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2010年06月14日(月) ■ |
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遠い外国の屋根の上 |
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お昼過ぎ五時限目の授業中のこと 僕があくびをしたそのせいで 遠い外国のとある屋根の上に ちょうど陽があたりはじめたのです
教科書の滲んだ文字に落ちる、うとうと。 という音のリズムで一匹の黒いネコが 屋根の上を歩き過ぎようとしたけれど あったかくて立ち止まってみたのです
屋根の下に流れる川をネコが覗き込むと ゆらゆら揺れてよだれのたれそうな 僕がうつっているのでした カモメがおでこのうえを通っていきました
赤んぼたちの寝息をたんまり吸い込んだ 洗濯物をおばさんたちが取り込んでいきます 午後の時計が二度三度、うっかり針を止めましたけど 誰がそんなこと気付くでしょうね
それよりもっと不思議なことには、この教室も その遠い国もおなじ頃合いのお昼下がりだってこと おかしいな、終業チャイムはもう長い間 ずっと鳴らないのです、鳴らないままで
ネコもあくびをやらかしました、そのせいで 僕もいつのまにやら屋根の上にいて仰向け つまり不思議なことなんてなにもなかった ネコの夢の中にいるのが、僕だったのですから
そんなわけで遠い外国の屋根の上 ネコも僕もおなかをだして 眠るのだ
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