敷地内に大家さんの家と一棟のアパートと小さな一軒家に混在する内の、小さな一軒家に住んでいたのは、阪神大震災の頃だからもう9年も前だ。
実は、その前にも一軒家に住んでいたことがある。 もっともその時は、三棟続きで、うち入り口付近の一軒は細長くその他二軒とは垂直に建っていて平屋、うち一軒は真ん中で後から2階部分を一部屋分だけ増設したため、なんちゃって二階建て。 そして一番端奥が私が借りていた2部屋のみの平屋であった。
過去に住んだアパートやマンションよりも群を抜いて安かったその部屋は、雨漏りはするし湿っぽく薄暗い部屋だった。
私の借家とは対極の垂直に建っていた入り口付近の家には、祖父母と若夫婦が住んでいた。 若夫婦には、私が引っ越した頃は、子供は2人だったが立て続けにあと2人産んだ。
4人全員女の子。
嫁は「麻酔が効かない体質で、中絶ができない。」と言っていた。
その前に、ヒニンしろ!
実際に「家族計画はしっかり立てた方が良いと思うよ。」と言ったこともある。旦那さんは、薄給らしかったし、舅姑も働いている風情はなかったから。。
話をしていて思ったことは、これはひょっとしてnymphomaniac(色情狂)かもしれぬということだ。 人生の興味が例えば「読書すること」「旅行すること」「美味しいモノを食べること」「洋服を自作すること」等の趣味には顕れず、他に趣味や興味が持てないから仕方なく本能のおもむくままに性生活を送っているという印象を受けた。 子供がとっても好き♪ 野球チームを作りたい♪ 純粋な目的があって産むのならまだしも、彼女の場合、性欲の果てといった感のいなめない生み方はあまりかしこくないように思えた。
とりたてて「アレが無いと夜も明けぬ。」とか… 「アレをしないとイライラする。」とか… 「アレがないと生きていけない。」とか…
言われたことは、ない。 けれど…私の中のシックスセンスが奇妙な警報を鳴らしていたんだね。
…私がその地域から引っ越して数年。 嫁は、失踪した。
4人目の子供が幼稚園児くらいになったとき、嫁は通りを挟んで向かいのラーメン屋に勤めに出た。 しばらくのち、ラーメン屋の隣のパチンコ屋に客として来ていた男と駆け落ちしたらしい…。 現在、嫁はどこでどうしているのか家族とも音信不通なので噂は入ってこない。
続けて5人でも6人でも子供を産みそうな勢いだったのだけれどなぁ。 今頃は駆け落ち相手と暮らしているのか、捨てられているのか…それとも自分から捨てたか。 また別で子供を続けて産んでいるやもしれぬ。
どこでどうしているのかな?
時々、ふっと思い出す。
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