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2006年08月27日(日) |
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32F |
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枕元を探り革の手袋を探した。 女に乗ったまま、左手にだけはめる。
素材は極薄い山羊革。 色は黒。
手袋の中で指を伸ばす。 しっとりとまとわりつく革の感触。
上等。
女はウェーブのかかった髪を広げ、枕に頭を預けてる。 目を閉じ荒い息を沈めながら、さっきまでの余韻を追いかけてる。
髪を掴んで頭を起こす。 手袋をした左手で頬を軽く叩く。
女の口角が僅かに持ち上がる。
そのままゆっくりと手を移動させて女の首に手をかける。
細い首だ。
だんだんと力を込める。 女は眉間に皺を寄せる。
革の手袋を通じ、女の首の僅かばかりの筋肉が固くなるのが判る。
女の胸にうっすらと赤い湿疹が浮かんだ。
絞めすぎるとたまに出る。
女の目じりから涙が零れた。
32階の窓からは遠く大阪湾の夜景が見える。
空にはオレンジの満月。
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