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やすみ日記
梅子
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2008年08月31日(日)
BLについて、独り言

「BLを読まないなんて人生を損している! 」
…かどうかはともかく、沢山本があるので、読んでみたら好みの本が見つかる可能性があるのでは?と思います。

私にとっては、職業物が豊富なところが良いです。
一般書の男女の恋愛物だと、仕事をがっつり書いてるのがあまり無いので(私が知らないだけかもしれませんが)。
あと、主役二人が男性だと、他人事として読めるのも良いと思う。
木原さんの本、女性主人公だったら痛くて読めん、と思うのが多数(「LOOP」の前世話は辛かった)。 あと、切ないのが良いところかなと、前に多紀さんとも話しましたね。
現代の男女の話だと、障害を設定しようがないと言うか(不倫とか兄姉とか何でもありになってきてる気がするし。時代物で身分差なら好きですが。でも、吉田修一は面白い。結ばれそうで結ばれないところが)

少女漫画が好きな人で、BL読む人と読まない人の差は、どこで決まるんだろうなぁ。私にとっては、同じようなものなので。
最初に読んだBLが、くりこ姫さんの「銀の雪、降る降る」だったので、少女漫画の世界をそのまま踏襲している感じで、違和感なく入っていけました。あの頃(1992年)は、ピュアな学園ものが多かったですね。



2008年08月29日(金)
「京のわる口、ほめころし」石橋郁子

「京のわる口、ほめころし―京の不思議と素敵な話」(石橋郁子)を読みました。

日々の暮らしに息づく、京都の伝統について書かれた本です。
出てくる風習や、考え方が美しいなぁと思いました。四季の移ろいを敏感に感じ、畏れや感謝の気持ちを忘れず、分相応に暮らす。素敵なことですね。
写真も綺麗で、見応え有りました。
京都に住んでますが、知らないことがいっぱいで、面白かったです。さかさ箒の意味とか、ぶぶづけの真意とか。
近所に買い物に行くにも着物を着替えるとか、少しの距離でも、よその家にあがる時は必ず足袋を履き替えるとか、昔の人の、身だしなみに対する美意識って凄いですね。





2008年08月27日(水)
「年表 近代日本の身装文化」

「年表 近代日本の身装文化」(高橋晴子)を読んでます。
明治〜戦後までの、服飾に関する新聞記事等が網羅された本です。
真面目な本なんだけど、当時の世相がうかがえて、面白い。
下着を10〜15日も履き替えないのが当たり前だったとか(←パンツ総番長…)
「東大で、博士によるフンドシの講演でもりあがる」とか(←どんな講演や?)
幼少期より病弱だった男性が、女として育てられ、料理裁縫を習い、女工として就職した話とか(←結構、自由な時代だったのか?)
百貨店の広告とか、写真も豊富です。大正〜昭和初期っておしゃれだなぁ。



2008年08月24日(日)
「7月24日通り」(吉田修一)

なぜ、そっちに行くんだー! こっちとくっついて欲しいと思ってたのに! 
というのが一番の感想。何も言わずに母に本を渡したら、読後、同じ感想を言っていました。

地味な女の子が、あこがれの先輩との恋や、思い通りにならない自慢の弟、華やかな女友達との関係に揺れ動く話。
さりげなく文章が上手くて、女性の描写が自然です。冒頭の蝶の描写や、人に色が見えるという話、屋上から見た停電の街などが、映像的で印象に残る。
そういえば、映画にもなってるんでしたね。

ネタバレ亜希子は、現実的に居そうな嫌な女だと思いました。結婚してる上に部員でもなかったのに同窓会に来るって。あげく聡史と消えるって。おいおい。
小百合が、亜希子の自慢話を毎回聞かされるのを、文句も言わずに付き合ってるところ、心が広いなと思いました。私だったら、一回でコリゴリです。

聡史も、小百合のあこがれの先輩だって言うけど、どこがいいの? ただの優柔不断やんか!
聡史より、絵描きの彼の方がずっと好感度高かったので、こっちとくっついてくれるのかと思ってたら、小百合は「振られるのが分かってても、好きだから会いに行く」と、東京に行っちゃいましたね…。あああ。

