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りょうちんのひとりごと
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2018年05月30日(水)
Vol.867 先生の写真展

おはようございます。りょうちんです。

少し前に、新年会を兼ねたクラス同窓会で、高校時代の恩師に会うことになったということをこのひとりごとでを書いた。今回は、その後の話。
二十数年ぶりの先生は、髪型も話し方もあの頃と同じで相変わらずとても元気そうだった。何より驚いたのが、教え子だった俺らのことを事細かに覚えていてくれたことだ。大勢の教え子の中の目立たないひとりだと思っていた俺のことも忘れずにいてくれて、だからこそいちばん言いたかった卒業後に偶然見かけた時に挨拶できなかった謝罪も、緊張しつつもすんなり伝えることができた。先生は「そんなことあった?」ととぼけてくれたのだが。登山部顧問だった先生は教員を退職され、最近は世界各国の山々に登り風景写真を撮ることを趣味としているそうだ。そして「今度写真展を開くから、興味があればぜひ!」と、案内状の絵葉書を渡された。
4月最後の日曜。俺らは先生の写真展を訪れるため、再び集まった。市立美術館のギャラリーをのぞくと、先生は来場された方の案内で忙しそうにしている。写真のことはてんでわからない俺だが、先生が撮られた写真は素人の俺が見てもすばらしい作品ばかりだった。山村の夕景と鮮やかな稜線、猛々しく切り立った岩山、繊細で可憐な高山植物。見ているだけでそこに行きたくなる写真ばかりだ。先生に声を掛けると、今日は最終日だからこのあと片付けがあるとおっしゃるので、俺らは喜んでお手伝いを買って出た。展示中の作品を外し丁寧に梱包するだけなので、数人でやれば10分程で終了した。写真を鑑賞するだけでも楽しかったのに、先生のお手伝いで会場の片付けなんて貴重な体験ができて、俺はひどくうれしかった。
大型連休が終わり、我が家に宅配便が届いた。開けると、お手製の額縁に入った先生の写真。峰と峰の間の深い渓谷を俯瞰して撮った、俺が最もステキだと感想を伝えた一枚だ。一緒に入っていた手紙には、片付けのお礼とその写真の解説も書かれていた。俺の何気ない感想を覚えていてくれた先生の気遣いと最高の贈り物に、感謝と恐縮があふれて仕方なかった。