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■ 九龍��
■右手
外は十月にしては珍しく、少し寒かった。 葉佩と取手はこれまた珍しく、二人並んで放課後の帰り道を歩いていた。
葉佩は普段、「親友」だと言って憚らない皆守と帰りを共にすることが多い。たまにそれにクラスメイトの八千穂が加わったりすることもあるが、基本的には二人だ。葉佩は大層皆守のコトが気に入っているみたいだし、人と関わるのが億劫そうな皆守も、最近は彼が懐深くまで入り込むのを拒んでいないらしい。 それが三年生の間では専らの噂だった。
その葉佩が、今日は取手と肩を並べて帰宅の途についている。見る者が見れば不思議な光景に見えた。 なにしろあの葉佩とあの取手だ。
「ねえ、鎌治。何かみんなが僕たちを見てる気がするんだけど…」 「…そうだね、多分珍しいからだと思うけど」 「珍しいって、何が?」 「えっと…僕と、九龍くんが一緒に帰るってことが、だと思うよ…」
葉佩は転校生だというだけで目立つ存在な上に、この性格だ。明るく元気よく、誰ともうまく付き合っている。対する取手は、皆守と同じく人と付き合うのが苦手なのだが、厭世的な皆守と違って引っ込み思案なところが大きい。 だから、二人が一緒に並んで歩いている―――それも談笑などしながらだ―――を見た同級生たちが、珍しいものを見たという顔をするのは、ある意味仕方がないと取手は思う。 けれど葉佩にはそのあたりがよくわからないようだった。
「どこが珍しいのかな? 僕と鎌治は友だちなんだから、一緒に帰ったって別に不思議でも何でもないのにさ。失礼だなあ」 「……僕は、君がそう言ってくれるだけで嬉しいから、別に気にしないよ」 「ふうん…ま、鎌治がそう言うんならいいや」
取手の顔がはにかむような笑みを浮かべるのに気を良くしたのか、葉佩はあっさりと笑顔を見せて再び歩を進めた。 さくさくと枯葉を踏む音が耳に響く。取手にとって音は世界だ。どんな音も取手の耳には音楽のように聞こえてくる。今隣で楽しそうに歩く葉佩が踏む枯葉の音も、心地よく耳を擽る。 さく、さく。さく、さく。 けれど取手には不思議だった。何故彼が醸し出す音だけが、こんなにも耳に優しいのだろうかと。目を閉じていても、彼が出す音だけは聞き分けられる自信がある。 さく、さく。さく、さ。 思わず目を閉じて音に耳を傾けていた取手の、右手が徐に強く引かれた。
「……?」 「かーまーち? 何呆けてんの。行くよ?」 「あ、うん…ごめん」
申し訳なさそうに謝ると、葉佩は「何謝ってんの」と笑って、そのままぐいぐいと手を引っ張った。
「九龍くん…?」 「何」 「そんなに引っ張らなくても、ちゃんとついていくよ」
だから、そんなに君が僕のことなんか気にしなくていいのに。そう言外に含めた音を聞き取ったのか、葉佩は小さく唇を尖らせる。
「駄目だよ。鎌治はすーぐぼんやりしちゃうんだから。それに、」
葉佩は突然立ち止まる。止まって、取手の右手をぎゅうと握り締めた。
「鎌治の手、こんなに冷たいんだからさ。こうしてた方が、暖かいだろ?」 「………」
自分より小さな手(取手の手が大きいだけなんだろうけれども)が、明確な暖かさを持って自分の手を包んでくれている。そのことに取手は思わず泣きたくなった。 その手が、余りにも暖かかったので。 今まで取手にそのぬくもりをくれたのは、姉だけだったかもしれない。けれどその姉も今はなく、こうして手をとって、ぬくもりを与えてくれるひとがいるなんて、想像も出来なかった僥倖ではないか。
「あれ、鎌治…? 泣いてるの?」 「え…」 「あーもう、何かあった? 誰かにいじめられてるんなら、僕がやっつけるよ?」
本気で心配してくれる声。その響き。彼の優しい色。 きっと葉佩は無意識なのに違いない。一見何にも興味がなさそうに見えて、その実誰よりも温かで優しい。どんな相手でもその大きな懐に入れて包んでくれる。その体は取手よりも少し小さいのに。