小百合が、自慢の美形の弟が、冴えない彼女を選んだことに猛反発する心の動きが面白かったです。




2008年08月23日(土)
同研能、KAZARI展

「同研能」に行ってきました。
若手のプロの方が、勉強を兼ねて、無料で公開してらっしゃるお能です。

会場の嘉祥閣は、一見普通のお家で、小さな表札があるだけなので、うっかり通りすぎそうになります。
中に入ると、素敵な町家風。玄関で、靴を預かって下さいました。親切v
廊下を過ぎると、能舞台が。15分くらい前に着いたら、お客さんの入りは1/3くらいでした。

2時ぴったりに開演。
最初は、狂言「魚説教」でした。
殺生が嫌になった漁師が出家して、法事をしてくれる僧を探していた男と出会う…という話。
俄坊主なので、まともな説教ができず、魚の名前を並べ立てて誤魔化すんですが、この怒濤のようなダジャレが凄い! 何個魚の名前が入ってるんだ。
最後に、信心深い男が怒り出すのですが、それに返す言葉も魚混じりのダジャレ(笑)。楽しい話でした。

次は、能「井筒」。
事前に、こちらのサイトから全文&現代語訳をプリントアウトしていたので、よく分かりました。イラスト付きで、感情の入った解説が面白い(笑)
後半、主役が、女性用の着物の上から男性の衣装を着ていて、演じてるのは男性なので、女装なの? 男装なの? と不思議な感じ。
お話は、きれいなイメージは何となく伝わりますが、幽玄過ぎて、解説がなければ、何のこっちゃ分からない部分もあります。
女の人は、よくできた人だと思うけど、業平はいい加減ぽいので、そんなに想う価値はあったのか…。
衣を裏返して着て寝ると、愛しい人の夢が見られる、という話が出てくるんですが、現代でやったら、パジャマ裏返しはちょっとマヌケですね(笑)着物だから美しいのか。

4時10分くらいに終わりました。
良かったです。これで無料って、太っ腹だなぁ。雨だったので空席もあって、勿体ないなと思いました。
「同研能」は、年に4回やってはって、次は11月15日(土)2時から。演目は「海士」です。

終わってから、「KAZARI展」(京都文化博物館)に行きました。
武具とか、女性の装飾品、着物などが見れて、面白かったです。
歌舞伎衣装、派手だなぁ! 
エビの簪&櫛、面白い。蟹の陣羽織も。
焼き物も、志野・織部・鍋島と一通り見られました。
江戸時代の豪華な着物、所有者が千總や丸紅だったりして、さすが老舗。

5時過ぎに見終わって帰ろうとしたら、外は大雨。
30分くらい文化博物館で時間をつぶしました。紙の専門店があって、一筆箋とかかわいかった。本屋さんにらくたび文庫が揃ってたので、パラパラ見たりして過ごしました。



2008年08月21日(木)
難読BL作家名

「難読ボーイズラブ作家名50選」というブログを発見。

こうしてみると、BL作家さんは難しい名前が多いですね。
久我有加さんと芹生はるかさんが難読に入るのか! 驚き。
日輪早夜さん・高座朗さんの読み方を初めて知りました。
読み間違えやすい名前といえば、藤崎一也さんもだと思う。
山藍さんとか画数の多い方は、サイン会では大変そうですね(笑)



2008年08月18日(月)
古本市と少女漫画展(森見登美彦ツアー)

下鴨納涼古本まつりと「少女マンガパワー!展」(国際マンガミュージアム)に行ってきました。

森見登美彦ツアーも兼ねていたので、まずは京都大学でランチ。 
京都駅であもさんと待ち合わせて、市バス一日乗車券を買いました。
バスで一時間弱かけて到着。
時計台を見ながら、「カンフォーラ」で食事。今日のランチは、ポークカツレツでした。美味しい〜。そんなに混んでなかったです。

歩いて下鴨神社に移動。
森の中なので、思ったより涼しかったです。
前を歩いていた女の子が、乙女な服装でとても可愛かった。女子たる者、暑さに負けて楽な格好をしちゃいかんのですね! そういう私は、TシャツにGパン。涼しさ・動きやすさを優先しました…。

