2003年11月17日(月)


兄たんちから帰ってきてから、マスはなんだか元気がないように見えた。
ずっと窓から外を眺めて、物思いにふけっている。
奴隷は、「なんか落ち込んでるみたいよ」と言い、
ご主人は、「やっと落ち着いてきたみたいだ」と言った。
二号さんはあいかわらずマスのことは認めていない毎日であるが。

その日の朝、マスは外に出たがった。
今までずっと家猫として食っちゃ寝の生活で満足していたようなのに、突然の衝動。
どうしたんだろう、と思いつつ、奴隷は外出させた。
飼い主の元に戻る気になったのだろうか。
それとも、本当に落ち込んで出て行ったのだろうか。
ご主人は、マスを外に出した奴隷を「おまえのせいだ」と罵倒し続けた。

「帰ってこなかったらどうするんだ」
「おまえが又三郎(マスのこと)をなおざりに扱うからだ」
「なんでそんな落ち着いていられる、心配じゃないのか」

まぁまぁそう興奮しなさんな。
ご主人、あいつが出たがったんだから仕方ないじゃないよ。

――それから二時間――。

ピギャーピギャー!!
窓の外から、あのよく通る甲高い鳴き声。
そこにはマスがいた。
アパートの前の庭で、こっちを向いて必死に何かを主張している。

「僕は来られたよ! ここに来られたよ!
 えらい?! っていうかえらくない?!
 二号さんだっていつもここにいたもんね!
 僕だってできるんだよ! 僕すごいよ!」

それからご主人はアパート前にすっ飛んで行った。
マスもご主人のほうにすっ飛んで行った。
どうやらマスは、回り回って二時間で目的地に着いたようだ。
やはりあいつは方向音痴の迷い猫だった。
ご主人の腕に抱かれて帰宅したマスは、その後の一日は満足げな生活をした。
アパート前に行くことが大冒険だったのだろう。

少しマスの性格が見えた今日この頃。



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