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HELEN&HEAVEN
Helen
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2004年12月24日(金)
ひかない魚




先の日曜日、いつもなら早々に寝てしまうのだが、この日は普段、ほとんど見ないTVをぼんやり見ていた。

今回の情熱大陸では、鮨職人 『荒木水都弘』を取り上げている。

鮨職人自体、珍しい存在ではない。
TVがとりあげるくらい有名人なんだね…。
惰性で眺めていた。

私の瞳が俄然輝き始めたのは『新津武昭』の名前が出て来てからだ。

白洲次郎・正子、辻邦生、小林秀雄など各界の本物たちが通いつめた幻の鮨店、今は無い銀座「きよ田」の店主。

荒木水都弘は、最後の弟子らしかった。

消えてしまった「きよ田」の回顧録と説明すべきか…
   ↓
『ひかない魚』(求龍堂)
語り手:新津武昭

この本は、持っていた。
実は『小林秀雄』を愛する歯医者のジィちゃま先生から「買って来て。」と頼まれて、私の分を含め同時に2冊買ったの。
ジィちゃま先生から頼まれた書籍は大抵2冊買って、自分も読む。

残念ながら『ひかない魚』は、近年、敬愛する親会社の課長が入院した時に進呈した。

〜BOOKレビューから〜

個性の強い大人たちが通った鮨店銀座「きよ田」。
最高のまぐろを出す日本一高い鮨屋、気難しい店主、入りにくい、いや一度は行きたい。それが「きよ田」の世評であった。
「店は90%お客さまが育ててくれます。」という店主。

主な登場人物
辻邦生 辻佐保子 白洲次郎 白洲正子 吉田健一 小林秀雄 河上徹太郎犬丸一郎 今日出海  阿川弘之  大佛次郎  安岡章太郎  北杜夫  谷川俊太郎  永井龍男  井上靖  神山繁  中川一政  奥村土牛  市川新之助  青山二郎  石川淳  武原はん  開高健  吉行淳之介 他