懐かしい雑誌、珍しい本がいっぱいあって、面白かったです。20年くらい前のananとか、明星等アイドル雑誌とか。
最終日なので、あちこち半額になってたり。
児童書コーナーは2時まででした。早い! 市自体も、4時で終了です。
あもさんは、美術手帖のバックナンバーを買われてました。明和電機特集号。
ラムネが売ってるかと思ったんですが(「夜は短し〜」に出てきた)、売ってませんでした。残念。

その後、進々堂へ。
「夜は短し〜」のラストで、先輩と乙女が待ち合わせをした喫茶店です。
落ち着いた色合いの、大きな木のテーブルが懐かしい感じ。
アイスコーヒーを頼みました。ほろ苦くて、美味しかったです。あもさんはソーダ。
店内撮影禁止なので、外からのみ写真を撮りました。

その後、市バス二本乗り継いで、国際マンガミュージアムへ。
バスの中から、私たちはあるものを目にしました。
自転車の二人乗りをした男の子で、後ろの子が、前の子に傘を差し掛けてるの。
同時に顔を見合わせて、「今の見ました?」と。ええ、ばっちり。良いものを見ました(笑)

マンガミュージアムは人がいっぱいでした。階段に座ってマンガ読んでる人も大勢。
「少女マンガパワー!展」、色んな漫画家さんの原画が見れて、良かったです。
今市子さんの原画、美しすぎる! 百鬼夜行抄の尾白・尾黒のフィギュア(海洋堂製)が超精巧。
ガラスの仮面のフィギュアも良くできてる。速水さん、紫の薔薇持ってるの(笑)
里中満智子さんのネームとかも展示してあって、面白い。
牧美也子さんだったかな? 背景や着物の柄が美しいカラー原稿で、これは印刷では再現しきれないだろうなぁと思いました。

ボーイズラブの展示もありました。
解説と共に、「春抱き」と「純情ロマンチカ」と「大人の問題」のコミックスが展示されてた。
よしながふみさん、「西洋骨董洋菓子店」同人誌の生原稿の展示がありました。マニアックな!
いつか、ボーイズラブだけを特集した展覧会をやりそうで恐ろしいですね(^^; マンガミュージアム…。

二条城の近くから市バスに乗り、京都駅に戻りました。
本の話がいっぱいできて、楽しかったです。
「ショコラティエの勲章」の上田さんが、姫路出身だって、初めて知りました。だから、神戸のお菓子屋さんが舞台なのか。
あと、安楽椅子探偵が10月に放送されるとか。楽しみですね。

あと、あもさんから「昔、たうみさんにサインしてって頼んだら、『河合我聞か坂本教授って書くけど、どっちがいい?』って言われた」という話を聞いて大笑い。「「そりゃ、坂本教授でしょう」」とお互い声をそろえて言いました。

>これから「少女漫画展」へ行かれる方へ
ミュージアムに入ってから、また、二階でも券を見せないと行けないので、取り出しやすいところに入れておく方が良いです。
入り口にロッカーがありますので、大きな荷物はそこへ。貴重品等を入れる、小さなバッグがあると便利です。
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2008年08月17日(日)
「明日も愛してる」安芸まくら

ホリーノベルズから出た、初めての木原さん以外の本です。
「泣ける」と評判でしたが、私は、ひたすら悲しかった…。

BL版「博士の愛した数式」みたいな、13分しか記憶の保たない男と、彼を世話する恋人の話です。
「博士〜」は家政婦目線だったので素直に泣けたのですが、これは当人の視点なので、一緒に混乱するし悩むし、目まぐるしくて、精神的に疲れました。この一冊がたった一日の出来事だなんて、信じられない。
妹のことを忘れてしまうくだりが、特に悲しいです。

津田が、櫂に「二度と会えなくなっても、俺を幸せにする魔法をかけてくれるか?」と言うところ、じわっと涙ぐみました。
何度も自分を忘れてしまう人を愛し続けるって、辛いことですね…。

