風のひとり言
kaze



 アドレス帳

携帯電話のアドレス帳をのぞいてみると、その件数は754件。これが多いのか少ないのかは判断はつかないが、正直整理が出来ていないのも事実。
よくみると倒産した会社や亡くなった友人の番号も捨てきれずにそこにある。
見方を変えれば、アドレス帳の中に自分の歴史があり、そこには思い出が詰まってるとでも言えるのだろう。

携帯が普及してもうどのくらいたったのだろうか?思い返せば昔は会社の役員が肩から下げたショルダーホンを自慢げに見せてきたこともあったが、心の中では重そうとしか感じていなかった。
初めて携帯を持ったのはおよそ20年以上前。
パチンコの景品…当時の目玉商品であった。
以来、多くのキャリアを変遷して今に至る。

アドレス帳を開くと、恐らくは携帯を変えたりした段階で消えて行ったものもあるだろうが、見返してみて、誰?という人も少なからずいる。
会社勤め時代に手にしたわけだから、学生時代のものでもないし(そもそも携帯がない)仕事関係は間違いないのだが、どうしてもわからない人もいる。そしてそれもまた消せない自分がいる。

最近こんなニュースを見かけた。
ある男性アナウンサーの記事だが、奥様が小さいお子さんを残して病魔に侵され召されたという。
取り残された旦那様は苦労しながらも仕事と子育てを両立させてると。そんな環境の中でふと奥様にラインでメッセージを送るそうだ。
当然既読のつかないメッセージとなるが、そうして奥様と相談しながら子育てに取り組まれていると。

この記事を見て思うことは様々あるだろう。
匿名文化の到来により、批判勢力が台頭した今の世の中では、女々しいとか前を向いてないとか批判する人がいるかもしれない。
一方で、永遠の愛とか哀しすぎるが気持ちがわかるとか、共感する人も多いだろう。
そして自分は間違いなく後者。
未だに亡くなった友人のアドレスを消せないのは、単に無精ということでなく、彼らとの記憶を抹消したくない、名前だけでも表示されていることで、その繋がりを感じていたいという…まぁこれもまた感傷な気持ちではあるが、彼らの存在を自分の中から消してしまいそうで、それに抵抗しているのかもしれない。
だからこそ消さない選択…
そんな気持ちをずっと持ち続けていたいと思う。

2017年10月14日(土)
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