先日のあさのあつこ先生の講演会、忘れないうちにレポします。 70名ほど入る、図書館3階の会議室にて行われました。あさの先生は、水色のキャミソール+ボレロに、ジーパンという非常に若々しい格好。客層は、おばさまが多かったです。中学生くらいの若い子もちらほら。ほとんど女性でした。
以下、あさの先生の発言を箇条書きにします。 最初は、以前の講演でパイプ椅子で居眠りして前の席に激突した人の話。なので「眠くなったら隣の人にもたれてくださいね」。 次に犬の話。執筆に行き詰まると、飼い犬の耳を引っ張って「兎になれー」とか無茶なことを言う。娘が、東京で動物の介護士目指して専門学校に通っているが、帰ってくると、怒られる。 何でもかんでも一つの方向に流れる世間に対しての苦言。映画の記者会見で、皆の前に青いハンカチが置かれていた。ちょうどハンカチ王子が進路を決める日で、菅原文太さんがコメント求められて「しらねえよ」と渋く答えていた。天海祐希さんは「ああやって騒ぎすぎない方が良いのにね。斉藤君も気の毒」というようなことを、後でおっしゃってて、「ちゃんとした大人だな」という印象を持った。 その映画だが、パイロット版を見て、空が「岡山の空」だったのでウルウルきてしまった(もちろん主人公の林君も素敵です、とフォロー) 若い子が好き、という話。三浦しをんさんと対談したとき、「あさのさんのストライクゾーンは何歳?」と聞かれて、「12〜18」と答えたら、「狭すぎ!」と言われた。 「書くことキャンペーン」を推奨中。「今日のおかずはアジだった…前から嫌いだって言ってるのに、どうして女房は分かってくれないんだ」とかでも良い。自分のことって意外と分からないもので、書くことでハッキリすると思う。周りの人との関係も。最近は「そのままの自分で良い」みたいな風潮があるけど、思考を停止して何も考えないで、大衆に流されちゃうのって、怖い。 物書きになりたいと思ったのは13歳の時で、ずっと執念深く思っていて、実際なれたのは36、7歳の時。その執念深さだけは、誇りに思う。 自分の物書き人生が70歳までとして、一年に5冊本を書くとしても、100冊しか書けないって思う。とにかくアイデアがどろどろ渦巻いていて、書きたくてしょうがない。
質問タイム。 中一サッカー少年のお母さんから。「息子から質問です。あさのあつこさんの名前は、どうしてひらがななのですか?」 「「あ」が二つあってかわいいから。サインの時に押すハンコも「あ」の二乗になってます」
同じ方から「息子から質問です。サッカーの話を書く予定はないのですか?」 「考えておきます(笑)」
「白兎の正体は? 許しや贖罪の象徴かなと思ったのですが」 「続編があるので、今は内緒です」
「NO.6など、若い人を書くときは文体を意識して変えてる?」 「言葉遣い等は取材してますね。他の話はキャラクター先行ですが、NO.6は、9.11というテーマが先にありました」
「娘が読書感想文を書きました…森絵都さんの『DIVE』で。その中で娘は『私にもこんな風に打ち込めるものが見つかるだろうか?』と悩んでいました。こういった若者に対してのメッセージをお願いします」 「先ほどのハンカチ王子といい、若者が何かに打ち込むことは美しいって風潮はありますね。でもそうなれない子も当然いるわけで。瑞垣というキャラクターは、そんなところから生まれました。続編も書くので、良かったら読んでいただきたいです」
「『いえでででんしゃはこしょうちゅう』が好きです。子どもの頃家出したことがあって、罪悪感を感じてたんですが、この本でふっきれました。ところで、なんで「で」が多いんですか?」 「響きが面白いからです。でも国語関係者からは『間違ってる』って指摘を受けました(^^;」
「続編はメッセージ性が強かったですね。意図して、ですか?」 「書いてるうちにそうなりました。挿絵の佐藤さんとは普段お会いすることはないのですが、一面に難民が並ぶ絵を描いてくださったときは、ハッとしました」
「『福音の少年』を読みまして、帯に『本当に書きたかった物語』とありましたが…」 「あれは、編集者が勝手に決めてます。私もびっくりです(笑)」
「あさの先生の作品は、少年に比べ、魅力的な大人が出てきませんね。大人嫌いですか?」 「大人には、ついつい目が厳しくなってしまうんですよね(^^; これから頑張ります」
「あさの先生の書く少年は、女性が理想とする、女性が好きな男性像、ですね。息子さんがモデルですか?」 「いいえ、全然違います。うちの息子は柔道をやってたんですが、ほんとピッタリな体型で。胴が長くて足が短くて。確かに、書くときは理想が入ってますね」
あと児童書は制約が多くて難しいという話。たとえば、葛藤とか憂鬱とか難しい字は使えないので、他の言葉に言い換えなければならない。 来年は、久しぶりに小学校低学年向けの本を出す予定。飼い犬と飼い猫をモデルにした。
すごくうろ覚えなので、間違ってるところもあると思います。また、思い出したら書き足しますね。
|