それにしても、櫂が記憶を無くす前、津田とどういう風に出会って恋に落ちたとか、ほとんど分からないままでしたね。何故、櫂にそんなにお金があるのかも謎のままだ。



2008年08月15日(金)
鼻煙壺1000展

「鼻煙壺1000展」(東洋陶磁美術館)に行ってきました。
色んな材質・デザイン・色の鼻煙壺があって、面白かったです。
赤・青など、色ごとに並べてる展示が綺麗。
象牙のものは、細かい彫刻が凄いなー。
絵が対になってるものもあって、素敵。
虫の絵が多かったですね。でもかわいい。
アメリカ歴代大統領似顔絵入りシリーズなんてのもあった(笑)
この美術館は、ストロボ・三脚を使用しなければ、撮影OKです。行かれる方は、デジカメがあると便利(携帯での撮影は禁止なので)。



2008年08月14日(木)
「もしも願いが」TATSUKI

「メガネカタログ」掲載時からファンだったので、デビューコミックスが出て、嬉しいです。
ラブシーンは皆無で、あってもちゅー止まりなので、清純派の方にオススメ。

特に表題作が良かった。
高校生同士の、恋愛以前のじれったい話。受か攻か分からない対等っぽいカップル、理想なんですよ! おまけにライバルで親友って。萌え転げました。
おじいちゃんの戦時中の恋も、もっと詳しく聞きたかった。
犬のマサムネが、キャラ立ってて可愛い(笑)

アホボンと教育係の話も良かったです。アホの子かわいい〜。
ヤクザ物なのに、ヤクザを批判してるのが新鮮。「家族同然に思ってた組員が、突然死んでいなくなったりムショに入ったり…こんなくだらねえバカな集団なくなりゃいいと思ってるよ」って。このシーン、好きだなぁ。

他の短編も、一作毎に作風違って、面白かったです。
最後の、ドシリアスな短編の後に、エゾシカの書き下ろしが入ってて、変な感じはしましたが(^^;

それにしても、「冬とエゾシカ」掲載時って、まだ「鹿男あをによし」発売されてなかったんですよね。世の中、鹿がはやりなのかなぁ。

前に書いた感想です。↓
2007/2/7「冬とエゾシカ」
エゾシカ好きな男子高校生と、先生の話。「鹿せんべいに甘んじてる奴らとは違うんですよ…!」と酔っぱらってエゾシカを語る高校生が面白い。飼い犬がバフっと顔にお手するシーンもかわいい。ちゅーだけのさわやかな話なんですが、大満足ー。
2007/6/14「砂の城」
優しくて儚げな弟と、ワイルドで影のある異母兄。雰囲気のある作風で好みーv ほんのりテイストで終わってるのが良いです。お地蔵さんに、葉っぱの傘をかけてあげるシーンが、ほのぼのしてかわいい。



2008年08月13日(水)
「愛と仁義に生きるのさ」鳩村衣杏

クリーニング店の仕事が、活き活き描かれていて、面白かった。
誇りを持って仕事してる職人さんはいいね! こんな店が地元にあったら良いのにな。
洋服のデザイナーも出てきて、服の材質のこととか、勉強になりました。

「誰かのチカラ釦になりたい」(縁の下の力持ち的意味で)という決めセリフが出てくるのですが、職場でおなじみの品なので、何か可笑しかった(笑)いや、いいシーンなんですけど。

主人公が、弟に向かって、「お前の兄ちゃんはホモだ! ごめん!」とカミングアウトするシーンが笑えました。
それに対する弟の返答が「捨てられないようにしろよ。玉の輿なんだからな…多分」というのも、何か可笑しい。
コミカルでテンポよくて、楽しい話でした。



2008年08月10日(日)
「小説家への道」(鳩よ!編集部)

2巻も読みましたが、面白かったです。
小説家志望でなくても、本好きの人なら、楽しめるでしょうね。

村上春樹等、有名作家の分析が興味深いです。
真保祐一が、デビュー前、取材の為にコンテナ倉庫に侵入して、警備員に追いかけ回された話。気の毒だが、ちょっと笑ってしまいました。

江戸川乱歩賞受賞作の、概要が載ってたのは参考になりました。「破線のマリス」、本編は読んでないけど、あらすじだけでもハラハラして、面白そう。
投稿作につけるあらすじは、悩みます。特に最後らへんのシーンが…「そして、二人は一夜を共にするのであった」とか書いてますが、照れます(--; 他のBL投稿者さんはどう書いてるんだろう。

