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2012年01月17日(火)
「その車内は、親と子の試練の時間なんです」

『有野晋哉の父も育つ子育て攻略本』(有野晋哉著・インフォレスト)より。

【電車内、飛行機、店内やら囲われた空間で子供が泣くのを見かけます。
 でも、泣かしっぱなしってのはなかなか見ません。でも、それぞれに理由があります。喋る前の子供だと飛行機なら耳抜きが出来ずに泣いてたり、こればかりは言葉の壁があるので大人側に我慢してもらうしかないです。
 オモチャ屋サンなら買って貰えなくて泣いてる。お菓子コーナーもお菓子買って貰えなくて泣いてる。これらは何でも手に入ると思われないように躾で泣いたってどうしようも無い事もある事、我慢を教えてるんやろうと思ってました。
 では、バスや電車内で泣かしっぱなしなのは?
(何やねん! 自分らしか乗ってない車内とちゃうねんぞ!)(あやしてやるとかせえや! せめて、席立って別の場所に移動とかして、周りの人間にやれる事はやってますって努力をみせんかい!!)って思ってました。
 でも、結婚して子供が居て思うのは、これは最低な発想です。視野が狭すぎる。何故か?
 これも、躾なんです。
 泣けば甘やかしてくれる。子供からしたら(人前で泣かれたら恥ずかしいやろ? ワシのやりたいようにやらしてくれまへんねやったら、もっと大声で泣きまっせ)ってなもんで、泣けば言う事を聞いてくれるという手段を使いだしてくる子供に対して親が出来る事はそれを『無視』するしかありません。
 赤ちゃんから子供に成長させようと、親も我慢しているんです。泣いてて迷惑をかけているのは重々承知です。そんな状況を自分も見て来ているから。
 そこで、周りの人たちに、「すみません」とは声はかけられません。子供が感付くから。身を裂かれる思いで親は無視をしています。
 こんなに泣く子供をもって恥ずかしい。みんな怒ってるだろう。でも、やらなければならない。
 その車内は、親と子の試練の時間なんです。
 いうなれば師匠が弟子に免許皆伝の試練を与えている場所です。
 そんな神聖な時間に立ち会えたって考えたら、素晴らしいでしょう。そんな場所で野次なんて送りません。むしろ、応援します。
 みなさんもどこかの車内でそんな光景を見かけて、子供が泣き止む事が出来たら、「おめでとう!」と言ってあげて下さい。僕がその親なら、(何この人?)って目で見ますね。
 考え方次第で泣く子もだまって見れるでしょ。】

〜〜〜〜〜〜〜

 よゐこの有野晋哉さんは、ふたりの娘さんの父親です。
 僕も自分が親になるまでは、公共の場で泣いている子供が不快で、「親は何をやっているんだ!」って内心憤っていたのですけど、自分が親になってみると、「親というのは大変なものだったのだなあ」と考えずにはいられませんでした。
 いや、僕自身はいまでも、3歳の息子が泣いていると、つい言いなりになってしまう「ダメな父親」なんですけどね……

 バスや電車内で子供が泣いているというのは、周りの人にとっては迷惑千万でしょうけど、親にとっても、「穴があったら入りたい」状況なのです。なだめすかしても、そう簡単には泣きやんでくれないし。
 こう言う場合に「泣いている子供を放っておいて、諦めるのを待つのは教育上よくない」という話もあるようなのですが(子供が自分を助けてくれない世界に「絶望」してしまうから)、有野さんが仰っているように「子供を泣かせっぱなしにしている親もまた、闘っているのだ」と考えたほうが、周囲の人間にとってもプラスになるのではないでしょうか。

 こういうのって、本当に「考え方次第」ですよね。
 他人に迷惑をかけたくてかける人の割合は、たぶん、そんなに多くない。

 僕も、なるべく「心のなかで応援」していくつもりです。
 自分が子供を持ってみると、「ああ、こうして親や周囲の人に迷惑をかけてきたんだなあ」って、思うしね。