歌(ジャズ・スタンダードポップス)の練習を休憩してから久しい。
リズム感のなさは到底直りそうにないので、今度習う時にはピアノにしよう。
今日は、勤労感謝の日。 祝日であるが、年末が近づくにつれ出勤日の会社が多いようだ。 我が社もそうである。
だけれど私は、以前から歌の先生に「11/23(祝)お手伝いに来てくれませんか。」と頼まれていたので振り替え休日にした。
京都を奈良寄りに南下したところに、その喫茶店はある。
坪数にすると100は軽くあるのかしら、アトリエ兼喫茶店と陶芸教室が並列してある。
アトリエ兼喫茶店には、グランドピアノが一台。
歌の先生が、そこでミニコンサートを開くという。
彼女は私より6歳ばかり上かしら、独身でセミプロ歌手です。 子供相手にピアノを教えていたり、ご婦人や紳士相手の合唱団に指導したりしている。 私は受付でチケット代金をいただき、人様の現金を預かる仕事なので少し緊張した。
その喫茶店がある敷地内に、カリンの木があったんです。 勿体ないくらいにボタボタ落ちた実が飽いた家人により、そのなりにされている。
あまりに甘い香りに心地よくなり、数個拾いオブジェにした。
店の横には野球場約1個分ぐらいの池があり、餌代わりのパウンドケーキの失敗作が投げ入れられ、錦鯉や小鳥がつつきにやって来る。
店の外の小さな木々には、女郎蜘蛛がネットを張って待っている。
先生はリハーサルの時はおざなりだった歌い方が、本番ではハリのある心に訴える歌い方に変わっていたので、さすがプロだわと感心。
先生の好みは矢野顕子とユーミンと…。 歌詞やメロディラインの綺麗な曲が続く。
一番最後に他の人のピアノ伴奏で「花」を歌われた。
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…いつの日か …いつの日か 花を咲かそうよ…
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この歌は、去年、癌で亡くなった私の司令官の思い出の歌。
彼は、とある劇団に所属していて、自分でも脚本を書いたりしていた。
生前、彼と飲みに行った時、 「戦争の話しをモチーフに脚本を書いたとき、この歌をどうしても歌いたかってん。観客を泣かせてやろうと思って…(笑)。おじいちゃん・おばあちゃんが大半やってんけど、客席がシーンと静まりかえって、すすり泣きがあちこちから聞こえてきたよ。」と、言っていた。
高音が綺麗に出る人だった。 数曲歌うと人工肛門をつけた「お腹(腹筋)が痛い。」と、続けて歌うことをあきらめざるをえなかった彼。 いい人も何人か居たようだが、自分の環境や病気の懸念があって、ついぞ所帯を持つこともなく逝ってしまった。
秋の午後… 陽射しにとけ込むような、伸びのある先生の歌を彼に聴かせてあげたいな…と、ふと思った。
ラミネートされた写真の彼は、私のシステム手帳の中で、いつでも笑っている。
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