二巻の、パソコンで文章を書くなら、QXエディタが便利という話、なるほどと思いました。
今、ワードで書いてるんですが、確かに、動作が重いし、印刷するときに縦書きにして、文字数整えるの、ちょっと不便かなと思います。



2008年08月09日(土)
「美しいこと」小冊子

「美しいこと」(木原音瀬)の小冊子、届きました!
ラブラブで、安心しましたー。
木原さんのことだから、痛さと紙一重だったら、どうしようかと思ってたのですが。脳が溶けそうなほどのハッピーエンドです。
ラブの足りない下巻から、ようやく納得のいく結末が迎えられました!

日高ショーコさんの1Pマンガが、可愛いです。不器用に芋の皮をむく廣末。ぷぷ。
超急ぎの仕事があるのに、我慢できなくて、下巻のゲラを一気読みしたとのこと。気持ち分かりますねー。絵描きさんも、これだけ原作を好きだと、嬉しいですね。

後書きで、「担当さんに『廣末は、松岡にそんなこと言える立場にないと思います』と言われて書き直しました」とありますが、第一稿がどんなだったか、気になります。
廣末、下巻で大暴落した株が、小冊子でちょっと回復しました(笑)でも、松岡はまだ不安で仕方ないみたいだから、早く安心させてやってほしい。

小冊子って、「箱の中」の時みたいなサイズを想像してたら、2段組で68ページ…封筒ぎっちぎちの大きさでした。凄いボリューム。細かいデザインも可愛くて、豪華でした。



2008年08月06日(水)
「悪人」吉田修一

「悪人」(吉田修一)を読みました。
衝撃で、読み終わった今、呆然としてます。今年、最も面白かった本の一つ。

女性の死体が峠で発見され、関わりのあった様々な人の視点から、事件が語られていきます。
犯人は早々に明らかになりますが、事件の経緯は、なかなか語られません。
映画「ゆれる」みたいな感じで、少しずつ、直前の状況をフラッシュバックしていきます。

「悪人」というタイトルが、誰を指すのか? 誰でも悪人であるとも言えるし、誰も悪くないとも言える。
人の弱さや、軽蔑、見栄といった負の感情を、自然に描くのがとても上手いと思いました。

寂しさの表現が、突き刺さるように心に残っています。
「寂しさとは、自分の話を誰かに聞いてもらいたいと切望する気持ちなのかもしれない。これまでは誰かに伝えたい話など無かったのだ。でも、今の自分にはそれがあった。伝える誰かに出会いたかった」
「誰でもよかったわけじゃない。誰でもいいから抱き合いたかったわけじゃない。自分のことを抱きたいと思ってくれる人に、強く抱きしめてほしかった。」

寂しい二人が気持ちを通わせ合ったのも一瞬。
ラストはやるせない。こんな切ない愛情があるのか! と思いました。

まとまりの無い感想ですが、とにかく凄かったです。
寝ても覚めても、九州の風景と九州弁が頭から離れません。
実際にあった出来事を、横でずっと見ているような気持ちでした。

それにしても、佳乃のお父さんはいい人なのに、何で佳乃はあんな根性悪く育ってしまったんだろう。

悪人というには小心者だけど、増尾もかなり嫌な奴だと思いました。
ネタバレ灯台で再会するシーンは泣きたくなりました。
それもつかの間の、急展開。
結局、祐一の嘘で、光代は守れたけど、祐一はひとりぼっちになってしまったんですね…。



2008年08月05日(火)
ジャパノロジー「花火」

先週のジャパノロジーは、「花火ーFlowers in the Night Sky」でした。
打ち上げ花火の歴史から、線香花火まで、興味深い内容でした。
絶滅寸前の国産線香花火を、復活させた女性花火師さんが紹介されていたのですが、本当に火の玉が大きくて、風情がありますね。

江戸時代、花火は一色しか無かったと聞いていたのですが、実際再現した映像を見て、こんな感じだったのか、と思いました。歌川広重の絵に描かれた花火が、闇夜とのコントラストが綺麗で、どんな感じだったのか、気になってたんです。



