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■ 稲妻の下を歩く
昨日の夕方、関東地方に属している人はご存知だと思われるが、帯状の雷雲が わたしたちの頭上を通過していった。そして、そのひとつが、偶然にも、私の 真上(視覚的には真横)で炸裂したのだ。まったく、爆弾が落ちたのかと思った。
「雲行きがあやしい」という言葉には、全面的に信頼できる何かがある。 低くたれ込めた分厚い灰色の乱雲には、不吉なものの予兆が存分に含まれている。 その先に待ちかまえている、不穏なサムシング。怖れおののくものではなく、 ちょっとした非現実世界を体験させてくれる、束の間の何か、というところか。
何はともあれ、昨日のその頃、私は駅から家路を急いでいた。 空はもう充分すぎるほど、不穏な雲に覆われていたし、遠くの空に稲妻が反射する 姿が確認できた。雷鳴はどんどん近づいてくるし、身体にまとわりつく風には、 明らかに過分な湿気が含まれていた。
ピカッと光る稲妻とゴロゴロうなる雷鳴の時差が、みるみる狭まってゆく。 雷雲が接近してくる現実に肌をふるわせた(私は雷があまり得意ではない)。 ピカッ・・・ゴロゴロゴロ、ピカリ・・ゴトゴトゴト、シャッ・ダダダダッ。 角を曲がり、マンションが見えてきて「ああ、もう少しだ」と、ほっとした瞬間 「バチッ、ダダダダダンンンン」、光と音が同時に炸裂した。
恐怖する、というより、あまりに驚愕し、思わず首をすくめた。 おそらく頭上の電線にでも落ちたのだろう。視界に赤い火の玉が浮かんだ。 ひょえ〜、と声に出し、五体満足に動いていることに、ひとまず安心する。 青いイナズマ(by Smap)は知っているけど、稲妻って赤いのか、などとバカな ことを考えながら部屋に駆け込む。後は高みの見物とばかりに、ベランダから 東に流れてゆく乱雲と、新宿方面で暴れている雷さまの派手な稲妻を眺めていた。
いよいよ夏が終わるのですね。
2003年09月04日(木)
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