月のシズク
mamico
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季節外れの花火
晩ごはんの支度をしていたら、ドーン、ドドーンと大きな音がした。
ベランダに駆け寄ると、たくさんの建物に邪魔されながらも、北の空に、
花火が見える。デジカメを手に戻り、ベランダから身を乗り出して眺める。
そういえば、毎年この時期に花火が上がった。
近所にある高校の後夜祭だと知ったのは、つい数年前のことだ。
そうしている間にも、あちこちからガラス戸を開ける派手な音がして、
「た〜まや〜」なんて陽気な声も飛び交う。ベランダ越しに、隣人さんと
「なかなかいいもんですよね」と、ふふふとテレ笑いしながらご挨拶する。
花火は間隔を置きながら10数発あがり、ぱたりと終わった。
仕事場からの帰り道、キンモクセイの匂いをかいだ。
九月の終わり、空気がピリッと冷えだす頃、約束されたようにこの花が咲く。
小ぶりな白い花に似合わず、官能的な香りを闇にふりまく。
鼻の穴をふくらませて、甘い匂いを吸い込んだ。
(何度も言うようですが)私はこの花の、
そんなしたたかさが結構好きだったりする。
2003年09月28日(日)
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