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■ 抱く
時々。 ふ、と。
ぎゅ、って抱き締めて欲しいと思う瞬間がある。
ほんの、時々。
夜遅く、ぐったり疲れて自宅へ帰る途中の、暗い夜道をぶらぶら歩いてる時とか。
朝方、鳥の囀りを聞きながら、部屋の窓・・・網戸ごしに薄明るい空を眺めている時とか。
寝過ぎた夕方、ベッドの上で小さくなって、1日を無駄に過ごしてしまったような感覚に囚われながら、それでも少し満足した薄暗い空間の中で、とか。
程良く筋肉のついた、細すぎず太すぎないがっしりした腕で。 今まで何度もそうしてくれたように、強く、抱き締めて欲しい・・・・・・・なんて、思うことがある。
一言で言えば、単に、人恋しいってだけなんだろう。
────でも、皮肉で女々しいと思う。
私には元々さほど性欲はないし。
人と物理的に接触するというのは好きじゃなくて、むしろ嫌いなくらいで。 触れたいとか、触れて欲しいとか、思うこと自体が極稀で。
軽々しい男も女も、嫌い。
性欲を満たすためだけに行動を起こすのも、軽々しい。
心が伴わないなら、無意味に等しい行為みたいなもの。
今のところそういう認識だから。 少なからず嫌悪感が生まれるし、身体はきっと反応しない。
そんな私でも、人肌が恋しいって時が、ある。
もちろん誰でも良いと言うわけではなくて、抱擁1つでさえ、特定の誰かを思い浮かべてしまう。
貴方が、思い浮かんでしまう。
貴方の髪型とか輪郭とか、そう、顔かたち全部、 滑らかな曲線で描かれて具現化する、瞼を閉じれば見える光景の中で。
心地よい温もりが欲しいと、思う。
過不足のない腕の太さと胸の厚さと、力の込め方と。 高揚感と安心感が矛盾なく心を支配する、その瞬間が愛しい。
ぴったり身体をくっつけて抱き合って。 首の後ろに両手を回して、くっついていないのが可笑しいくらいに、くっついて。
そんな欲求が、沸いてしまうことがある。
それ以上は望まない。
過去の記憶の所為でリアルにシュミレーション出来てしまうのも、皮肉としか言えないけれど。
貴方に、と思うこと。 それは何を意味しているのか、と少し憂鬱になることがある。
────私の脳は繋ぎ止めるか。
新しい記憶が生まれるまで思い浮かぶのなら、ただ時を待とうと思う。
そうでないのなら、それでも、時間が必要なのだろう。
貴方が確かに、言ったように。
・・・いつまでも。 私は実像を伴わない不確かな存在、そも道理の存在しない先天性の背徳者のようで。
でも。 今までのようには、もう、戻りたいとは思ってない。
感覚神経が、そう告げる。
2004年08月09日(月)
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