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■ 無音(ガンダムシード)(キラフレ)。
帰ってきてしばらくは事後処理に終われ、振り返る暇がなかった。 忙しさは一時の感情を忘れさせる。そんなありきたりのことを思いながら、どうしても立ち止まることを拒んでいた。 止まったら、あの笑顔ばかり胸によみがえってしまいそうで。
―――キラ。
無邪気だった少女。平和だった日、気まぐれでも笑いかけてくれたことがただ嬉しかった。 それだけだったあの日々はもう戻らない。
「…なくしたものばっかりだよ」
薄い闇の天井をキラは見上げていた。 考えたくないと思うのに、思い浮かぶのは途方もない量の思い出ばかりだ。
「…フレイ」
向かうべき相手がもういないその名。何度も何度も心に描き、呼び掛け叫んだ。 届かないかもしれないと思いながら手を伸ばした。いつか、届くことを祈っていた。
「フレイ」
この世界は、君が願ったものに少しでも近付いているだろうか。
そうであっても、そうでなくても、やるべきことは一つだとキラは目を閉じた。 生きなければならない。明日のために、自分のために。 日々は続いていく。嫌でも非情でも、生きる者にはそれを続ける義務がある。
薄闇に呟いた言葉は意味を成さず、ただの音として消えた。
**************************** なんだこの短さは。
…薄々知ってたんですけどね、最後の最後でいなくなるって。 多分きっと仮に生き残ってたとしても、キラがラクスよりも彼女を選ぶとかそういうことにはならなかったかもしれないんですけどね。 …フレイ………。 それでも生きてて欲しかったなあ、と今はただ思います。 フラガさんも。マリューさんは最後まで信じて待ってたよ。帰ってあげて欲しかったよ。
2003年09月27日(土)
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