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2007年02月14日(水) |
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La Campanella |
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気付いたら日付が変わってた。
食器棚からロックグラスを二客取り出す。 フリーザーの製氷皿から氷を掴み両方のグラスに満たす。 「南アルプスの天然水」で作った氷だ。
リビングのテーブルにグラスを運んだ。 FMをCDに変える。 昼間聴いたままのフジコ・ヘミングのリストが小さく流れ出す。
ソファーに座り、テーブルに置いてあったボトルの封を切る。
「白州」の10年。
両方のグラスにそれぞれ半分注ぐ。 氷がカランと音を立てる。
グラスのひとつを持ち、置いたままのグラスの縁に軽く合わせる。
グラスを持ったままに立ちあがる。 そのままベランダに出る。
風は凪。 月もなく星も見えず空も海もただ暗かった。
この「白州」ってウィスキーはさ。 山梨の白州にある蒸留所で作られてるんだけどさ。 「南アルプスの天然水」と同じ採水場で汲み上げた水で仕込んだウィスキーなんだよ。 だからさ。 この氷で作ったロック、結構いけると思うんだけどさ。 どう? カクテルもいいけど、もう30だろ? ウィスキーとかにも挑戦してみない?
耳を澄ます。
遠く耳鳴りのように聴こえる波音。 部屋から零れるフジコのカンパネラ。
誕生日おめでとう。また、来年も飲もう。
グラスの氷がコトリと音を立てた。
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