|
|
■■■
■■
■ 愉快な夜に
今年の春先に「私もルクセンブルクへ行くかも」と告白され、 戸惑ったのは彼女の方ではなく、確実に、私の方だったと思う。
妹ちゃん(血縁関係はナイ)の恋人くんが、夏から向こう四年間、ルクセンブルク勤務 に決まったとき、そして、彼女もそこへ行くと決意したとき、嬉しかったけれど、なんだか 置いてけぼりをくらうようで、すこし淋しかった。ほんと、しがない姉。
彼女の出発が、いよいよ来週に迫り、私たちは姉妹だけで小さな送別会を開く。 場所は私たちの隠れ家、秘密結社的地下カフェ。若きてんちょさん(店長) 夫婦とも仲が良いので、なんというか、じぶんちの居間のようにくつろげるのだ。
八時過ぎに待ち合わせたカフェに入ると、すでに彼女のソファの隣には、てんちょ さんが嬉しそうに腰掛けている。あらら、お仕事はどないしたんですか?と、笑い ながら挨拶を交わす。てんちょさん、先月、新婚旅行でイタリーを縦断してきた とかで、とにかく嬉しそうに、楽しそうに、旅の報告をしてくれる。
「でねでねっ。ほら、ボクぜんぜん英語とか喋れないじゃん。でもね、ぜーんぶ わかっちゃうの。身振り手振りで、日本語オンリーで。なのに、英語も伊語も カンペキわかっちゃうの。ンもー、楽しかったぁ」
新しいお客さんが入ってきても、横目でちらりと一瞥をくれて、「でねでねっ」と、 話に興じるてんちょさん、かわいらしくて素敵。でもさ、職務怠慢じゃなーい?(笑)
「あっ、グラス空いちゃったね。次、何にします?ラム?ジン?オーケー、 ジンね。すっごい珍しいのが入ったの。飲んでみる?ちょっと待ってて」 両手いっぱいにジンの瓶を抱えて、「これはね、これはねっ」と説明してくれる てんちょさん。オレンジの香りがするジンに、火をつけたオレンジピールを落として くれる。すごくいい匂いが空中に広がり、私たちもご満悦。
「元気で帰ってきてねー」と、ウィンクを送られ、私たちは冷たい夜の街に出る。 ずっとずっとわらってばかりいたので、ふたりとも、ほっぺたの筋肉がふるふると 震えるくらい筋肉痛。部屋へ戻ってからも、エロ・サンタお衣裳に着替えて、珈琲 を淹れてくれた妹ちゃん。すっごくかわいい。すっごく愛してる(笑)
まゆちん、欧州社交界で正統マナーを学んで、素敵な淑女になってきてね。 ルク滞在記も待ってます。どうかそれ以上、体張って笑いをとらないように。
2003年12月12日(金)
|
|
|