|
|
2008年02月11日(月) |
|
loop the rope up 2 |
|
女のマンションは、三宿の交差点を越えてすぐ左に入った奥の、一方通行の道路沿いにあった。 築年数は古いが、南向きでオートロック付きなのが気に入っていると女は言った。 「殆ど賃貸の物件でね、モデルとか大阪から出てきたばかりの芸人とか住んでるの。」 女は郵便受けのDMに肩を竦めながら続ける。 「売れても売れなくてもみんなすぐ出て行っちゃう。1LDKって中途半端なのよね。」
女の部屋は最上階の角にあった。 リビングにはソファーと50インチのテレビを中心に組んだオーディオボード位しか目立つ家具はない。 ドアの開いた寝室にはセミダブルのベッドがポツンと見える。 「あんた、キングサイズのベッドとか木馬とかそんなの想像してたでしょ?」 女は笑いながらコートを脱ぎ、ソファーに放り投げる。
女はまだ痺れの残る手で苦労しながらラバーの下着を脱いだ。 体中に走る蚯蚓腫れやラバースーツの跡を眺めてると、女が人ではない何か別の生き物に見えてくる。 「やっぱお風呂入っちゃ不味いかなぁ?」 女は左手に巻かれた包帯を気にしながら僕の顔を見る。 「ねぇ、髪だけでも洗いたいな。」
6畳ほどの広いバスルームには二人でゆうに浸かれる大きな陶器のバスタブがあった。 1920年代のアンティークだと女は自慢する。 「このバスタブ置きたくてリフォームしたようなものよ。」 僕は女の話を聴きながらバスタブに浸かり、腕を伸ばし洗い場にいる女の髪を濯ぐ。 結局女はバスタブに入ってきた。包帯の上には厚くサランラップを巻いている。 「無理ね、イベントの後お風呂入らないなんて。」 それでも一応傷口を湯に浸さないように左手を自分の右肩に乗せている。 組まれた腕の中で女の乳房が歪む。 湯船の中で触れる女の身体は驚くほど白く、そして柔らかかった。
さっきから女は僕にもたれる様に身体を預けている。 女の重さは殆ど感じなかった。 ふと、眠っているんじゃないか?と思った瞬間女は口を開く。
「ねぇ、こないだの女子大生とかさ、あーいう女の子どー思うの?」 「どうって?」
「鈍感とか食い物悪いとか散々言ってる割りに、そんな女の子大好きでしょ?あんた。」 女は頭を逸らし僕の顔を見上げる。 「ああ、好きだね。」
「鬱陶しくない?」 「仕方ないよ。ああいう女しか興味持てないんだよ。」
「鬱陶しいのが好き?」 「いや。」
「鬱陶しくなきゃ尚いいんだけどね。」
女は馬鹿みたいと呟きながらバスタブの湯を手のひらで掬い、僕の顔にかける。
「ところでさ、君が女子大生って言ってる子。」 「うん。」
「あれ、本当は中学生だ。」 「本当?」
「うん中学二年。な、実に鬱陶しいだろ?」
女は苦笑いを浮かべながら腕を伸ばし、僕の顔を両手で覆った。
|
|