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みんみん



 長崎(その1・日帰り)

通勤通学の時間帯に叔母の家を出る。特急「かもめ」で長崎へ。
乗るたびにいつも思うのだが、JR九州の車両は、どれもバラエティに富んでいて、便利だ。特急列車についていえば、お手洗いが男女別なのは当たり前だし、女性用については、着替え用のフットレスト(?)もついている。伝染したストッキングを履き替えたいなどという時に使える。

車中から見る佐賀平野は広い。九州の山はそんなに高くなく(阿蘇とかは別だろうけど)、ずっと連なっている。佐賀の山を見たら、雲のかかり方がちょっと独特だった。高山ではないのに中腹の方に切れ切れにかかっていた。気象の関係があるのだろうか。
宮本常一(民俗学者)が父から教わった十ヶ条に、電車に乗ったら車窓からの風景をよく見よ、というのがあった。見知らぬ土地に行くといつもそんなことを思い出して、キョロキョロする。その言葉を知る前からやっていたことではあるが、非常に納得がいく言葉だ。

今日のメインな予定を一番にクリアし、後はふらふら。まず、市立博物館に行く。
近くに原爆資料館がある。修学旅行の大型バスが次々と並んで走っていった。原爆資料館の中にも、修学旅行の小学生がたくさん。修学旅行というと私は中学の時にしか行ったことがないので(これは富山の公立学校に通っていた人なら一般的な経験である。なんなんでしょうか)、たとえば小学生がうろうろしているのを見るとふうんという気持になる。
少しおなかがすいてきたので松翁軒へ。2階の喫茶室でカステラとコーヒーを注文する。運んできた女性曰く「いつもは出来がいいんですけど、今日はちょっと・・・」。
えっ、そんなことを言われても。じゃあ今日はカステラを買わない方がいいってことか? 梱包するのはまた違うのか? などといろいろ考える。はがきを数枚書く。
カステラは一切れだけ食べて、もう一切れは包んでもらう。

孔子廟はちょっと期待はずれか。黄檗(宗)の寺にでも行けばよかった。でもオランダ坂の近くだったので、歩いてみたのはよかった。
他には中華街をふらふら。市内のあちこちに鎖国・幕末時代の史跡が残っている。

市内電車と徒歩で移動したのだが、市内電車の運転手さんのなんと温厚なことよ。人へのもののたずね方を知らない(=ありがとう、と言わない)修学旅行の小学生が生意気に聞いてきても、ぶっきらぼうになることなく、短気になることなく、親切に受け答えしていた。もちろんサービス業にはそれが大事なのだということも出来るが、そういう問題でもなさそうだ(というのも、その後いろいろな場面でのんびりほどよく人懐っこい気質に触れる機会があったから)。
カリカリした方が負けってことですな。もちろん怒るのも大事よ、大事だけどね。

帰宅して叔父(長崎赴任経験あり)に「長崎の人って・・・」と話すと、「長崎の人は怒らないねー。のんびりしている。本当にあれはえらいところで」と返ってきた。
笑いながら「怒る人は長崎の外に出ていってしまうんだよ」とも。
さて真相はいかに。

2002年11月01日(金)
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