2008年08月04日(月)
「夢の卵」鷺沼やすな

「夢の卵」(鷺沼やすな)を読みました。
静謐で美しい、流れる水のような文章が印象的。こんな詩的なラブシーン、初めて読みました。
特に大きな盛り上がりや、明確なオチがあるわけではないのですが、独特の世界観がとても良かったです。

同居している恋人が、突然、記憶喪失で、11歳の子どもに戻ってしまう。その影には、母親との軋轢があるようで…という話。
子どもの詩草を大事に思いながらも、大人の詩草が恋しくなったり、逆に、子どもの詩草が消えてしまった時、喪失感に涙したり、切ない苦しみが、ひたひたと心地よく胸に迫りました。
木原さんのCOLDシリーズを思い出しましたが、こちらの方がずっと大人しいです。

巻末に、今市子さんが、挿絵の依頼が来た時、嬉しすぎて変な顔になったっていう、1Pマンガを載せてるんですが、面白かったです。確かに、今さんは、こういう文学的な話好きそう。



2008年08月03日(日)
「なみうちぎわ」中田永一(乙一)

乙一さんの別PN、中田永一さんの恋愛短編小説です。
「百瀬、こっちを向いて」という単行本に収録されている短編の一つなのですが、「百瀬〜」が地元図書館に入ってなかったため、アンソロジー収録の「なみうちぎわ」だけ、読みました。

5年間、植物状態だった女の子が目覚めると、家庭教師で教え子だった、小学生の男の子が高校生になっていて…という話。
植物状態の原因は、海で溺れた男の子を助けたこと。男の子は、責任を感じて、女の子が眠っている間、ずっと通ってきてくれていたのです。
罪の意識で繋がれているだけなのか、それとも恋なのか…と二人の気持ちは揺れます。
女の子の会話がぎこちないところとか、オペラグラスのあたりの、ミステリーっぽい展開とかが、乙一さんらしい。
じんわり切なくて、いいお話でした。

中田永一=乙一、ということを知ったのは、恵文社さんのポップです。
「初の恋愛小説ということで照れくさいのと、名前を離れたところで評価されたいという乙一氏の希望により…」と見てきたかのようなコメントが付いてて、ビックリ。
以前、三省堂さんのブログで「百瀬〜」を知って、「変わったタイトルだなぁ」と記憶に残っていたのですが、まさか乙一だとは! 乙一のどこが新人なんや!(笑)(ブログに「大型新人」って紹介されてたんです)。


………汚れ感想で申し訳ないんですが、この話、BLだったら、凄く良い年下攻なんだけどな! だれか、こういう設定で書いてくれないだろうか。



2008年08月02日(土)
能装束・能面展に行ってきました

片山家の、第十二回「能装束・能面展 -能に見る源氏物語」(京都文化博物館6階)に行ってきました。会期は明日まで。入場は無料です。

12時頃に行ったら、ちょうど、九郎右衛門氏の解説の途中でした。装束と、能面について聞けて、面白かったです。
面について、「この『増』、いいでしょう? でも高くてね…。外国に行ってしまうのは嫌だし、(買う決断をするまで)悩みました」とか、「これは使いやすい面で…」とか、演者ならではの実感のこもったお話でした。

12:30くらいに九郎右衛門氏の解説がおわり、12:40くらいから、今度は能面の修復をされている見市氏の解説。はきはきとして、分かりやすかったです。
最新の分析技術により、室町時代等に作られた面の、塗料について色々分かってきたとか。胡粉 に、ふのりを混ぜて、虫がつかないようにするとか、白く浮き上がり過ぎないようにするため、お湯で洗って表面をでこぼこにしたり、様々なテクニックを使っているそうです。
古い能面というは、経年の為に沈んだ色になっているのではなく、元から、舞台で浮きすぎないように、ちょうど良い、落ち着いた色に作っているそうです。なるほど。

13:00くらいに見市氏の解説が終わりました。装束の解説が最後の方しか聞けなかったので、次の解説を待ったんですが、30分経っても始まらなかったので、あきらめて帰ってきました。来年は、朝イチで来たいですね。
お客さんは、30人くらいでした。着物の方もいらっしゃって、可愛かった。

文化博物館では「KAZARI 日本美の情熱」という特別展が行われてました。面白そう。また、機会があったら、行ってみたいです。