮部みゆき)読了

●読了:ぼんくら(宮部みゆき)
<内容>
おなじみ江戸・深川の、ある長屋を舞台にした連作短編集。バラバラと思われた事件が、全体で一つの話に繋がっていくという筋。奉行所きっての怠けもの同心・井筒平四郎と、その甥の超美形少年・弓之助が、大商人の湊屋総右衛門の17年に及ぶ遠大な計画を暴いていく。
それまで何事もなかった平和な長屋に、ある夜、寝たきりの父親を持つ兄妹の家に殺し屋が押し入り兄を殺害するという事件が起こる。これを皮切りに、次々と店子たちに不幸が襲いかかり、順番に長屋を離れていく。長屋の大家である湊屋が店子をこっそりと追い出そうとしているという企みに井筒が気づき、仲間の岡っ引きらの手を借りて真相を究明する。江戸時代の長屋の支配構造や、風俗、警察権のあり方などが細部まで検証されている。500ページを超える大作だが、軽快な言い回しと巧みな舞台展開により一気に読み進むことができる。最後はおおかたの読者の期待を裏切って…。殺し屋/博打うち/通い番頭/ひさぐ女/拝む男/長い影/幽霊 を収録。

<感想>
おもしろかった。読む読むといいつつ何日も1行も読まずに放ってあったのに、一度本を開いたら最後まで一気に読まされてしまった! 深町にある鉄瓶長屋を舞台にした事件を描いた連作短編だが、キャラクターがずっと同じなのでこれは長編だなと思いながら読んだ。最後の結末が私的にいまいちスッキリしなかったせいで、『あかんべえ』程は気に入らなかったけど、キャラクターはこっちのほうが良い。おもしろい人が沢山! 主人公の平四郎は自称「怠け者」で、陰謀とは無縁の太平楽なお人柄。後半に登場する12歳の甥っ子・弓之助は、子供のいない井筒家に養子候補として遊び(顔見せ)にやって来るというわけ。弓之助は抜群に頭が良い上に、「実にべらぼうな美形」「人形のようにきれいな顔形の子供でございますからね。こういう子供は、本当にたやすく人の道を踏み外してしまうものです。特に男の子でございますからなおさら危のうございます。うかつに町場に置いておくよりは、町方役人の堅い勤めを与えて、しっかりと八丁堀に根付かせてやったほうが、いずれ幸せでございますよ」などと言われてしまう少年。これ、わかるなぁ(笑)男女問わず、目が覚めるような美人って確かにいるよね〜。
この「叔父上」と「弓之助」が微妙なチームワークを張りつつ、鉄瓶長屋に張り巡らされた陰謀を暴いていくと。岡っ引きの手下の少年おでこや、鉄瓶長屋に住む人々もかなり詳しく活写されていて、自然に長屋の様子が浮かんでくる。・・・ただ、結末がな〜。たしかに話の始末としてはこれが一番八方おさまりが良いのは分かるけど、陰謀の主に一矢報いずに終わったのは、ちょっと癪だなぁと。
小説現代に「ぼんくら」シリーズの続編『日暮らし』が連載中◆

●読書中:Winter Rose(Patricia A. McKillip)
このタイトルだから冬に読みたいなぁと思って取ってあった本(と言えば聞こえはいいが)。Roseだから花コレクション本でもあったり。あ〜、Kinuko Y. Craftの表紙がきれい!何度みても見飽きない〜。この本って、表紙の紙質が良くて装丁も素敵。『九年目の魔法』と同じく、タム・リンをモチーフにした未翻訳ファンタジー。この本の「リンさん」はCorbet Lynnというらしい。主人公はおてんばで裸足で森を歩き回るのが好きなRoisという女の子、その姉妹(たぶん姉だと思う)のLaurelは村人全員に好かれていて、次の春にPerrinという青年と結婚するのだそうだ。と、そんな眠たげな村へ、バターミルク色の馬に乗ってCorbet Lynnがやって(帰って)来た!? バターミルク色って・・・。(^^;