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◇◇サイ・セイ◇◇
りえ



 不器用なので。

「りえは、セックスした次の日はやけに素直だね」

と彼が言う。

「それに、優しい」とも。



普段は素直じゃないし、優しくもないってことかい。



ちっ。



彼はわかっていないのだ。

セックスがよかったから優しくなるなんて、そんなわけないのに。



友達期間の長かったわたしたちは、

まるで男同士のように付き合ってきた。

話し合いも、いつだって真剣にした。

わたしは彼に対し、対等であろうと努め

そのためには女のスイッチを切らなければならない。



彼を男として見ると ついドキドキしてしまうから。



いつの間にか、そんな癖が身に付き それは今だに続いている。



抱き合うときは、そんな努力は 当然に必要ない。むしろ邪魔だ。

そして少し無理やりに 女 に戻ってしまうともうだめだ。

立て直しに、ちょっと時間がかかる。



甘えるわたしに彼は笑っていうのだ。

「毎日こうならいいのに」と。

それはだめよ。と言うと すぐさま「なんで?」ときくので



正直に、あなたと対等に渡り合えないから と言ったのに

彼はまるでわかっていないようなのだ。

「りえは誰と闘っているの?」と笑って

また、わたしの努力を泡にしてしまうのだ。

2005年05月27日(金)
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