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■ 九龍��
■雨の日
雨の日というのは、どうしてこんなに憂鬱なのだろうか。
6時限目の終わりに降りだした雨は、帰りには本格的な降りになっていた。余り傘を持ち歩く習慣のない(むしろ雨に殆ど降られたことがない)皆守は、下駄箱を出たところで途方に暮れたように空を仰いでいた。 皆守にしてみれば、困っていた訳ではない。ただ「雨だなあ」と思って空を見ていただけで、断じて濡れるのが嫌だとか誰かの傘をむしり取ろうとか思っていた訳ではない。いつものようにだるそうにアロマを咥え、空を見上げて今夜の夕飯をどうしようかなどと考えていた。
(あー、だりィ…ちょっと早いが、マミーズでカレーでも食って帰るか…)
校舎から寮までの間に、生徒がよく利用する食堂「マミーズ」はある。皆守は意外とここのカレーを気に入っていた。少しスパイスが物足りないものの、皆守的には合格ラインだ。だから少なくとも週に3度はここのカレーを食べる。面倒な時は一日三食全部カレーだ。 ともかくも、放課後は即帰宅が義務付けられてもいることだし、と皆守は雨の中一歩を踏み出そうとした。 その時、丁度いいタイミングで背の方から開いた傘が差し出された。
「…?」 「濡れちゃうよ、甲ちゃん?」
声に振り向けば、転校して間もないクラスメートの葉佩が笑顔で傘を差しかけている。何度か墓地に潜ったり、行動を共にしたりしていることも手伝って、今では「友だち」レベルに格上げされている人物だ。尤も葉佩に言わせれば「親友」レベルじゃないの?というところだろうが。 皆守は小さく首を竦めて、濡れて帰るつもりだったことを無言でアピールする。けれど葉佩はその端整な眉を顰めて、否定の意を示した。
「風邪ひくかもしれないし」 「……お節介だな、九龍」 「いいんじゃない、どうせ同じ方向に帰るんだし、僕はお節介でも構わないけど」
にこにこと邪気の薄い笑みで笑いかける。手の傘は開かれたままだ。
「同じ方向じゃない。今日はマミーズ直行だ」 「夕飯? じゃ、僕も一緒に」 「……物好きなやつだな」 「あそこのカレー、美味しいしね」
言いながら葉佩は一歩踏み出し、雨の音を受けながら皆守を傘へと誘った。
「どうせ濡れるぞ」 「いいんじゃない? 仲良く半分ずつ濡れれば」 「……アホか」
それ以上言ってもきっと聞く葉佩でもあるまい。皆守は面倒くさそうに、差し出された傘に入った。傘にぶつかる雨が規則正しい音を奏でる。 暫く歩いていると、葉佩が楽しそうに口を開いた。
「甲ちゃんは雨、キライ?」 「…好きではないな」 「キライでもないってこと?」 「どっちかというと嫌いだ」 「ふーん」
皆守の答えに少しがっかりした顔をして、葉佩は唇を尖らせた。 そのまま何も言わずに歩き続ける。 もしかして(もしかしなくとも)葉佩は雨が好きなのかもしれない。そう思った皆守は、黙ってしまった葉佩に視線を向けて「お前は好きなのか」と聞いた。
「好き…だけどさ」 「だけどって何だ」 「だって、甲ちゃんは嫌いなんだろ。だからつまんないなって」 「……俺がどう思おうと関係ないだろう」
呆れた顔をしてやると、葉佩はあからさまに嫌そうな表情を見せる。
「親友としてはさ、自分が好きなものは相手にも好きでいてもらわないと」 「どういう自論だ。それ以前に誰と誰が親友だって?」 「まあいいや。甲ちゃんにはこれから雨の日を好きになってもらうってことで。ヨロシク」 「…勝手に言ってろ」
自分で思いついたことに気を良くしたのか、葉佩は一転して嬉しそうな笑みを見せる。勿論皆守の反論も何も聞いていない。そのまま「雨の日の楽しみ方はー」とか「雨の中でやるアレだったら気に入るかも」とかいった不穏なセリフを口にしている。 余りに楽しそうなので、皆守は溜め息も出なかった。 相変わらず人の話を聞かずに突っ走る男だ。それに引き摺られている自分も自分だが。皆守はそう、自嘲の笑みを浮かべた。
「ハイ、とうちゃーく。二名様マミーズへごあんなーい」 「馬鹿やってないで早く入れ」 「へいへい」
帰りにはきっとこの雨も止んでいるだろう。でも、もし止まなくてもいいんじゃないかと皆守は思う。 その時はどうせまた、葉佩に無理矢理相合傘をされるのだろう。 (たまには、雨も面白いかもな。……たまには、だが) そう思った自分に笑うと、向かいの席でカレーを注文していた葉佩が不思議そうな目を向けた。
雨は、降り続いている。
----------------------------------------------------------------- おかしいですね、どうして日記が一日ずれているんでしょうか…(書かずに寝ちったから)。
火曜日…火曜日って何をしたんだろうか。書道に行ったことしか覚えていません。アホすぎです。多分その後寝ちゃったから覚えてないんだと思います。寝てる間のこと覚えてたら恐いから、ね。
仕事が鬼のようにあります。茶を飲む時間もない。明日も明後日も仕事もりもりです。期限有りの仕事が順番待ちです。うおー、明日の昼過ぎに渡す書類がまだ2割しか終わっていません…。 開き直るしか?
2004年11月30日(火)
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