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2013年07月23日(火) |
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砂 |
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いつか。 数か月後か、数年後か。
あなたは私との恋の話を、誰かにするだろう。 「10歳離れてた」 「遠距離だったんだ」 「まだ学生でさ」 「Fカップでインポートの下着つけてた」 「魚の食べ方は上手だったけど、魚自体はそんなに好きじゃなかったな」 「少し乱暴に扱われる方が好きだったね」 「時々なんでもないのに泣いてたよ」 そんな風に話すんだろうなぁって思う。
あなたのことだから、 「いい子だったよ。ステキな恋だった」 そう言ってくれるんじゃないかな。 私に昔の女の子の話をした時、そうだったように。
その時の私は、短いセンテンスのただのエピソードだ。 語られるのは私ではなく、私の属性。
お互い様なんだろうけど、そこはやっぱり寂しいと思う。
言の葉は折り重なったまま、時の川面に浮かび、ゆらゆらと漂う。 沈んでしまった記憶は川底で洗われ、いつか削られ砂になる。 砂になった記憶は時折、漂う言の葉の隙間から射す光を受け、石英や雲母みたいにキラキラ輝くだろう。
だから、私は。 あなたの記憶に沈む私は。 あなたの人生に光が溢れるようにと願ってやまない。
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