「午前五時のシンデレラ」(いつき朔夜)を読みました。 近年まれに見る、どうしてくれよう!ってくらいの萌え作品でした。九州弁万歳!
透明感のある、北畠あけ乃さんの表紙からは想像もつかない、男臭い、任侠の話でした。そういう世界に、小倉弁がぴったりなんですよ。「好いちょう」とか「繋ぐんたい」とか。
冤罪で前職を追われた真面目な男が、転職したパチンコ店で、ヤクザ崩れの釘師と出会い…という話です。 優也の秘密が少しずつ明らかになっていく様子や、飛良の人となりに興味を引かれて、前半、ページをめくる手を止められませんでした。 なんちゃってヤクザとかではなく、ちゃんと地に足のついた描写で、良いですね。優也も、本当に四角四面で、先生!って感じの思考回路だ。 正反対の二人が、心を通わせていく様子が、見応えがありました。
ただ、後半の書き下ろしは、面白いんだけど、物足りないような。 優也って、一人で考えて納得しすぎでは? 祭りの出来事だけで、兄貴分が納得してくれたって思うの、無理があるんじゃない? そして、ああまでしてきた阿南さんがあっさり退場って、都合が良いような…。 育った環境が違うから、相手をどれだけ理解できるのか?って悩む様子は良かったんですが、突き詰め方が足りなかった気がします。
後書きにまで小倉弁講座があって、いつきさんの地元への愛が溢れた本でした(笑)いいなぁ、ご当地BL。もっと増えて欲しい。
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