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2013年06月30日(日) ■ |
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Vol.806 少女に何が起こったか |
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おはようございます。りょうちんです。
相方の夕食を心配する必要のないその日、立ち寄った真夜中の牛丼店。店には先客がいた。50歳前後のおじさんと、中学生くらいの少女。何も考えずふたりが見える席に着いた俺は、腰掛けて初めてその光景がただならぬ雰囲気なのに気がついた。 少女は泣いている。目を赤くして、肩を振るわせながら。おじさんに対して何かを切々と訴えているものの、おじさんはたまに相槌を打ったりうなづいたりして話を聞くだけだ。ふたりの関係は父親と娘か? それとも教師と生徒? いや、この状況からして、もしかしてもっといかがわしい関係かもと疑ってしまう。ふたりの会話に耳を傾けていたが、流れるBGMのせいで会話の詳細はよくわからない。やがて食事を終えたおじさんは、少女に「がんばれよ!」と告げ店を出ていった。少女はおじさんに何度も頭を下げ、ひとりになったあとも大粒の涙は止まらなかった。 しばらくして。今度は少女の母親らしき人が店に入ってきた。少女を見つけるなり大声で一喝する。あわてて従業員が出てきたが、短い会話のあと半ば強引に少女を連れて店を出ていってしまった。残された俺は思わず、「何かあったんですか?」と従業員に尋ねると、苦笑いをしながら事の真相を話してくれた。 少女は母親と言い争いをして、衝動的に家を飛び出してしまった。夜の闇の中、行くあてもないまま灯りのついている牛丼店の前にやってきた。不審に思い従業員は少女を店内へ入れる。未成年者をひとりで帰すわけにはいかないので、従業員は本部に連絡したところ、警察か身内の人に引き渡すよう指示があった。身内の人に来てもらうよう少女に尋ねたが、それはイヤだと拒否をする。そこへ男性のお客さんがやってきて、少女の話を聞き説得をした。やっと納得した少女に母親が迎えに来たのだが、母親は取りつく島もないまま少女を連れ帰ってしまったというのだ。 少女に何が起こったか、俺にはわからない。だが涙を流しても家に帰りたくなかった少女の意地は、相当な覚悟だったのだろう。誰もがいろんな悩みを抱えながら、そうやってぶつかり合ってこそ成長していくのかもしれない。
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