 |
 |
■■■
■■
■ 悪魔的な魅力
その闇は、しんと暗くあまりに深い。 ブラックホールのように、飲み込んで、飲み込んで────それでもまだ足りない。
砂漠に水を与えるように、その飢餓状態が終わることはない。
私1人の人生を捧げても、到底埋められるモノではなく。 たとえ100人が犠牲になっても、彼1人を満たすことは決して出来ないだろう。
次女姉が、
「・・・あんたどうしたの・・・そんな顔して・・・ らしくないよ。そんな状態、見たことない。 表情が乏しくなった」
と言った。
あの日から2ヶ月。 その間、私の人生において何に集中していたかと言えば、ただ1点。
あまりに集中しすぎて、こうなってしまった。
「その人に心を明け渡しちゃったのかい。 自分をほとんど見失っちゃうまで」
「・・・それでも、一時的にしか伝わらないのがわかるの」
自覚しているのは、今ここに自分がいても、自分と言う器が何処かへ行ってしまったような感覚。 それはあの人の元にある。 取り戻せるかどうか、ギリギリの位置まで私は投げ出してしまった。
「彼と心が同化しかけてるよ、しっかりしなさい」
「・・・あの人の心を埋めることが出来るのは?」
今は主婦業に専念するも、優秀なセラピストでもある次女姉が答えを出す。
誰も居ない、と。
愛情を受け止める土台がなければ、いくら注いでも浸透せずに流れてしまう。 それでも求める。 求めて求めて、受け止めることなく流して、そして嘆くのだ。
“自分は愛されていない”と。
そして傷付けるのだ。 愛情を注いでくれる対象を。
常に激しい矛盾を抱えながら。
「自惚れちゃいけないよ。人1人を救うことの難しさを知らなくちゃいけないよ」 「・・・はい」
────ここまであんたをボロボロにして、許せない。
一言、次女姉がそう言った。
悪魔的な魅力に惹かれた人は、こうなる。 引きずり込まれて、でもあまりに甘美で、人の心を麻痺させる。
私は今、身を以て経験している。
「・・・それでも思い切れずにいる私は、病んでしまってるってことね」
「病んでる。戻っておいで。あんたはウチの親が手塩にかけてる末娘なんだから」 「・・・・・・」
破滅的で刹那的であることは、あまりに魅力的で。 果たして私は、その魅力に勝つことが出来るのだろうか。
2005年02月26日(土)
|
|
 |