山本能楽堂へ見学に行ってきました。 分かりやすく、面白く話してくださって、舞台裏まで見られて、体験できて、とても面白かったです。
大阪市営地下鉄・谷町四丁目駅から徒歩3分。ビジネス街の中に、ひっそりと能楽堂がありました。 玄関・廊下は新しくて、きれい。舞台は、使い込まれて、風格が漂ってました。客席との距離が近い。二階席もありました。 教えてくださる先生は、30代の男性でした。修行を始めて10年目だそうです。
ユネスコの世界遺産に、日本から何を登録するかという話になったとき、日本側は歌舞伎を提案したそうですが、ユネスコからは「能という芸術があるでしょう?」という答えが返ってきたそうです。現代まで続いてる演劇の中では、能が、世界で一番古いのだとか。
二階席・舞台裏を見せて頂きました。 面の説明をしてくださったのですが、袋から出すときに一回一回拝まれるのが、印象的。職人さんや先人達に、感謝の念を表しているそうです。 あと、面は、紐を通してある部分しか触らないそうです。手の汚れが面に付くからだそうで。 地方公演の時も、絶対宅急便で送ったりせず、丈夫なケースに入れて運ばれるそうです。 面は、能楽師の命なんですね。
説明は、女性の面中心。 小面・若女(10〜20代)から、深井(30代)になった途端、急に老け込むのがショックでした。生活に疲れすぎや…。 髪が、10代の頃は真っすぐなのに、30代になると少しウェーブになるのは、人生経験を積み、ピュアでなくなった証なのだそうです。 嫉妬に狂って目が金色になった「泥眼」の面、角度によると、ほんまに怖いです そこから更に進むと、角が生えて鬼になるのだとか。男性の鬼には角はないそうです。
次に、装束を見せて頂きました。 実際に着せてもらったり、触ることもできて、興味深かったです。刺繍が見事で、重そうですね〜。早く着替えるため、腰ひも一本で着付けるそうです。若い女性の装束には、紅い色が入るのだとか。
続いて、舞台の幕開けを体験しました。 女性がゆっくり出るときは「おま〜く〜」と、ゆっくりしたかけ声で、ゆっくり幕を上げます。龍や鬼が出るときは「お幕っ!」と素早くあげます。
次は、舞台に出て、能面をつけました。 視界が狭い上に、遠近感が狂います。舞台も客席も、照明は明るいですけど、でも怖い。 位置を知るために、柱があるそうですが、能楽師の方でも落ちることはあるそうです。
舞台の後ろの松は、能が神様への奉納用だった時の名残だそうです。 間違って、絵を描く前に板を張っちゃって、画家の方が、絵の具が垂れないように描くのが大変だったとか(^^;
臆病口(コーラス隊が出入りするところ)を通って、舞台下も見せていただきました。瓶が置いてあって、その上で足踏みすると、反響が良いんですよ。
最後に、客席に戻って質問タイム。 能楽師になったきっかけは? とお聞きすると、「大学の時に能を見て」とのこと。それまでは法律家を目指していて、全然、能とは関係のないお家だったそうです。 一番好きな曲は? とお聞きしたら、困ってらっしゃったんですけど、「鉢木」とのお答え。 初心者にオススメの能は? との質問には、「分かりやすい、合戦物です。土蜘蛛などが良いですね」とのこと。 初心者向けの「とくい能」という催しをしてはって、7月は「土蜘蛛」だそうですので、見に行きたいです。
逆に「皆さん、何のお知り合いですか?」と聞かれて、困りました。一口で言えない後で多紀さんが「打ち合わせしとけば、良かったですね」と言ってはりました。 「能の漫画を読んで…」という話をすると、「『花よりも花の如く』ですね。あれは良く取材されてますね。私から見ても、間違ってる点が全くないですし」と、さすがにご存じでした。
2時間近く居たのですが、あっという間でした。 足袋は、事前連絡しなくても、貸してくださるそうです。サイズも色々ありました。 「他にも来たい方が居たんですけど、予定が合わなくて…」と先生に言ったら、「私が空いてる日なら、五人以上でなくても、良いですよ」とのことでした。 オススメです。
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