待ちに待った、木原音瀬「檻の外」が出ました。 すごく良いシーンもあって、泣きました。読後感は、良かったです。 以下、激しくネタばれしてます。 穂花が、話の都合上邪魔だから殺されたみたいに感じて、嫌だった。堂野も、娘を殺された割にあっさりしてるし。もっと悲しみや苦しみを掘り下げて書いてくれたら、納得いったと思うけど。そこだけ残念。 妻があまりに身勝手すぎてついていけんかった。「なんで私がこんな目に」って。すべてあんたのせいじゃん、逆ギレすな! 確かに相手の奥さんが悪いけど、そこまで追いつめたのは、あんたと田口じゃー!! 喜多川が、「穂花を死なせたくなかった、これは俺が人を殺した罰なのか?」と泣くところや、堂野が欄干から手を離して喜多川と落ちていくシーン、喜多川に「一つだけなら、君を選ぶ」と告げるシーンが好きです。喜多川が、芝さんの手紙を握りしめて、今言葉に表せないほど幸せだ…と思うシーンももらい泣き。 あと、お葬式。これに泣いた。もっと長生きして、90歳くらいまで、ふたりで介護しあいながらでも、生きてて欲しかったなぁ…。 ともかく喜多川が幸せになってくれて、良かった。それだけが願いだったので。 でも、堂野が最初、喜多川が家族に危害を加えるんじゃないかって恐れてたり、穂花殺しの犯人だと疑ってたりしたのは、嫌だった。なのに、妻に裏切られた途端、喜多川の所に行くんやもん。もっと早く、信じて、受け入れてやれば良かったのに。喜多川は、ずっと堂野しか見てなくて、そばに居れるなら死んで生まれ変わりたいとまで言うのが、ともかく切なかったです。 奥さんの子どもも、不幸にならなくて、良かった。情とか絆って、なんだろうなと考えました。法律で守られた婚姻関係が、あっさりと壊れ、何の保証もない堂野と喜多川の関係が、一生続いたり。血のつながりのある、田口と尚よりも、堂野と尚の方が本当の親子のようだったり。 尚に、布団が一つなのをつっこまれて、喜多川が「貧乏だからだ」と答えるのは、笑いました。 それにしても、話の本筋には関係ないのですが、芝さんの罪ってなんだったんだろう。小冊子プレゼントって、誰の話なんでしょうね。
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