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みんみん



 八重山行き(1日目)

八重山に行った。
メンバーは、りー母・私の両親・りー氏・私の総勢5名。
早朝に実家を出発し、小松空港から那覇、那覇から石垣島まで飛行機を乗り換えて行った。

「沖縄」は大きく3つに分かれるらしい。沖縄本島・宮古諸島・そして八重山諸島。そのうち八重山は、石垣島・西表島・竹富島を中心とした南西の島々をいう。
自分で申し込んだ訳ではないのであまり深く考えていなかったのだが、これは添乗員さんつきの旅行だった。お迎えのバスで他のツアー参加者の皆さんとお目にかかってようやく実感する。総勢13名(そのうち身内が5名)プラス添乗員さん(母の知り合い)だから、ツアーといったところで自由度は高いが、添乗員付きの旅は中学の修学旅行以来だ。
自分(たち)にとっていちばん面倒だったことを最初に書いてしまうのも夢がないのだけれど、端的に言うと、食事ならびにお土産物を買う場所と時間の融通がきかなくて、それが不満だった。どこで食べるか/お土産を買うかが予め決められてしまって、ほぼ選択の余地がない。いつも旅先では好き勝手に動いているだけに、それに気づいたらとたんに「むう」と思ってしまう自分。
りー氏も本当は「むう」なのだ。ただしりー氏は人前ではあまりあからさまに不満をあらわさない(だからと言って不満がないわけではない。むしろ私よりも頑固だ)。私ははっきり言い、そしてそんなことを言う自分にまた嫌気がさす。
自由度が低いことについて話していたら、りー母はむしろ自分でいろいろ考えなくてはいけないと思うとダメだと言っていた。りー母は自主性も主体性もある人だけれど、こと旅に関しては細かいことを考えたくないらしい。だからセットになっているのはありがたいと。
いずれにせよ誘われてくっついて来ている人たちにえらそうなことは言えない。
何よりやはり、行って、見た、という事実は大きい。振り返ってもそのことははっきりしている。

那覇空港上空から見た海は見たことのない色をしていた。
サンゴ礁の海の色。

石垣空港に着き、再びバスに乗る。
外は牛(のふん)のにおいがした。八重山の主要産業は畜産と農業(サトウキビ・牧草)である。
バスにはガイドさんはいない。運転手さんが運転とガイドを兼務する。兼務は私たちが乗ったバスの運転手さんだけかと思ったらどうもそうではなく、八重山では一般的なようだった。最終日に石垣島を廻った時の運転手さんもそうだったし、西表島でも竹富島でもそうだった。しかもマイクはカラオケなんかで使うような重くて旧式のタイプである。確かに(市街地以外は)信号も車も少ないが、大変な芸当である。
「おれには絶対に無理だ」とりー氏。りー氏はいっぺんに2つ以上のことが出来ない。例えばテレビを見ている最中に話しかけられることを大変にいやがる。車を運転しながらしゃべらないわけではないけれど。

ほぼ海岸線をなぞるようにして島内を走っていく。ガイドさんに案内してもらいながらの観光旅行はめったにしないので、新鮮な気がする。

場所ごとの(例えば、自分が住んでいる場所との)差異を見いだし、感ずるところに旅の楽しみのひとつはあると思うが、自分の旅は、いつもやっているような物事を通して差異を見いだすという方向に行きがちで(具体的に言えば街をただふらふら歩くだけでこんなに人の顔は違って見えるのか、というようなこと)、もっとダイナミックな違いに触れること(いわゆる観光地めぐり)は、しないわけではないけれどメインではなかった。いつも自分の好きなように地図を読んでは歩いていた。
観光地として挙げられるからにはそれなりの理由があるだろう、ということを思いながら廻る。

今は冬なのだが緑は繁り、いろいろな花が咲いている。花や木は嫌いではないが、ふだんぼうっと歩きがちな私ですら、なじみのない植生には目が行く。ひとつひとつが全て珍しい気がした。
いや、これが石垣の冬なのだ。

川平(かびら)湾ではグラスボートに乗って、サンゴ礁と熱帯魚たちを見た。
次回はきっと海に潜ろうと決めた。
島内を走っているとしばしば道端に簡易売店(いわゆる「よろず屋」風)があった。きっとのぞいたら面白いはずだ。だけどこちらはバスの中なのでがまんする。次回こそは。

ほかにもいろいろ行った。西表島に沈む夕日も見た。唐人墓地にもお参りした。

宿泊先のコテージで出会った猫2匹。



---人懐っこく立派な体躯をしたおじいさん猫。



---灰色の猫(外国の猫みたい)。
白茶の猫よりも若く細い感じだったので、のいに似ている、と両親。
たしかにこれもトラ猫だけれども。

彼らが2泊3日の友達だ。
宿に帰ったら猫がいると思ったらそれだけで楽しくなってきた。

ところでこの旅は、猫という動物が、今、のいと暮らす私の両親にとって、いかに近しい存在となっているかを実感した3日間でもあった。
「のいみたいだね(orのいとは比べ物にならないね)」「のいはどうしているかな」
と、たびたび、そんなことばをきいた。

八重山では猫にも出会ったけれど、犬とはもっとよく遭遇した。大人の犬も子犬も。
放し飼いにしているケースもあるようだ。首輪をしてひょこひょこ歩いている姿を見かけたりした。
バスで島内を廻っているとき、捨てられて野犬と化した犬も見た。ときどき鶏を襲いに来るという。

夜は沖縄料理を食べ、オリオンの生ビールと泡盛をシークァーサー(かぼすのような柑橘類)で割ったのを飲む。八重山そばはソーキそば(沖縄そば)よりもあっさりしていて、おいしい。
本当は夜更かししているつもりだったけど、りー母よりもりー氏よりも早く眠ってしまった。

2002年12月22日(日)
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