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■ それはごくたまのことだけど。
ものすごくささいなことで 彼が酷く愚鈍に見えてしまうことがある。
それは、彼自身が愚鈍なわけではなく わたし自身の中に、そう思われたくない強い気持ちがあるせいだろう。
火傷を負っている皮膚が ほんの少しの刺激にとびあがるように わたしは 自分の心のいびつさゆえに 彼のした、その小さな失敗に 強く反応したのだ。
言葉では3割程度に抑えていても 心の中では、言ってしまったらおしまいが来ること間違いなしの あらゆる罵詈雑言がいったりきたりしていた。
そしてそれらが外に出ないように必死になって わたしは彼と決して目をあわさず その横を素通りする。
彼に怒っているんじゃないけど 彼は わたしがまだ怒っていると思ったに違いなく おやすみも言わないまま 二階へ消えた。
それでもいい。 黒い 汚い言葉が 薄い膜から沁みだしてしまうよりは。
2005年06月05日(日)
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