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2006年08月17日(木) |
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遠雷 |
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空を見上げる。 こんな高度で飛ぶ飛行機には慣れたくないと思う。
夕立で濡れた芝。 もう少し日が傾けばいくらか涼しくなるだろう。
相模原なんて用事がなきゃ来ない。 用事は去年なくしたと思ってた。
薪能の演目は「葵上」。 鬼の話だ。
身の内の鬼を飼い馴らせたなんて思ったことは一度もない。 お気軽な同人小説じゃあるまいし。 いつも喰われっぱなしだ。
もうすぐ薪に火が入る。
顔も思い出せない。 時間の無駄だ。
だからって。 無駄じゃないな時間なんて、めったに過ごせるものじゃない。
戦闘機が頭の上を嘲るように飛んで行く。
やっぱり。
慣れたくない。
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