風のひとり言
kaze



 退社

入社以来20年以上1つの部署で制作デスクを勤めてきた女性が、
今日付けで退社することになった。
その退社理由は、半ば解雇的な様子。
もっとも、3年程前に突然に退社か契約社員の選択を迫られ、
後者を選択したものだから、その地位は不安定なものであったのは確かだ。

自分が入社した時、色々なことを教えてくれた。
予定表の書き方、出金伝票や精算の仕方・・・
凡そ社内の事務手続き全てを教わった記憶がある。
そして、同じように教えられてきた人が数多くいる。
彼女はその部署における、核的な存在であったはずだ。
全てのスケジュールを把握し、ロケのための電車の手配から宿泊先の手配、
それら制作担当の人間がやるべき仕事までをも彼女に任せ、自分らが楽をする・・・
そんなシステムが確立されていた。

そんな彼女は、会社にとってなんだったのか?
便利に使える道具か?
結婚しても仕事を続け、その部署の中枢として新人の指導に努めてきた。
彼女の上に立つ上司は、自分の事を棚に上げ、
その部署のミスを彼女のせいにしてきた。
まして、彼女を退社に追い込むべく、暗躍していた事実もある。

自分がずっと見てきて、あの部署が今日までやってこれたのは、
その上司がいたからではない。
部長・次長・課長でもない。
ただ主任の役しか与えられなかった彼女こそが最大の功労者であると思っている。

「部下の責任は部下が取るべき」
などと豪語するそんなアホな上司が会社にとって利があるのか?
そんな彼女を退社させようと暗躍し、汚い手を使う奴が勝つというのか?
我々会社員は、会社にとって単なる手駒に過ぎない。
そんなことは十分解っているのだが、
それでも捨て駒のように扱われるのであれば、異も唱えたくなるし反発もする。

正直者は馬鹿を見ると言われる・・・
社会では上手く立ち回らないと、生き抜いていけない・・・
そんな事は散々聞き飽きた。
それでも自分は不誠実には生きたくない。
嘘で塗りかため、人をおとしめる事などするつもりもない。
それが、会社員として失格だとするならば、自分には向いていない・・・
ただそれだけの事。

彼女にとっての会社はなんだったのか?
会社にとっての彼女はなんだったのか?
そして、自分は・・・・・・?

2002年09月06日(金)
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