(僕は君に出逢って、救われた)
それは紛れもない事実。取手を認め、許し、変わらぬ笑顔を向けてくれる。 それが葉佩の、葉佩たる所以なのだ。
「…だいじょうぶ、何もないよ。ありがとう、九龍くん」 「何もないんだったらいいけどさ。………変な鎌治」
それでも葉佩はどことなく楽しそうな横顔を見せ、さくさくと再び落ち葉を踏みしめる。スキップでもしかねない足取りに、取手はうっすらと笑った。
(この道が、どこまでも続けばいいのに)
こうして手を繋いだまま、どこまでも行けたらいい。彼を独り占めして、ぎゅっと抱き締めたまま眠ることができたらいい。 自分にそんな独占欲じみた感情があることに密かな驚きを感じながら、取手は小さく息を呑んだ。 温もりを得て満足だと思う自分がいるのと同時に、もっと彼のことを知りたいとかもっとずっと触れていたいとか、そういう思いも取手の胸にはある。多分それは、葉佩に出逢ってから知った感情だ。
「鎌治、…また一緒に帰ろうな」
ぐるぐると迷路のような思いを、止めてくれたのも葉佩の言葉だった。 振り向いて、一歩先から笑顔を向けてくれる葉佩の言葉に、取手は驚きを隠すことなく目を瞬かせる。
「その…嫌だったらいいんだけどさ」 「嫌だなんてそんな…嬉しいよ、九龍くん」 「へへ、じゃあ約束!」
その笑顔は変わらない。多分彼が彼である限り、それは決して変わることがないのだろう。取手に向けるそれも、同じ。
(だったら、今はそれでいいじゃないか)
彼が自分の傍にいてくれるというなら。たとえ自分だけのものでなくても、彼という存在がそこにあるだけで。
傾いた陽に目を眇めながら、取手は今までに見せたことのない柔らかな笑みを浮かべた。 ―――それを見た者は誰もいなかったけれど。
---------------------------------------------------------------- 今回は皆守の次に仲間(バディと言え)になる、取手鎌治くん話ー。暗い過去を持つ子ですね。子? 思ってたよりものすんごく手が長くてびっくらしました。ちょ、ちょっと長すぎだろアレ…。 でも色白で不健康っぽくて内気(笑)で九龍以外に友だちいなさそうで好きです。何かすっごく気になる男の子。あれでピアノすげ上手くって、尚且つバスケ部ってのはどういう設定ですか…すごい面白いですよ。興味深い。仲間にするとホント、「九龍くん」「九龍くん」言っててかわいいです。何か話しててもちらっと喜んでるのがわかるっていうか、ほの見えるというか。本当に愛いやつです(爆)。 実は他にも色々仲間にしてるんですが、あんまり使う機会が。だって皆守と鎌治をデフォルトで使ってるから。ちょっとレベル上げにオカマの彼も使ってます。移動がたくさん出来るのはいいんですが、他のステータス軒並み下がりまくりじゃん…使えねえ…。
弟が帰ってきましたが、私の知らないうちに(というか勝手に)ゲームキューブ本体を売 り や が っ た あいつ…! つーかアレは私が半分出資(笑)したのです。勝手に売るな阿呆。代わりにPS2の新しいやつ…あの薄くてちっちゃいやつですが、あれ買ってんの。ふざけてる…。金半分返せと言っておきました。茄子が出たらと言ってましたが本当か。
ラムネ禁断症状になりそうです。なくなった…。ケンケンのDVDが来たらしいので、明日取りに行くついでに入荷したか見てこよう。真面目に箱買いしたい…(太るよ)。
今日は料理教室とジム行ってきました。ジム、プールに行くんですが、スタミナが減ってますね。昔は1キロとか泳げたのに、今は150メートルがせいぜいです。疲れてよれよれ。水泳部員だったくせに、平泳ぎの出来ない子です。駄目だ…。
明日は仕事でーす。れっつ早寝早起き(やらないけど)!
2004年11月27日(土)
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