******************

年に一、二度訪れるか訪れないかの愛弟子『荒木水都弘』の店「あら輝」。

生で喋っている「新津武昭」を初めて見た。

言葉遣いは、いたって丁寧。
弟子に対してさえ敬語で話す。

語り口調は柔らかだが、弟子を見る目は刺すように強く、荒木水都弘の握った鮪は付け台の上でどんどん乾いていく…。

新津の語り口が、丁寧至極であるがゆえに余計と厳しさを感じさせる。

「こういう切り方をするんだったら…

切りつけ方をするんだったら、

家庭の奥さんでもできるはずですよ。

お勘定を頂かないんだったらこれでもいいと思います。
 
お勘定頂くんだったらやっぱり“理”にかなった切りつけしないとまずいですよね…」

弟子の荒木水都弘は、とうとう泣き出す。
乾いた鮨は捨てられた。


『鮨にも人間性が出る。』 すこぶる印象に残った言葉だ。

隠し持った心の奥底まで、覗き込まれたようだ。

新津が語り部の「ひかない魚」を読んでいても、行間から刺身包丁の鋭い切っ先をつきつけられ問われているような気がした。

「天に(宇宙の真理に)恥じない生き方をしていますか?」


我々は有形無形のものに自身を投影する。


素っ裸で「来るなら来いっ!」
 
言える自分では、あると思うけれど…。(






2004年12月23日(木)
泣きそう…



寒くなるにつれ、布団から抜け出せずにいる困ったちゃんは毎年変わらない。

とうとう始業ぎりぎりより1本手前の通勤電車になった。

近頃、会社寄りの駅について、降りる際…

とても懐かしい面差しをした男性を見かけた。

年の頃は、60歳前後か…

身長は私と同じくらい。

懐かしく思われたのは、昨年末、大腸癌から癌を再発して亡くなった知人に似ているからだ。

どんな愚問にも根気よく応えてくれて、いろんな知恵を授けてもらったなぁ…。兄のように慕っていた。

今夏のお墓参り以来、彼の母堂との書簡は2通目となる。

母堂は育児と家事だけに専念してきた昔の人だから、ほぼ文盲に近い。
おそらくは、孫からもらった原稿用紙に、何度も何度も下書きしたあとが見えた。

「もう、この世にはいないと、わかっていてもつらいです。」

子供が親より先に亡くなるなんて、こんな不条理は納得しがたい。
読むたびに泣けてくるので、引き出しの奥に眠っている。


彼の生きてきた年数は48年。
我々の記憶の中では、ずっと48歳のままで止まっている。

毎朝、通勤電車で見かけるお父様は…
丸くて小さな可愛いお鼻…。几帳面にキリっと結んだお口。メガネ…。
何から何まで生前の彼、そっくりだ。

彼が生きていたら、おそらくこんな風に歳を重ねて行くのだな。

年相応に薄くなった後頭部まで愛おしい。

どこへお勤めだろうか?
勤務先につくと腕に黒い汚れよけをはめて、1日中黙々とソロバンをはじいていそうだ。

初めて、そのお父様を見かけた時…

「あっ!Kさんっ!?」 心の中で叫んだ。

徒歩のお父様と自転車の私は、駐輪場へ寄るタイムラグがあるため、ある幹線道路で交差する。

見たら涙が滲んでくるので「見てはいけない。」と、自分に言い聞かせているのに…

目がどうしても、後追いしてしまう…。

(待って!待って!!…)

哀愁を帯びた真っ直ぐな背中は、今日も人混みに消えていく…。








2004年12月22日(水)
エロ本屋さんで注文したもの


昨日の昼休み、当分のあいだオさぼーんしていた新聞のスクラップをまとめてしていると、偶然にも週○朝日の臨時増刊号が発売されているのを知った。

特集は、イ・ビョンホン様♪(はぁと)

冬ソナ以来、続けて観ている「美しき日々」で涙の女王チェ・ジウの相手役だ。

最初は、「なんて、すかした野郎だ…。」と冷めた目でみていたものだが、だんだん、その真摯な瞳に釘付けになってきた。

『眼力』というか…今風に言えば「目ヂカラ」がある。

私には“美しく泣く”という芸当は到底できないが、願わくばチェ・ジウ様と代わってみたい。

このすかしたワガママ…でも、甘えたちゃんの色男に振り回されてみたい。

…なんて、夢想する。(*v.v)。

さて、その臨時増刊号を買いに「郵便局へ行ってきます。」と虚偽の報告をし…本屋さんへ急いだ。ヾ(-д-;)ぉぃぉぃ
会社の近隣の本屋さんは、奥行きも間口も狭く、その殆どが 『エロ本』で占められている。
ちょっと恥ずかしい。
でも、ふつーの週刊誌等もおいてあるので、ちょくちょく利用させていただいている。

残念ながら、売り切れていたのだが、他店舗から取り寄せていただけることになった。

今日、受け取りに行った際、新たな本のお取り寄せをお願いする。

『新・特定商取引法』会社用と自分用と合計2冊。

エロ本屋さんでエロ本以外の本をお願いするのは、なんだか申し訳ないような気がするのは、私だけだろうか?

話の接ぎ穂に「今度、特定商取引法が改定されて、訪問販売や電話勧誘に関して厳しくなるんでしよ。」店主の、オサーンに言い訳がましく説明する。

気も恰幅も良い店主は首をゆらゆらさせながら…
「(ノ´▽`)ノオオッ♪私とこも困ってるんですよー。電話なんか、おざなりに聞いてると“なめとんかー、ちゃんと聞けや、われー!”なんて罵られたりします。」

お商売していると非通知ブロックができないから、たまらないでしょうと相づちを打つ。

お局σ(´ρ` )だって、いくど電話で罵詈讒謗を浴びせられたか…。(i_i)
ぇえ!非通知ブロックする前は、禁断の3文字だって、吐き捨てられましたよ!

そんな時は、放送禁止用語の4文字で返しますよ、うふ♪
(勿論、事務所に誰もいない時ですよ、念のため)


この11月11日から新『特定商取引法』が施行されて、飛び込み営業や電話勧誘が、ずいぶん減ったように思われる。
バンザーイ!! ★\( ̄▽ ̄ )/☆

経理兄が辞めてから、確実に私はたくましくなった。

昨日の夕方…「お忙しいところ失礼いたします。こちらはNT○コミュニケーションズの…」
いつもは「手前どもは京○ラさんが、得意先なもので…」と丁重にお断りするところだが、100回以上も同じセリフを繰り返すと、いい加減いやんなる。
黙って切った。テレアポのお姉ちゃん、すまん×2.

今日の夕方…
「お忙しいところすみません。」
「お忙しいのですみません。」

またもや、途中で切った。テレアポのお兄ちゃん、すまん×2.

いい加減、あきらめてくれんかの。

電話帳片手にかけまくるらしい。
なぜか、夕方4時以降、仕事の疲れもたまって思考回路が鈍ってくる頃を狙って来る。

以前「悪魔に魂を売るような仕事は辞めなさい。」と注意したことがある。
それでも、雨後の竹の子のように、ニョキニョキ出てくる新商法。

皆さん、我と我が身は自分で守らざるを得ない世相になってきました。

聞けば、アメリカなんかのマルチは、もっとえげつないそうですよ。

お勉強しましょう!
お勉強しましょう!







2004年12月21日(火)
近況報告〜


加齢と共に時間が加速する法則は、ホンモノだ。

先生方も走られる、ただでさえ忙しい、この月。

次から次へと、小事件が勃発して、追いまくられている感じ。

『幸』 (^-^)ノ∠※PAN!。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★゜'・:* と

『不幸』 が、順繰りにやってくる。

タスケテー!ヽ(´Д`;ヽ≡/;´Д`)/

いつも行く内科ではすでに『パソコン禁止令を出しますよっ。(▼▼)』脅されている。

肩こりのお薬を飲まないと、一日中、ハンマーで殴られたような頭痛が続く。

それでも、ネットに集中せざるを得ない理由があったの。

直近では、改訂・特定商取引法の概要をプリントアウトしていたら、100ページ以上にも及んだ。
関連項目を辿って、ネットサーフィンが続く。

もう、本業(事務員)そっちのけだ。

そろそろ、落ち着いてきたので大好きな本を読もうか。
気になって、気になって、読み返したくて仕方ない本がある。
ドストエフスキーの『罪と罰』

…なんで人を殺してはいけないのか?自身の倫理観を徹底的にほじくり返す作業が待っています。

ここで正直に告白すると、私はイラクで殺された人の動画を見た。
見てから後悔した。
「見ないことには理解できない。」私の悪癖が頭をもたげたわけです。

同じ動画を見た、親友の旦那は言った。
「あれは、人間のすることとちゃうで!」すごく怒っていた。

私は同意したが、実は怒る気になれなかった。

人間には、人それぞれの『正義』がある。

日本には日本の。
イラクにはイラクの。
アメリカにはアメリカの。

あなたにはあなたの。
わたしにはわたしの。

正義と正義が、ぶつかった時に争いが生まれる。

同胞はおおむね、同じ正義感を持つが…

きっと、向こうからしたら「介入してくれと頼んだ憶えはない!」のだろう。

以前、近隣の駅に巣くうアナーキストに「私のお古で申し訳ないんですが、羽毛布団いりませんか?」と尋ねたことがある。

彼は、夏はダニかノミに刺されまくった素足を見せている。
冬は、凍えて寒そうだ。

私のその問いかけに、あっちへ行ってしっしっ!と言いたげに、彼は手を振った。
私なりの正義感(おせっかい)に、反駁したのだ。

ちょっと…いや、かなり恥ずかしかった。

正義か不正義か。

ウソかマコトか。

わからなくなってきた世の中。


「真贋を見抜く力をつけなさい。」


いつも歯医者のジィちゃん先生は言っていた。